■ 企画小説
仕事帰りに室井と待ち合わせをして、一緒に青島の部屋に帰った。
夕飯を食べながら軽く酒を飲んだが、飲みすぎないようにセーブしつつ、気持ちが高揚する程度には意識して飲んだ。
その方が、良い気がしたのだ。
食事をするのも酒を飲むのも今日の目的の一つだが、本当の目的は他にあった。
それはきっと室井も一緒で、缶ビールを二缶開けると、勧めても室井はそれ以上酒を飲もうとしなかった。
「ごちそうさま」
室井が律儀に言ってくれるから、青島も皿を片付けながら律儀に返した。
「どういたしまして」
大したもんじゃなかったけどねと付け足すと、美味かったと言ってくれる。
「なら、良かった」
青島は笑って言うと、食器を持って台所に向かった。
洗ってしまおうかなと思ったが、明日は休みだし明日やればいいかと思い直す。
風呂を沸かそうかなとも思ったが、それも別にいいかとやっぱりやめにした。
気がそぞろな自分がおかしくて、青島は声もなく笑った。
―いい歳をして。
そわそわしている自分がおかしくて、青島はリビングに戻るとなるべく普通に言った。
「先、シャワー使ってください」
テーブルの上に置いてあった煙草に手を伸ばすと、室井がその手を掴んできた。
少し驚いて室井を見ると、室井が唇を寄せてくる。
青島は自然と浮かんできた笑みに口許を歪めながら、ゆっくり目を閉じた。
触れるだけの優しいキスにすら、興奮した。
温もりが離れると目を開ける。
目の前に室井がいた。
「君が先に使え」
「そう?じゃあ、そうしよっかな…」
今度は青島から軽いキスをすると、追い掛けるように室井のキスが返ってくる。
小さな触れあいがくすぐったくって、青島は照れ笑いを浮かべた。
「シャワー、浴びてきます」
「ああ…」
言って、もう一度唇を重ねると、室井は青島の腕を離した。
あと少しだと分かっているのに、名残惜しい。
離れがたい。
室井がそう思ってくれているのが、青島には分かった。
きっと青島がそう思っていることも、室井に伝わっている。
青島はさっさとシャワーを浴びて来ようと風呂場に行きかけて、一度戻って室井のシャツの襟首を掴んだ。
目を見張った室井に少しだけ乱暴に、少しだけ深いキスをして、すぐに離れる。
「イイコで待っててくださいね」
いつものように笑って、青島は室井の返事は聞かずに今度こそ風呂場に向かった。
室井と身体を重ねたことは、一度しかなかった。
一ヵ月ほど前の休日前夜で、やっぱり青島の部屋だった。
酒は飲んでいたが、酒の勢いでなんとなくそうなったわけではない。
室井にはっきりと「抱きたい」と言われて、そうなった。
気持ちはそれより少し前に通わせていたから、室井の言葉に驚きはしたものの、それよりも喜びが勝った。
男に抱かれて嬉しく思うような趣味はないが、室井が欲しがってくれていることがとにかく嬉しかったのだ。
だから、抱かれた。
それから一ヵ月、全く何もなかったわけではない。
どういうわけか蜜月とも言える時期に、珍しく、そして有り難いことに二人とも仕事が比較的暇で、時間にゆとりがあった。
この一ヵ月可能な限り会っていたし、その時は触れ合ったりもしたが、最後まではしなかった。
青島の身体に負担がかかるからだ。
初めての時に、室井が乱暴に致したというわけではない。
丁寧だったし優しかったと、受け入れることに慣れていない青島でも思った。
だが、どんなに丁寧にされても、慣れない身体にはかなりの負担がかかることは確かである。
できることなら、休日前夜以外は避けたい行為でもあった。
それを室井に伝えたことはないが、室井もあれから最後まではしようとしなかった。
青島の抱き心地の悪さに辟易したのでなければ、おそらく遠慮してくれていたのだろう。
最後までしないものの、室井も青島の身体には触れたがる。
二度と抱きたくないと思われているわけではないことは確かだ。
先にシャワーを浴びた青島は、ベッドにあぐらを掻いて缶ビールを飲んで室井を待った。
交代でシャワーを浴びている室井が出てくるのを待っているうちに、手持ち無沙汰で結局もう一本開けてしまった。
シャワーで軽い酔いも覚めてしまったので、丁度良い。
