■ いいわけない!
最近、室井の様子がおかしい。
あからさまに避けられているわけではない。
食事に行ったり飲みに行ったりはするのだが、自宅には来てくれなくなったし室井の部屋には呼んでくれなくなった。
デートはするが、それだけだ。
つまり、セックスがない。
時間がない、会えないというのなら、青島だって理解できる。
だけど会える時でも、時間が許す時でも、室井と触れ合うことがなくなってしまったのだ。
何故かは分からない。
キスすらしなくなったのは、最後に青島の部屋に室井が来て以来だ。
嫌われたのか、厭きられたのか、他に好きな人ができたのか。
考えられる理由は色々あるが、どれもそうとは思えない。
室井は気持ちの無い相手といつまでも付き合っていける男ではないからだ。
セックスをしなくても青島との交際を続けようとするということは、何か理由があってのことなのかもしれない。
青島は不自然に途切れてしまった触れ合いを不安に思いながらも、室井を信じていた。
だから、青島はいきなり室井の自宅へ向かった。
突然の訪問に室井は驚いたようだったが、門前払いをするようなマネはしなかった。
「すいません、突然来て」
部屋に上げてもらい青島が頭を下げると、室井は慌てて首を振った。
「いや、気にしないでくれ…何か飲むか?」
「室井さん」
台所に向かおうとした室井の手を掴むと、室井の身体が硬直したのが触れた肌から感じられて、少しショックだった。
それでも、ここまできて今更引けない。
「室井さん、話があって来ました」
青島の話が何か分かっているのか、室井は沈痛な面持ちで青島を見つめ返してくる。
その目が何かを決意したように力強く感じられて、青島はハッとした。
まさか、本当に別れるつもりなのか。
そう思って、青島は青ざめた。
「青島、来てくれ」
青ざめていた青島の手を、室井が急に引いた。
そのまま手を引いて、寝室に連れて行かれる。
寝室に入ると室井は青島の手を離し、上着を脱いでネクタイを引き抜いた。
振られるのかと思えばそうではないようで、いきなり服を脱ぎ出した室井に、青島は思考がついていかない。
室井はネクタイを手にしたまま、呆然としている青島を見つめた。
「青島…」
室井に呼ばれて、青島は逡巡して少し近付いた。
また手を取られる。
「すなまかった」
真摯な謝罪だったが、青島にはやはりなんのことだかさっぱり分からない。
「室井さん?一体…」
言いかけた青島は、言葉を飲み込んだ。
室井が青島の両手を握ると、そこにネクタイを巻きつけたからだ。
青島はそれを唖然としながら眺めていたが、手首が完全に固定されてしまうと、そのままその視線を室井に向けた。
「む、室井さん…?」
「至らないところはあると思うが」
室井は唖然としたままの青島に気が付くこともなく、青島の身体をベッドに横たえた。
青島に覆い被さった室井の表情は至って真剣で、いっそ苦しそうにすら見える。
だから押し倒されている今も、青島には室井がしようとしていることが異常であるということに、中々気付けなかった。
室井がポケットからハンカチを取り出した。
「頑張るから」
何をと聞く前に、視界を塞がれる。
それが室井の手にしていたハンカチだというのは、ずっと見ていたから分かっているはずなのに、脳がそれを認めるまでにやや暫く時間が掛かる。
気付いた時には、室井の手が青島のシャツのボタンを外し始めていた。
青島はようやく今の状況を、おぼろげながら理解した。
「室井さん!ちょっと、待って!」
理解したと同時に、混乱する。
なぜ室井が青島を縛って、目隠しを施しているのか。
その上で、行為に及んでいるのか。
青島には全く分からない。
今までこんな行為をされたことはなかった。
してみたいという話をしたことすらなかった。
「室井さん?何で、どうして…っ」
室井の唇が、青島の耳元をかすめ、首筋に滑る。
鎖骨に吸い付かれて、青島は少し背を反らせた。
室井の手が素肌に触れて、快感からではない鳥肌を立てる。
「室井さん!」
青島は必死に室井を呼んだ。
だが、室井からの返事は無い。
ただ室井の唇が、青島の身体に触れるだけ。
なんでこんなことにと、青島は混乱していた。
室井がこういうことをしたいというのなら、ちゃんと言ってくれればいい。
全ての願いは叶えてあげられないが、青島だってできる限りのことはしてあげたいと思う。
セックスは二人で一緒に気持ち良くなるものではないのだろうか。
少なくても、青島はそう思っていた。
これほど一方的なセックスなど、室井との間に一度もなかった。
それなのに、今の室井は青島の意思など確認する気はないようで、淡々と行為を進めていく。
どうして、なんで、こんなことを。
青島は混乱した頭の片隅で、愕然と思った。
―俺のこと、嫌いになったから?
