「パパイヤ?」
「バニラじゃだめなのか?」
「え〜?折角南国にいるんですよ?」
「…俺はパイナップルにしよう」
「じゃあ、俺はマンゴーにしよっかな」
ソフトクリームの味の話だった。
日本じゃあまり見掛けない種類もあって、折角だから変わったソフトクリームを食してみることにした。
ソフトクリームを買って、店を出たところにあるテラスに向かった。
「ん、んまい。マンゴーの味がする」
青島が言うと、室井が苦笑した。
「そうだろうな」
「室井さんの方は?」
「…甘い?」
「それも当たり前ですよっ」
青島は思わず吹き出した。
「ん」
苦笑したまま室井がソフトクリーム差し出してくる。
青島はパクッと食いついた。
口の中にパイナップルの味が広がる。
「そっちも美味いっすね」
さすがにパイナップルの味がするという感想は差し控えた。
今度は室井にマンゴーのソフトクリームを差し出す。
こんなことは日本ではまずできない。
いや、青島はやろうと思えばできそうな気がするが、室井が嫌がるだろう。
室井は唇を舐めて、少し考えているようだった。
「室井さん?美味しくない?」
「いや、美味い。ただ良く考えたら、マンゴーを食べたことが無かったから、味が良く分からない」
「あれ?ないですか?まぁ、俺も何回かしかないですけど」
「こっちにいる間に本物を食う機会もあるかもしれないな」
「そうですね。あ、そう言えば部屋にウェルカムフルーツ、ありましたよね」
「ああ…あの中にもあったか?」
「さぁ、見向きもしなかったですもんね」
「初日はホテルに着いてすぐ出掛けたしな。夕食の後は……それどころじゃなかったし」
「あー…ね。あはははは」
青島が乾いた笑い声を漏らすと室井も苦笑した。
「ほら、溶けるぞ」
「あ、やばいやばい」
そのまま二つのソフトクリームを回し食いした。
その後、二人はショッピングモールを訪れた。
明日はマウイ島に移るから、先にお土産なんかを買って日本に送ってしまうつもりだった。
お土産といっても、この旅行のことを知っているのは数人しかいない。
そう大変な作業ではなかった。
「あ、室井さん、アロハ」
青島は色々なアロハシャツを売っている店を見付けて、指をさした。
「凄いな」
アロハの柄にかその品数にか分からないが、室井がちょっと驚いていた。
「寄ってくか?」
「ハイっ」
店に入ると、色とりどり柄とりどりのアロハシャツが本当に沢山あった。
「凄いっすね」
「本当だな……君は似合いそうだ」
室井がちらりと青島を見て呟いた。
「そうっすかね?」
「買ったらどうだ?」
青島に付き合ってくれているのか、室井もちらちらとアロハシャツを覗いて見ている。
青島は悪戯っぽい笑みを零すと、アロハシャツを探し始めた。
手に取ったのは、白みがかったくすんだ青のアロハと、淡い赤茶色に白い花柄のアロハ。
「室井さん室井さん」
「ん?」
近付いてきた室井に、そのシャツを合わせてみる。
「んーーーどっちがいいかなあ」
きょとんとしていた室井は、ハッとしたように目を見開いた。
「き、君のじゃないのかっ?」
「俺も買いますけど、これは室井さんの〜」
朗らかに答えたら、今度は目を剥いてしまう。
「待て、俺は買わないぞ」
「いいですよ、俺が買うんだから」
「そういうことじゃなくて…」
「いいじゃないですか。何も日本でも着ろって言ってんじゃないですし」
「しかし」
「こっちじゃ、皆着てるじゃないですか」
ね?と首を傾げながら、室井の胸にアロハをあてて、鏡を見てみる。
派手な色はいただけないが、落ち着いた色なら室井が着ても可笑しくない。
青島はそう思ったのだが、室井の方はそうではなく、鏡を見て眉を寄せた。
「俺はいい」
「たまにはいいじゃないっすか」
「似合わないだろ」
「そんなことないですって!……こっちの方が似合うな」
青島が青い方のアロハを掲げて微笑むと、室井は渋い顔で唸った。