酒の力を借りないと室井に抱かれることができないわけではないが、少しくらい借りたいという気持ちもあった。
抱かれるのが嫌なわけではない。
休日前夜以外は避けたいと思っていたが、逆に言えば休日前夜であれば室井に抱かれても構わなかった。
正直なところを言えば、「抱かれる」という行為自体には抵抗が全くなかったわけではない。
ちょっとくらいは屈辱的な気分になるかもしれないと思っていたが、相手は室井である。
あれほど尽くされては、屈辱など感じる隙もなかった。
しかも、自分を追い上げているはずの室井が、青島の中で切羽詰まっていくのが分かるのだ。
自分を抱き締め名前を呼びながら果てる室井を、抱いている気分にすらなった。
その時のことを思い返し、青島は赤面するとビールを呷って、煙草に手を伸ばした。
一人で先にその気になるところであった。
その気といえば、室井も既にその気なのだろうけれど。
お互いに、今日は会った時から様子が違っていた。
視線が会えばそわそわし、手が触れるだけでじりじりと焦れるような熱さを感じた。
もっと欲しいという、室井の気持ちを肌で感じた気さえした。
青島の気のせいでなければいい。
あの時の痛みや圧迫感や、少なからず存在した恐怖感を忘れたわけではないが、そんなことより室井が欲しいという気持ちが強かった。
「室井さんも、そうならいいなあ…」
ぼそりと呟いて煙草を吹かす。
静かな部屋の中。
室井が風呂場から出てきたことに、物音で気付く。
青島は背中を伸ばして、少し緊張している自分に笑い、煙草を消した。
少しの間の後、寝室のドアを開いて室井が入ってくる。
下は青島が貸したスエットを履いていたが、上半身は裸で肩からタオルをかけていた。
青島はちょっと笑った。
「室井さんのパジャマ、用意しときましょうか」
室井が泊まっていく機会はこれから増えるだろう。
サイズの合わない青島の服を貸すより、その方がいいような気がした。
「今度持ってくる。一口貰ってもいいか?」
青島はもちろんと頷いて、室井に缶ビールを差し出した。
ごくごくと美味そうにビールを飲む室井を見上げる。
「まだ冷蔵庫にもありますよ?」
ビールに口をつけたまま、室井が青島を見下ろした。
ドキリとしたのは、室井の視線が熱かったからというよりは、その視線に欲情したからかもしれない。
「いや、もういい」
室井は缶ビールをベッドサイドのパソコンラックの上に置いた。
置いた手で、そのまま青島の頬に触れる。
缶ビールのせいでひんやりした指先に、自分の顔が余計に熱い気がした。
「青島、その…」
言い辛そうに言葉を濁し、眉間に皺を寄せる。
「この間の、あるか?」
そう言われて、青島は室井が聞きたいことを悟った。
「あー…ありますよ、もちろん」
なるべく平静さを保ちながらパソコンラックの引き出しを開け、コンドームとローションを取り出した。
前回の時に室井が用意していてくれて、驚いた代物だった。
真面目な室井らしいというか、気が利いていてらしくないというか。
どちらにせよ、有り難い気遣いだったことを、青島は後になってから知った。
それらをベッドの上に放り出すと、青島は照れたように笑った。
「なくなるわけないでしょ、室井さん以外と使わないんだから」
今は室井以外と使う予定がない。
これからも、ないといいと思う。
室井はふっと表情を和らげると、身を屈めて青島の唇に触れた。
やんわりとした口付けは、すぐに深くなった。
室井の舌が口内に入ってくると、青島もその舌に自分の舌を絡める。
背中に腕を回すと、邪魔なタオルを掴んで床に投げ出した。
室井のキスが益々深くなり、舌を吸われ歯茎を舐められて、青島の開いた唇の隙間から熱い吐息が漏れる。
「ん…っ、室井さん…」
「青島…」
青島を呼ぶ室井の声も、いつもとは違う熱を帯びていた。
何度も唇を重ねながら身体を後ろに移動し、室井をベッドに誘い込む。
すぐに室井もベッドに乗り上げ、青島の身体を押し倒した。
迷わずその背中を抱く。
手の平に触れる、室井の素肌。
硬い身体を抱き締めることにはまだ慣れていない。
だが、嫌悪感も違和感もなかった。
愛した人の身体は、柔らかみなどなくても、十分心地良かった。
「キャリアの癖に…いい身体で、悔しいな」