だから、こんなことができるのだろうか。
青島のことをどうでもいいと思うから、こんなことを強いるのだろうか。
室井がそんなことをできる男だなんて、青島も思っていない。
思っていないが、青島がそう扱われている気になっても無理は無かった。
言いようの無い悲しみが、堰を切ったように溢れてくる。
「室井さん…室井さんっ、室井さん!」
何かがキレたように叫ぶ青島の声に、室井の動きが止まった。
「室井さ…室井さん…っ」
声が震えるのを堪えるように唇を噛むと、室井が息を飲む音が聞こえた。
程なくして、青島の視界が開ける。
突然明るくなった視界に、室井が見えた。
痛々しい表情で青島を見つめている、室井が見えた。
「すまない…っ」
辛そうに吐き出すと、両手で青島の頬を包んでくれる。
「そんなに不安そうなお前を見ながら、セックスなんかできないっ」
言いながら何度も頬を撫ぜられた。
その温もりに素直に安堵して、がちがちに力の入っていた身体から力が抜けていく。
それでも、室井の言い分が青島には理解できなかった。
半泣きになりそうになりながら、室井を睨む。
「そんなの、俺だってしたくないですよっ」
二人ともしたくないというのに、一体なんのために室井が青島を縛り、目隠しまで施したのか。
「何で…何でいきなりこんなこと…」
室井は目を見開いて、青島を見つめた。
「何でって…お前がしたかったんじゃないのか?」
「はぁ?」
間の抜けた返事を返しながら、手を縛られていることも忘れて、殴ってやろうかと思った。
だが至って真剣な室井の表情に、本気で室井がそう思っていることが分かる。
室井も青島が驚愕していることに気が付いたのか、急にしどろもどろになった。
「しかし、俺は君の部屋で…」
「俺の部屋?部屋に何かありました?」
「…た、大量のSM雑誌が」
言われて、青島は目を剥いた。
「そんなもんあるわけっ……あ」
無い、とは言えなかった。
正確に言えば今は無いが、そういえば一日だけ大量のSM雑誌が青島の部屋に確かにあった。
「あれは、押収品です」
「押収品…?」
「ええ。ストーカー事件の捜査に協力してくれた被疑者の友人が、被疑者から借りてたものだからってバカ正直に提出してくれたんですよ」
署に持ってきてもらったわけではなく、聞き込みに行った青島に直接渡してくれたため、その日署に戻れなかった青島が一日だけ自宅に持ち帰ったのだ。
それをたまたま室井に見られていたのだろう。
「そういえば、あの日、丁度室井さん俺んちに来てましたっけ…」
呆然としている室井を見て、青島はようやく室井の誤解がよめてきた。
室井は青島の部屋で大量のSM雑誌を発見してしまい、青島にそういう趣味があったのだと勘違いをしてしまったのだ。
そして、室井は室井なりに真剣に青島のことを考えて、SMプレイに手を出そうとして、青島の手首を縛って目隠しを施したらしい。
そう結論付けると、青島は窺うように室井を見上げた。
「俺を…嫌いになったんじゃない?」
茫然自失となっていた室井だったが、青島の一言にハッとすると慌てて身を起こした。
「まさか!そんなわけないだろうっ」
思わずといった感じに怒鳴る室井に、青島は心底ホッとした。
室井に嫌われてしまったわけではない。
室井が変わってしまったわけではない。
その事実が分かっただけで、青島には充分だった。
やんわりと笑みを零した青島を見て、室井が顔を歪めた。
「すまない、俺はなんてことを…」
誤解が解けてみたら、望みもしない青島にSMプレイを強要した形になってしまった。
そのことを気に病んでいるのか、今度は室井が青ざめていた。
「誤解していたとはいえ、俺は」
「室井さん」
青島は室井の言葉を遮ると、室井に向かって両手を差し出した。
「これ、取ってくれません?」
室井が丁寧に巻いたネクタイ。