多分青島がはしゃいでるから強く拒めず、かといって着るのは躊躇われるから、苦悩しているのだと思う。
そう思ったら愛しくて仕方が無かった。
「記念に一枚だけ」
青島がお願いすると、室井はますます渋面になってしまった。
だけどそれ以上の拒絶の言葉も無い。
青島は勝手に許可と受け取ると、自分のアロハも探し始めた。
「君は」
「え?」
「赤いのがいい」
仏頂面で言われて、青島は破顔した。
「歩き過ぎたなあ…足痛いや」
夕飯を外で済ませて部屋に帰ると、青島はソファに座り、自分の臑を揉んだ。
日々の運動量には自信のある青島だが、さすがに少し疲れていた。
一日中歩いていたのだからそれも仕方が無い。
「かせ、マッサージしてやる」
室井が傍に来て言うから、青島は慌てて首を振った。
「いいっすよ。室井さんも疲れてるでしょ」
一日中行動を共にしているのだ。
室井も疲れていないわけがない。
それなのに室井にマッサージなどさせられない。
「気にしないでいい」
「なりますよ」
「遠慮するな……夫婦だろ」
室井が少し照れ臭そうに口にしたから、青島も照れ笑いを浮かべる。
室井の主張は嬉しくて、少しだけ恥ずかしい。
いつか、夫婦ということを意識せずとも、室井と夫婦でいられる時がくるだろうか。
そんなことを考えながら、青島はソファから立ち上がった。
「青島?」
きょとんとした室井に軽くキスをして、ベッドを指差した。
「一緒にマッサージしましょ」
室井が青島の足を、青島が室井の足をマッサージすればいいと思ったのだ。
そう言うと、室井は苦笑した。
「意味あるのか、それ」
青島は肩を竦めた。
「マッサージしながら、いちゃいちゃできます。一石二鳥でしょ」
青島の妙な主張に室井は苦笑を深めて、頷いた。
二人はそのままベッドに向かった。
向かい合って座ると、互いに足を差し出して、互いの足をマッサージする。
少し張った感触のある臑に室井の指が程よい圧力をかけてくれる。
お返しに室井の足をジーンズの上からマッサージした。
「青島、もうちょっとこっちに来れないか?」
「あ、やりにくいです?」
「少し」
青島は足を開くと室井の身体を挟むようにして、室井と身体を密着させた。
そうして膝を曲げれば、室井の手も届くだろう。
「よっと……どうです?」
「…あ、ああ、大丈夫だ」
少し言葉を詰まらせた室井に、青島は笑みを零した。
密着し過ぎた身体に反応したのだろう。
「室井さんのエッチ」
冗談でなじると、室井は眉間に皺を寄せた。
が、開き直ったのか、憮然とした顔で言った。
「仕方ないだろ。君の身体だぞ」
青島の頬に、さっと赤みが注す。
「何言って」
「興奮しないわけないだろう」
青島が赤面すると、室井は満足そうな顔をした。
どうやら、青島の発言の仕返しらしい。
変なところが子供っぽくて、可愛い。
などと思ってしまう辺り、青島はやっぱり幸せボケしているようだった。
青島は手を伸ばすと、室井のアロハの襟首を掴んで引き寄せた。
軽く唇を合わせて、微笑んだ。
「アロハ着てくれて、嬉しかったです」
室井は結局、青島と一緒に店でアロハに着替えて歩いてくれた。
付き合ってくれて、嬉しかった。
室井は苦笑すると青島の手に自分の手を重ねて、キスを返してくれる。
「確かに周りがアロハだらけで、着てみたらあまり気にならなかった」
室井の生涯でアロハを着ることなんて、最初で最後だったかもしれない。
想い出にはなっただろう。
そして、その想い出には必ず青島の存在も含まれる。
青島が選んで、青島が頼み込んで着てもらったのだから、当然だ。
そんなことを意図したわけではないが、おねだりしてみて良かったなと青島は思った。
ぼんやりと思っていたら、室井の舌が侵入してきて、ちょっと面食らう。
どうやら本当にその気になってしまったらしい。
青島は唇を合わせたまま微笑した。