抱いた背中を撫ぜながら、青島はわざとらしく唇を尖らせた。
その唇に軽くキスをして、室井は苦笑した。
「キャリアであることは関係ないだろ」
「ただの偏見です」
苦笑を深めた室井の手が、青島の前髪を梳く。
青島は目を細めた。
「まぁ…好きですけどね、室井さんの身体…」
「…俺も君の身体、好きだぞ」
真面目に応じ、青島の首筋に顔を埋めた。
「室井さんが言うと、なんかやらし…っ」
吐息が耳にかかり、濡れた舌が這う。
耳たぶを舐められ、青島は身を捩った。
「っ…はは、くすぐった…」
「こら、逃げるな…」
注意しながらも、室井も少し笑っていた。
「ん、だって…」
くすくすと笑いながら抵抗というほどではない動きを見せる青島の手を押さえ付けて、室井が囁く。
「良くないか?」
首筋に吸い付きながら、青島のパジャマのボタンを外していく。
露になった胸元を撫で上げられれば、青島の笑い声はただの吐息に変わった。
室井の唇が首筋から鎖骨に滑り時折肌に吸い付き、胸元を撫ぜていた手が腹を辿って下に下がっていく。
パジャマの上からそこに触れられ、青島の背中に力が入った。
「良くないことは、ないみたいだな」
少しだけ反応を返していた身体を指して、室井が言った。
その声がどこか嬉しそうだったりするから、青島は気恥ずかしくなる。
「意地悪いよ、室井さん…」
小さな声で咎めると、室井は真顔になった。
「そうか、すまない」
どうやらからかう気は皆無だったようだ。
なだめるようにキスをして、再び青島の肌に舌を這わる。
舌先が乳首に触れ、舐めあげられるとゾクリとした。
何度も舌が行き来し硬く立ち上がった乳首を口内に含みながら、室井は手を動かした。
少し力を込めてそこを擦り上げられる。
「ん…っ」
青島は鼻にかかったような声を漏らした。
そこを意図を持って擦り上げられれば、パジャマの上からであることがもどかしくて仕方ない。
室井は焦らすつもりもないようで、顔を上げると青島のパジャマを下着ごと脱がした。
外気に触れて余計に身体の熱さを知り、いたたまれなく感じる。
室井の目の前に晒されている自身の身体が、室井の目にどんなふうに映っているのか、あまり考えないようにした。
室井の手がベッドに放り出してあったローションのボトルを取り上げたのを見て、青島は思わず顔を背けた。
なぜか頬が熱いことばかりが気になった。
「…嫌か?」
室井の声はどこか不安そうだった。
身体を開くのはまだ二度目、不安なのは青島ばかりではない。
そう思ったら、少し笑えてくる。
青島はちらりと室井を見上げて言った。
「嫌なら、しませんて」
室井の目が優しく笑う。
「そっか」
こんなときにそんな顔をされれば、例え嫌でも嫌だとは言えないなと思った。
それくらい、室井のことが好きだった。
室井の手が青島の足を開く。
太股を押し開かれ、そこが露わになった。
青島には見えなくても、室井の目に晒されていることは嫌でも分かった。
さすがにそこを見られることには、強い羞恥を感じる。
嫌ではない。
室井が欲しい。
だけど、まだ恥ずかしい。
耐えきれずに青島が目を閉じても、室井はもう嫌かとは聞いてこなかった。
ローションで濡れた指がそこに触れる。
びくりと震えた青島の太股を撫ぜながら、そこを揉みほぐすように愛撫し、ゆっくりと室井の指が侵入してくる。
「痛くないか?」
「ん……平気……」
緊張のせいもあり違和感はあったが、ローションの効果か無理矢理広げられている感じはしない。
青島を傷付けないように、そっと室井の指が動き出す。
ゆっくりと奥まで挿入し、広げるように中でぐるりと回す。
「ん…っ」
青島の口から小さな声が漏れた。
「青島…力抜けるか?」
室井に言われて、全身に力が入っていることに気が付いた。
だからといって、急には抜けない。
ましてや、
「ここ…キツイぞ…」
指をゆっくりと動かしながらそんなことを言われれば、余計に力が抜けなくなる。
青島は赤面しながら、呻いた。
「ちょ、ちょっと待って…」
力を抜かなければ辛くなるのは自分だと分かっているが、中々思うようにいかない。
「青島…」
室井が体内に納めた指はそのままで、立ち上がりかけている青島のそこを握り込んだ。