それを見て、室井は更に痛ましそうな表情になってしまった。
「すまない」
謝りながら、手首を解放してくれる。
自由になった手首を軽く振りながら、青島は半身を起こした。
室井と正面から見詰め合う。
自己嫌悪しているのが顔を見ているだけで伝わってくるから、青島はつい笑みを零した。
そのまま両手を室井の頬に当てて撫でると、今度は抱きついて背中を軽く叩いた。
「ん、ほら、やっぱり」
「…え?」
「こうできる方が、気持ち良くないです?」
青島はペタペタと室井の身体に触れた。
「俺も室井さんに触れてたいってことですよ」
室井は目を剥いて絶句したが、すぐにキツク抱きしめてくれる。
「すまない、本当にすまない」
室井の肩口に頬を摺り寄せて、青島は笑った。
「もういいですって、誤解だったわけだし」
悲しかったし不安だったけどちゃんと理由が分かったから、室井が青島のことを想ってくれていることは良く分かったから、だから青島は怒ってはいなかった。
だけど室井は未だに後悔している。
暗い表情が一向に晴れない。
折角誤解が解けたのだから、折角室井と二人でいるのだから、楽しまない理由は無い。
青島は悪戯っぽく笑って、室井の頬に口付けた。
「そんなことより、もっとちゃんと触れ合いたいです」
室井は強張った表情で青島を見て、宙に視線を投げた。
躊躇って悩む理由は、青島を傷つけたと思ってくれているからだ。
だったら、そうではないことを青島が教えてやればいい。
「ちゃんと愛してくださいよ」
言葉でも心でも、身体でも。
手段ならなんでもいい。
室井と愛し合うのに、手段なんて選んでいられない。
青島が強い眼差しを向けると、室井はとうとう観念したのか小さく苦笑を漏らした。
返事は直接唇に返ってきた。
ベッドに向かい合って座ったまま、唇を重ねる。
室井の舌を口内に招き入れて、吸い付いた。
舌をなぞるように舐めると、興奮したのか室井のキスが深くなる。
室井の舌を愛撫していたつもりだったが、いつの間にか舌を絡め取られていた。
舌を絡めあいながら、既に肌蹴ていた青島のシャツを割って、室井の手が侵入してくる。
暖かい手の感触に、今度はちゃんと気持ち良いと感じた。
それを嬉しく思いながら、青島は室井のシャツのボタンを外し、露わになった引き締まった肌にそっと触れた。
「やっぱり、こっちの方がいいですよね」
「…ん?」
青島が室井の乳首を撫ぜると、室井は小さく息を詰めた。
それを見て、笑みを零す。
「俺も愛撫できる方が、室井さんも気持ちイイでしょ?」
室井は苦笑すると、室井の身体を撫ぜていた青島の手を取ってキスをした。
手の甲に唇を押し付けて、指先に滑らせる。
そのまま室井の熱い口内に飲み込まれて、青島は薄っすらと頬を染めた。
指先を舐められているだけなのに、舌の感触がリアルに感じられて身体が熱くなる。
室井が指を咥えたまま青島の顔をじっと見つめてくるから、青島は慌てて視線を逸らした。
照れが伝わったのか、室井は笑みを零して指を解放してくれた。
「青島」
肌蹴た青島のシャツを肩から落としながら、優しく囁く。
惚れているせいでそう聞こえるのか、本当にそうなのかは知らないが、最中の室井の声は酷く甘く響くから、逆らえない。
青島が室井に視線を戻すと、室井は目を丸くして小さく笑った。
失敬なと思ったが、どうやら青島が悪いらしい。
「何も睨むことはないだろう」
「睨んじゃいませんよ」
「どこが」
「見つめてるだけです」
「迫力があるぞ」
「熱っぽいって言ってください」
意地になって言うと、室井が唇を寄せてくる。
軽く触れ合わせて離れると、今度は瞼に口付けられた。
一瞬閉じた瞼を持ち上げると、室井が真顔で見つめていた。
「やっぱり、君の目が見えないと嫌だな」
何の話かと思えば、先程の目隠しの話だ。
青島は瞬きをして、笑みを零した。