少し顎を引いて一旦唇を離す。
少し不服そうな室井の頬に口付けて言った。
「男が服をプレゼントする場合って、脱がせたいって意味があるらしいですね」
冗談っぽく言ったら、室井が目を剥いた。
我侭を通した青島は室井の分のアロハも自分で買ったのだ。
今室井が来ているアロハは青島のプレゼントということになる。
青島は笑いながら唇を寄せた。
「脱がせても、いいですか?」
返事は聞くまでも無かった。
向かい合わせに座ったままキスをしながら、青島は自分のアロハの前を開いた。
「青島…」
室井の熱い吐息が唇に触れるだけで、ゾクゾクする。
青島は室井の唇を軽く吸いながら、今度は室井のアロハに手を掛ける。
ボタンを一つ外すと、少し開いて見えた素肌に唇を落とす。
また一つ外して、唇を下へと滑らす。
そのまま全てのボタンを外すと、腹に軽く吸い付いた。
「…っ、こら…」
くすぐったいのか、室井が青島の肩を押し返そうとしたが、青島がベルトに手を掛けると大人しくなった。
「室井さん、素直ですね」
思わず笑いながら言うと、室井は眉間に皺を寄せた。
「…男だからな」
「なるほど」
クスクス笑いながら、室井のベルトを外す。
ファスナーを下ろして、下着の上からソコに触れた。
手の平で少し摩ってやり唇で触れると、それだけで熱が伝わってくる。
軽いキスを繰り返すと、室井の手が青島の髪を梳いた。
「青島」
焦れたのか名前を呼ばれて促されて、青島は笑みを零すと下着を少しずらしてソレを取り出した。
手の平で握りこむと、室井が少し息を詰めた。
受け入れる立場にあるため愛撫されることの方が多い青島だが、室井が感じてくれているのを見るのは好きだった。
少し強く握って手を上下に動かすと、すぐに硬さを増してくる。
手を動かしながら先端を舌先で舐めると、少し独特だが慣れた味がした。
ちろちろと愛撫しながら、幹を扱き、時折唇を根元に這わせる。
先走りが流れてくると、青島は先端を唇に咥えて吸った。
頭上で室井の乱れた呼吸音が聞こえる。
それだけで、結構堪らないものがある。
青島は興奮のまま深く咥え込んで、唇で扱いた。
「くっ…青島…っ」
髪を梳いていた室井の手に力が篭り始める。
大分感じてくれているのは、口の中の質量で分かる。
もっと感じて欲しくて、唇に力を入れると、頭を必死に動かした。
「ああ…は…っ」
室井が腰を引いた。
「青島…離してくれ…っ」
それで限界を悟ると、青島は咥えたまま強く吸った。
「―っ」
室井が身体を硬直させると、一瞬遅れて青島の口内で果てる。
青島は目を閉じて、それを受け止めた。
眉が寄ってしまうのは嫌だったからではなくて、ちょっと苦しかったからだ。
「はぁ…は…っ」
ちらりと視線を持ち上げると、室井も目を閉じて快感に耐えていた。
色っぽいなと思いながら、そのまま出し切るのを待って唇を離す。
手の甲で濡れた唇を拭いながら、身体を起こした。
「気持ちよかったです?」
「ん…ありがとう…」
少し落ち着いた呼吸で答えると、室井が手を伸ばしてきた。
腕を掴まれ腰を抱かれて、青島は素直に身を寄せた。
室井の少し早い心臓の音が聞こえて、そんなことが一々愛しかった。
などと呑気に思っていると、不意に室井が身体を倒した。
「わっ」
青島を抱きしめたまま、後に横になったのである。
室井を潰してしまうと思ったので、慌てて室井の顔の横に手を付いて身体を支える。
「っと……びっくりするじゃないですか」
室井を見下ろしながら青島が訴えると、室井は微笑した。
「今度は俺の番だな」
え?と思っていると、室井の手が青島の肌蹴た胸元をなぞる。
「っ」
思わず息を詰めると、室井が嬉しそうな顔をした。
手の平で撫ぜられて少しだけ反応を返した乳首を、指先で愛撫される。
「ん…ちょ、室井さん…」
するのはもちろん構わないがこの体勢は如何なものかと思い抗議の声をあげるが、室井はやんわりと微笑んだまま手を止めない。