「あっ」
そのまま扱かれて、思わず声が漏れた。
室井の手が素早く上下し、何度も扱かれる。
そこが完全に立ち上がると、同時に中に埋めた指も動かされた。
青島が感じているせいか、室井の指がいくらかスムーズに動き出した。
指を抜き差しされ、湿った音が響く。
青島は顎をそらした。
「あ、はっ…」
「いいか?青島…」
室井の指が狭い体内でうごめき、青島の濡れた先端を強く擦った。
「ん…ん、いい…っ」
青島の腰が震え、先走りが溢れてくる。
室井の手の動きがせわしなくなり、青島の先走りの立てる音が大きくなった。
「うあ、あ、室井さ…、だめ、だ…っ」
上擦った声をあげ、そこをしごく室井の手ごと押さえる。
「も、いっちゃうから…っ」
息を乱しながらやめてくれと訴えると、室井はいくらか頬を上気させ唾を飲み込んだ。
青島の乱れた姿に興奮しているようだった。
「一度いった方がいい…」
力の入らない青島の制止に構わず、再び手を動かし出す。
強く扱きたて、中に入れた指を素早く抜きさしした。
青島は唇を噛んで耐えようとしたが、両方を攻めたてられて、ろくにもたずに早々と根を上げた。
「あ、あ、いく、も…っ」
目を閉じ、無意識に室井の指を締め付けた。
「いいぞ、青島…我慢しないでいいから…」
興奮した室井の声を聞きながら、青島は腰を少しだけ浮かせて突きだした。
「あ…あ、ああ…っ」
擦り上げる室井の掌を濡らし、自身の腹の上にも溢して果てる。
室井は青島が出しきるまで手を動かしてくれた。
青島は荒い呼吸を繰り返し、ただ室井に身を任せた。
「青島…」
名を呼ばれて、ぼんやりと目を開ける。
「良かったか…?」
「ん…」
照れくさいが、本当のことなので素直に頷く。
こんな状態では、見栄もプライドもあったものではない。
室井が相手だから、晒せた姿だと思った。
次は、室井にも晒してもらえばいい。
青島ははにかむように笑うと、室井を誘った。
「次は、室井さんも…」
「まだだ」
室井はやんわりと断わると、青島の腰を抱えて、内股にキスをした。
指はまだ体内に埋まったままで、青島は赤面した。
「え…?む、室井さん?」
「もっと慣らしてからだ、傷付けたくない」
そう言うと、一度指を抜いてローションで再び濡らし、室井の指で少しだけ開いたそこにも直接ローションを垂らした。
「っ」
冷たい感触に息をつめたが、すぐに侵入してきた二本の指の方が衝撃的だった。
「あ、ちょ、室井さんっ、もういいってば…っ」
焦った青島に視線をくれるが、手は止めてくれない。
「辛いか…?」
優しく聞きながら、指を根元まで埋めた。
「や、違うけど…っ、ああ…っ」
先の愛撫で解されたところに、指を増やされて広げられる。
辛いわけではない。
むしろ、慣れた分だけさっきよりも良かった。
だからこそ、勘弁して欲しかったのだ。
また自分だけいってしまうような気がした。
その証拠に、再び青島自身が立ち上がり初めていた。
「あっあ…っ」
室井は青島の腰を抱えるようにして、中に埋めた指を動かした。
柔らかくなった入口を更に広げるように掻き回し、強く奥に突き立てる。
丁寧にほぐされて、ローションでしっかりと濡れたそこは、激しく指を動かされても痛みを訴えなかった。
痛みも抵抗もなく、突きいれられる指を飲み込んでいく。
その場所で、青島ははっきりと快感を覚えた。
室井の指に掻き回されるたび、中がきゅっとしまる。
「はっ、あっ…いい…いいよ…っ」
堪えきれずに快感を訴えた。
青島の中心は、触れられることもなく再び立ち上がっていた。
「青島…ここ、気持ちいいんだな…」
室井の目が、これまでにないほど熱を帯びていた。
青島の中に入りたいと、言っている。
傍で見ている青島にもそれが分かるというのに、室井は青島を愛撫することに夢中になっていた。
青島がイイと訴えた場所にしつこく指を押し付けて、青島を追い込んでいく。
このままでも十分気持ちがいいし、このまま続けられれば間違いなく達する。
だけど、もっと深くに欲しかった。
「む、室井さ、…も、いいから…っ」
青島はどうしようもないほど、焦れていた。
指では足りないというほど、慣れた行為ではない。