「俺も室井さんが見えないと、嫌です」
今度は青島が軽く唇を奪う。
そうしながら室井のシャツも脱がしてしまい、室井が舐めて濡れた指で室井の素肌をなぞると、室井が少し眉を寄せた。
自分で舐めたのだから、文句も言えまい。
青島はそう思い、心の中でひっそりと笑った。
室井がイイ反応をしてくれると、青島もつい楽しくなってしまう。
濡れた指で乳首を愛撫したら、すぐに室井の反撃にあってしまった。
腰を引き寄せられ、肩を押される。
そのまま後に押し倒されて、足の間に室井が身体を割り込ませてきた。
ベルトを外されて、下着ごと脱がされる。
急に下半身が外気に晒されて、慣れた行為なのだがさすがに気恥ずかしい。
すぐにソコを握りこまれて、扱かれる。
性急な愛撫に、青島は少し息を詰めた。
手での愛撫を続けながら、室井の唇が青島の胸元に落とされる。
乳首を舐め上げられて、少し腰を浮かせてしまう。
そうすると、室井の手の動きが激しくなった。
「ちょ、待って、室井、さんっ」
「どうした?」
青島の胸から顔を起こした室井が至近距離で見つめてくる。
「俺も、室井さんに触れたい」
愛撫したいと訴えると、室井はやんわりと微笑んだ。
「ちゃんと愛して、と言ったのは君だぞ」
そう言うと、ソコを強く握り先端を指先で擦る。
青島は顎を反らせた。
「んっ…そ、だけど…っ」
「だからちゃんと愛させてくれ」
「ああ…っ」
どんどん追い上げられ、先走りの湿った音と、青島の荒い呼吸音がばかりが響く。
こうなっては、青島も引けない。
強く擦り上げられて、室井の手にあわせるように腰が揺れる。
青島はキツク目を閉じた。
室井の前でみっともない姿を晒している気がするが、今更だ。
それにどんなにみっともない姿でも、室井は愛してくれるし興奮してくれることを、青島はもう知っている。
青島が我慢することなく高みを目指すと、室井も焦らさずに追い上げてくれた。
「青島、我慢しないでいいからな…」
声を聞くだけで、室井が興奮していることが分かる。
青島はそっと目を開けると、室井に向かって手を伸ばした。
意図を察して、室井がその手を空いた手で握ってくれる。
「ん、ん、もう、ダメ、かも」
途切れ途切れに訴えると、強く扱いてくれる。
「―――ッ」
青島は背を反らせて、遠慮せずに果てた。
手を止めない室井に促されて、自分の腹の上に全て吐き出す。
「凄いな…」
室井が呟いたから、青島は視線をそっと持ち上げた。
室井を見上げるとその視線が自分の腹の上にあることに気付いて、青島は赤面した。
「仕方ないでしょ、久しぶりだったんだから…」
「そうか…すまない」
謝られて、青島は赤面したまま呆れた顔をした。
室井は無意識なのだろうが、ここで謝るというのは大した自信家ではないだろうか。
自分でするから気にしないでいい、という主張も如何なものかと思うので、青島は結局苦笑して首を振った。
青島が身を起こそうとすると、室井の手がそれを遮った。
そして、腰を抱えられる。
あっと思っているうちに足を開かれ、あらぬ所を開かれて、青島は顔を背けた。
何度もしているが、そこを見られる気恥ずかしさはまだ消えない。
消える時がくるのだろうかと思うと、それはそれで恥ずかしい。
室井が潤滑剤代わりに、青島の腹に手を伸ばした。
撫ぜられて、青島は身を捩った。
「くすぐった…」
室井の唇が宥めるように青島の太腿に落とされる。
あちこち触ってもらっていると、気持ちがあちこちに分散するので、青島にとっては気が楽だった。
指を充分に湿らせると、慎重にソコに触れてくる。
濡れた感触に、思わず力が入ってしまった。
「青島…」
「ん、すいません…ちょっと、待って…」
一度力が入ってしまうと、中々抜けない。
ちょっと深呼吸をして、室井が入りやすいように努力する。