きゅっと摘まれて、青島の背中に力がはいる。
「君の顔が良く見えていいが、舐めてやれないのが残念だな…」
静かな声音はからかっているわけではなくて、本気で思ってくれているからだろう。
そう思って、青島は赤面した。
「そういうことは、思っても口にしないでくださいっ」
「すまない」
潔く謝られるが、だからと言って手を止めるわけではなく、体勢を変えてくれるわけでもない。
室井はもう片方の手を、青島の下肢に伸ばした。
パンツの上から触れられて、それだけで少し腰が揺れる。
「感じてるな」
殊更嬉しそうに言われて、赤面しないわけが無い。
青島は赤くなりながら、開き直った。
「エッチしてんだから、当たり前でしょ」
「そうだな……青島」
膨れっ面の青島に苦笑しながら、室井が呼ぶ。
「なんすか?」
「キスしてくれないか?」
青島はきょとんとした。
それは一向に構わないし、お望みならいくらでもするが、したいなら室井からしてくれればいいのにと思ったのだ。
室井は片手で青島の乳首を弄り、下肢に伸ばした手でソコをやんわりと揉んだ。
「―っ」
「手が使えないから、君の唇に届かない」
真っ赤になりながら室井を見下ろすと、柔らかい眼差しが帰ってくる。
青島は少し脱力して、突っ張っていた腕の力を少し抜いた。
「も…少し黙ってヤッてくださいよ…」
恥ずかしくて聞くに堪えないと思いながら、青島は室井の唇を塞いだ。
舌を差し入れると、すぐに室井の舌が絡み付いてくる。
それと同時に、室井は両手を青島の下肢に伸ばし、ベルトを外し始める。
パンツと下着を脱がすと、直にソコに触れてきた。
しっかりと握りこまれると上下に扱かれる。
「ン、ン」
室井と唇を合わせたまま、青島は少し呻いた。
「青島…」
手を動かしながら、室井が唇を舐めた。
同時に先端を少し強く擦られて、背が反った。
結果また腕を突っ張ることになり、室井をしっかりと見下ろすことになる。
「はっ…ああ…っ」
室井の熱っぽい眼差しに晒されて、青島は視線を泳がせた。
「あんま、見ないでくださいよ…」
「勿体無いだろ」
「も…」
青島が呆れた顔をすると、室井の手が激しく動き出した。
「ッ」
「君がいい顔してるのに…見ないなんて」
勿体無いと繰り返されて、青島は目を閉じた。
どうせこの体勢で抗ったところで、たかがしれているのだ。
それに、青島も知っている。
どうせ室井の視線が気恥ずかしいのは、後少しだけである。
もう少ししたら、それすら分からなくなる。
ふっと、室井の手が止まった。
そこから手が離れて、青島はそっと目を開けた。
この期に及んで焦らす気かと思ったらそうではなくて、青島の先走りで濡れた手を後穴に持って行く。
意図を察して、青島は意識して力を抜くように努力した。
室井のキレイな指が中に入ってくる。
「あ…っ」
「青島、キツイか?」
「ん…大丈、夫…」
青島は室井を見下ろして、ちょっと笑って見せた。
「ここんとこ、毎晩してるから…かな?ちょっと、楽、かも」
青島が呼吸を乱したまま悪戯っぽく微笑むと、室井は目を丸くした。
そして苦笑すると、室井は中に埋めた指を少し大きく動かした。
「んっ、あっ」
「平気そうだな…」
青島の反応を見ながら、指を増やしてくる。
そうされながら屹立したモノを扱かれると、青島は思わず腰を蠢かせた。
また顔が熱くなる。
さすがに恥ずかしかった。
浅ましい自分を曝け出している自覚はあったが、どうにもならない。
目をキツク閉じて、唇を噛んで、快感に耐える。
「青島」
名前を呼ぶ優しい声。
だけど青島の中を愛撫する指は激しく動く。
いいところを擦るように愛撫されて、青島はキツクシーツを掴んだ。
「あっ…室井さん…っ、も…イイ、からっ」
青島は目を開けて、室井を見下ろした。
室井の目が欲に濡れていて、多分自分もそうなのだろうと思った。
