恋守護神 第3話












そんな風に青島は暇さえあれば、神社の光闇のもとに行くことにした。

最初は鳥居の上にいた光闇も、そのうちに木の枝の上、お堂の柵の上と徐々に低いと
ころで待つようになり、1ヶ月近くたった頃にはお堂の前の石段に座って待ってい
た。

まだ誰にも話していない。

契約はしていなくとも、神と守護神の約束をしたのだ。

もしも、上層階級が知れば光闇と契約をしようとする輩もいるだろう。

光闇の実力は分からないが、時折見かける小さな祠の稲荷とか光闇が毎日いる神社の
神などが「レクイム様」と呼んでいるため、並みの神より高位だろう。





神の属性は生死を司るもの、実りを司るもの、自然を司るものなど様々だ。

守護者としての神にも属性というものは少なからずある。

この国を守護するものこそが皇帝の守護者なのだ。

そして神にも位はある。

この世界を作り出した神を頂点に、昼と夜、4元素、生と死などの神がその後に続
き、自然や実りなどの神、技術や能力の神、戦や守りの神など多種の神がいて、神社
などの神となる。

守護神と言われる神は、中位から下位のものである。上位の神は個人ではなく、世界
全ての神であるからだ。

ただし、皇帝の守護神は上位のものがなることもある。伝説では神集帝国の初代皇帝
は、大地を司る神を守護神にしていたと言う。





「光闇」

「あっ、アオちゃん!」

いつもの神社の石段に腰掛けた光闇にアオシマは声をかける。

「おはよ」

「おはよう!!今日は吉で〜す」

「今日は何占い?」

「水鏡占い!!」

「当たるの?」

「百発百中・・・かな?」

「・・・」

「ちなみに星座占いは〜」

「いい、それ見てきたから」

「・・・めざまし?」

「そうだけど?」

「・・・」

「もしかして当たんない?」

「あれと同じ・・・悔しいけど」

(どこで見てるんだ、テレビ)

アオシマがこう思ってしまっても罪は無い。



そんな日々が続いたある日。

「アオちゃん」

いつもより沈んだ声で光闇は話しかける。

「どうかした?誰かにいじめられた?」

そこまで言ってアオシマは気付いた。

(彼女をいじめることの出来る奴っているのか?)

「あのね・・・今日でお別れなの」

「えっ!?」

「後数年、上で修行しなきゃいけないの」

「ああ・・・え〜っと」

「人は天国とか神の国って呼ぶのかも」

「て・・・天国!?」

「うん、だからね」

光闇はそういって小指を立てた右手を差し出す。

「??」

「指きり」

にこっと微笑みながら、悲しそうな顔をする光闇。

「うん」

「戻ってきたら必ずアオちゃんの守護神になります」

「「指きりげんまん嘘付いたら針千本、の〜ます。指切った!!」」



次の日、アオシマが神社に行っても『アオちゃん』の声は聞こえなかった。





「で?どんな修行してきたの」

とりあえず家に上げたアオシマがお茶を出しながら光闇に話しかける。

「う〜んと・・・いろいろ?」

あれから20年近くたっているにもかかわらず、彼女はたった4,5年、年を取っただけ
のようだった。

「いろいろ・・・か」

「うん!いろいろ」

「具体的には?」

「風を操り方、作物を実らせ方、人の運命を決め方・・・」

指を折りながら、次々とあげていく。

「ちょっとタンマ」

「な〜に?」

「やっぱし何者?」

「神様」

アオシマの問いに光闇は即答する。

「そうじゃなくて・・・」

「・・・ん?」

「何の神様?」

「黙秘」

光闇の即答にうなだれるアオシマ。

「なんで?」

「教えないから」

「じゃあどのくらい偉いの?」

「企業秘密」

その答えにへこみそうになるアオシマ。

(やっぱり・・・苦手かも)

20年の時を経ての再確認であった。



光闇が来てからの数日は、アオシマは彼女を外には出さなかった。

他の守護者たちが彼女の気配に怯えてしまうためだ。

もともと下層階級の住むこの地域で守護神、守護天使がいることなどめったに無い。

仮にいたとしても位の低いものか、主の用事でここに来たかのどちらかだ。

「まだ外出禁止?」

「後もう少しがまんして」

「・・・(ぶー)」

ふてくされる光闇にアオシマは笑いが込み上げてくる。

「なに?」

少し怒ったように睨み付ける光闇。

「ご・・・ごめん・・・・くっくっく」

アオシマは笑いをかみ殺しながら謝る。

「・・・笑えば?」

光闇のその一言で大笑いするアオシマ。



「・・・なんで笑ったの?」

アオシマの笑いが収まったところで光闇が聞く。

「なんかさ、神様じゃなくて・・・妹みたいだから」

「はぁ?」

「おませで大人びてるけど、やっぱり子どもでかわいい妹」

「わたし、アオちゃんよりものすっご〜く年上だよ」

ただ今、光闇740歳、アオシマ28歳。

「・・・見た目?」

「何で疑問系?」

「さぁ?」

「う〜ん?」

傍目から見れば仲のよい兄妹である。





彼女が何の神であるか、その地位がどれほどか。

それがアオシマの未来に大きく関わっていく。










NEXT


<後書き>

遅くなりました、第3話です。

なんとなく世界観等を掴んでいただけたでしょうか?

まだまだ謎は出てきます。

次回は室井さん登場の巻です。



因みに指切りはもともと遊女と客の間で約束をかわす時にしていたものらしいです。

元々は本当に遊女は指を切っていたらしい・・・。

ちなみにげんまんは拳万、つまり「嘘をついたら1万回殴って、針を千本飲ませるか
ら」

というものらしいです。