そんな青島を見ながら小さく微笑むと、室井は一度達して萎えたソレに唇を寄せた。
「うわっ」
予期せぬ舌の感触に、青島は色気のない声をあげた。
その瞬間に、室井の指が後に入ってくる。
「ッ」
「痛くないか?」
「へ、いきです…けど、そこで喋んないでくださいよ…」
青島の抗議に目だけで笑うと、室井はソコを口内に含んだ。
そうしながら指を動かすから、堪らない。
「ん、あ…ちょ…っ」
青島の反応を見ながら、指を動かし舌を使う。
性格が不器用なのに反してこういう作業は存外器用で、青島にしてみれば腹立たしいやら嬉しいやらだ。
性格と一緒で手先も不器用だったら、青島はもっと辛かったかもしれない。
指を増やされて、青島の喉から押さえた声が漏れた。
「あ、あ、も、むろい、さ…」
「ん…イクか?青島」
「じゃなくてっ、もう…っ」
怒ったように言うと分かってくれたらしく、室井はそこから顔をあげた。
指も抜くと、自分のベルトを外し下着をずらした。
そうしてから覆い被さってくる室井とキスをする。
唇を重ねながら、青島は室井のソレに手を伸ばした。
既に充分な状態のソレを握りこんで愛撫すると、室井の呼吸が乱れてくる。
青島は室井の耳たぶを舐めながら思い出して、空いた手をサイドボードに伸ばした。
引き出しを開けて、コンドームを取り出す。
自分の唇に咥えて、手で封を切った。
その動作を見ていた室井のソレが素直に反応を返してくるから、青島はコンドームを咥えたまま笑みを零した。
片手で開けられなかっただけなのだが、室井を誘う形になったらしい。
「…笑うな」
青島に興奮がダイレクトに伝わってしまったことが気恥ずかしかったのか、室井が難しい顔で零すから、ますます可笑しくなる。
「らって」
「咥えたまま、話すな」
呆れたように言って、室井がそれを手に取った。
「あ、俺がやりますよ」
室井の手から奪い返して、青島はまた室井のソコに手を伸ばした。
手を動かしながら室井の唇を求めると、室井もすぐに応えてくれる。
「ん…も、いいですよ…」
準備が終わると、青島は室井の背中に両手を回した。
「ありがとう、いくぞ」
室井の熱を感じて、キツク目を閉じる。
広げられる感触に、青島は無意識に室井の背中に回した腕に力を込めた。
腰をつかまれ、奥に奥にと室井が進んでくる。
一度最奥まで収めてしまうと、室井が腰をぶつけた。
「うあっ」
「青島…っ」
高い声が漏れると、後はもうなすがままである。
揺すぶられて突き上げられて、求められるままに室井を求める。
久しぶりに身体の中で感じる室井に、心も身体も素直に喜ぶ。
青島がずっと欲しかったのは、室井のこのぬくもりだ。
揺れる視界だが、室井をしっかりと捕らえると、青島は悪戯っぽく笑った。
「あ、ん…むろ…さん…っ」
「ん…?」
「今度…手、縛って、みます…?」
身体を揺すりながら、室井は目を剥いた。
そして、ちょっと考えて、青島に軽くキスをした。
「やめとこう…トラウマに、なりそうだ」
不安そうだった青島が余程堪えたのか、室井は切なそうに眉を寄せた。
その顔を見て「可愛いなあ」と思ったが、言葉にする余裕は無かった。
「青島…っ」
ラストスパートとばかりに突き上げられて、青島の喉から小さな悲鳴が漏れた。
二人揃って果てる瞬間。
霧が掛かったように霞んだ頭の片隅で、青島は思った。
室井さんの顔が見えないのは、やっぱり勿体無い。
青島にしか見せないイイ顔。
それを見届けると、青島は瞳を閉じて室井の背中を抱きしめた。
「室井さん」
「何だ」
「もう、何日もしないの、止しましょうね」
「?」
「まとめ射ちされるのは、辛いです…」
「…す、すまない」
END
こうみると、裏は馬鹿話ばかりだなあ(汗)
お粗末様でした!
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