「も、きて、ください」
「青島…」
室井の喉が上下したと思ったら、青島の中から指が引き抜かれた。
片手で青島の臀部を割り開き、片手で自分のソレを青島の後穴に宛がうと、ゆっくりと室井が侵入してくる。
最奥まで納められると、青島は堪らずシーツに肘を付いて、室井の肩に顔を埋めた。
「ああっ」
「青島…っ」
室井の唇が青島の耳元に押し付けられた。
上体を倒してしまったから、腰だけ持ち上げるような体勢になってしまったが、青島にはもうそれを気にするだけの余裕がなかった。
室井は両手で青島の臀部を掴むと、下から突き上げてくる。
「あ、や、ん、んん…っ」
揺すぶられて、甘い声が漏れる。
「青島…こっち、向いてくれ…」
室井の囁く声に、何とか顔を上げると、当然だが至近距離に室井の顔があった。
何を言われたわけでもないが、青島は室井に顔を寄せると唇を重ねた。
夢中で舌を絡めて、唇を吸いあう。
不意に奥を突かれて、青島が顎を逸らしたせいで唇が離れた。
室井の舌が、唾液の伝う青島の顎を舐めた。
突き上げが激しくなる。
「いいか、青島・・・っ」
「はっ…あ、あっ、いい…いいよっ」
青島が快感を素直に口にすると、中の室井が体積を増す。
それを中で感じ取って、無意識にキツク締め付けた。
青島の耳元で室井が低く呻いた。
その声にすら青島は興奮した。
室井の動きに合わせるように、自分の身体を揺すりながら室井を求めた。
「むろ、さん…っ…も、いきそ…っ」
「ん…っ、いいぞ、我慢しないで…」
室井はそのまま素直に追い上げてくれた。
「あっ、ああ…もう、イク、むろい、さん…っ」
深く深く穿たれて、青島は尾を引くような嬌声を上げた。
室井の肩に顔を埋めて身体を激しく痙攣させると、勢い良く室井の腹や胸に吐精する。
「く……青島っ」
キツク収縮した中で、室井も後を追うように射精した。
「あ…はっ…」
体内で室井の熱を感じながら、青島は荒い呼吸を繰り返した。
中々顔をあげられないでいると、室井が青島の髪を梳いてくれた。
「青島…大丈夫か…?」
室井の整わない息が、耳に心地よい。
「ん、平気です…」
ようやく少し顔を上げると、室井を見つめた。
当たり前のように優しい眼差しが向けられて、どうにも照れ臭い。
だけど嬉しい。
青島は軽く室井の唇に触れて、しっかりと室井に抱きついた。
「はぁ…落ち着く…」
良く分からない青島の独白に、室井が思わずといった感じで笑みを零した。
「なんだそれは」
「室井さんと抱き合ってると、落ち着くんです」
ぎゅっとしがみ付き、室井の肩に唇を押し付ける。
「それは嬉しいが」
室井は困ったような嬉しいような複雑な表情で青島の頭を抱いてくれた。
「え?」
「そう抱き付かれると」
「…あっ」
青島は上ずった声をあげた。
体内で、室井がまた大きくなったからだ。
「…げ、元気ですね」
赤面しながら言うと、室井が眉間に皺を寄せた。
「男だからな」
「室井さんの言い訳、そればっか」
「……君が好きだからな」
律儀に訂正した室井の言葉に、青島は思わず笑みを零した。
身体が揺れると、中の室井を余計に感じてしまう。
自然とまた熱くなってくる身体に、青島は素直になることにした。
室井の唇を軽く奪って身を起こすと、室井の上に完全に腰を下ろした。
「ん」
「っ」
青島が小さく喘ぐと、室井も小さく呻いた。
―一緒になってるんだなあ。
何となく思って、青島は微笑んだ。
室井の腹に手を付いて、室井を見下ろした。
「そっちの方がいいです…」
「ん…?」
「言い訳、俺が好きだから……その方が嬉しい」
一瞬きょとんとしたが、柔らかく微笑すると室井が手を伸ばしてくれる。
青島はその手を握ると、身体を動かし始めた。
翌朝少しだけ後悔するような、長い夜だった。
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