だけど、室井を体内に欲しいという欲求があった。
痛みや苦しみなんかよりもっと強烈なものを与えられることを、青島は既に知っている。
ましてや、室井の目が青島を欲しがるから、余計に煽られた。
もう、我慢ができなかった。
「も、きて…欲しいよ…」
半ば涙目でねだる。
室井に手を伸ばしその腕を掴むと、室井の手が止まった。
「青島…」
室井の声が低く掠れ、青島を見下ろす目が欲に濡れている。
その室井が欲しくてたまらなかった。
「おねが…いれて……っ」
勢いよく室井の指が引き抜かれ、その感触にすら青島は震えた。
慌ただしくコンドームの封を切り準備をすると、室井が覆いかぶさってくる。
青島の腰を抱え、そこに熱い塊が押し付けられた。
「青島…っ」
名前を呼ぶのと同時に、室井が体内に入ってきた。
「ああっ」
青島の背中が反る。
室井のしつこい愛撫のおかげで痛みは全くなかった。
指とは比べ物にならない質感に苦しくは感じたが、それすら今は気にならなかった。
室井が青島の足を抱えて、腰をぶつけてくる。
肉を打つ音と、ローションで濡れた個所が卑猥な音を立てる。
「あ、あ、あ…っ」
室井に突かれるたびに、青島の口から短いあえぎ声が上がった。
「青島…あおしま…っ」
「はっ、いい、あ…気持ち、い…っ」
狭い壁を擦られて、揺すぶられて、突き上げられて、青島は素直に快感を追った。
室井の手が青島の前髪を梳き、額に触れながら、唇を重ねてくる。
「んっ、ん…っ」
夢中で舌を絡めて、青島は室井の背中に腕をまわした。
屹立し先走りを零す青島のそれが、揺すぶられるたびに擦れて室井の腹を汚した。
「あ、青島、いい、君の中…っ」
青島の肩口に額を寄せ呻くように言って、室井が強く腰を入れてくる。
イイところに何度も突きいれられて、強すぎる快感に青島の眼尻に涙が浮かんだ。
腰の奥からこみあげてくるものを感じる。
青島はもう限界だった。
「ああ、も、もういく、いきそ…室井さん…っ」
ぎゅっと青島の中が狭くなり、室井を締め付ける。
わざとではなかったが、自分でもそうしているのが分かった。
室井が低く唸った。
「く…っ、俺もいく、青島…青島…っ」
青島の名前を呼びながら室井が数回腰を叩きつけると、青島は声にならない声をあげ痙攣した。
背中を大きくそらし、室井をきつく締めつけて果てる。
そのすぐ後に室井も身体を強張らせた。
体内で室井がびくりびくりと震えているのを感じて、青島は閉じていた目をゆっくりと開けた。
室井が青島の身体にしがみつくようにして、果てている。
―ほら、ね。やっぱり。
肩口に押し付けられた室井の頭を撫ぜた。
―俺が抱いてるみたいだ…。
ぼんやりと頭を撫ぜていると、室井が顔をあげた。
目が合うと照れくさそうにキスをくれる。
「大丈夫か…?」
あれだけ丁重に抱いてくれたのに、まだ気にするのか。
青島は笑いながら、室井の頬をつまんだ。
「平気っすよ」
「そうか」
「誰かさんが焦れるほど丁寧にしてくれたから、平気です」
「…そうか」
青島に頬をつままれたまま、室井は眉間に皺を寄せた。
焦らしたつもりなど、全くなかったのだろう。
ただただ青島を傷つけまいと、生真面目に丁寧に抱いてくれただけなのだ。
青島は微笑みながら、室井を引き寄せた。
「いいんすけどねー、もっと室井さんの好きにしてくれても」
誘うように、軽くキスをする。
からかうような気持ちもなくはなかったが、どちらかといえば本音だった。
眼差しくらい素直に、欲しがってくれてもいいのになと思った。
室井は目を剥いたが、すぐに小さく笑った。
「そうか……なら、いいか?」
「え?」
もう一度と囁かれて、青島の身体がまた熱くなる。
簡単に呼び戻される熱に内心苦笑しつつも、嫌ではないので室井の背中を抱いた。
「もっと室井さんの好きにしてくれても」
それは確かに本音だったのに、この先時々後悔する夜があった。
END
リカさんとの企画で書いたんじゃないかと思うのですが、
どういうコンセプトで書いていたのか分かりません(笑)
二度目ましての室青でした。
恥ずかしい!!
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