■ 拍手ログ01


「なんだこれは」
室井が微妙な表情で見下ろしてくるから、青島はその視線を辿って首を傾げた。
「なにって…パンツでしょうね」
室井が脱がせたため、青島は今パンツ一丁である。
室井の視線の先には、パンツくらいしか見当たらなかった。
「そうじゃなくて」
聞きたかった返事ではないようで、室井は眉を寄せた。
パンツから視線を逸らし、青島の顔を見下ろしてくる。
「なんて柄のパンツだ」
室井の突っ込みに、青島は思わず笑った。
「いちご柄、ダメっすか?」
青島が今履いているパンツは白地に小さないちごのイラストが入った、絵に描いたようないちごのパンツだった。
それが室井には気になったらしい。
青島の下着に対して室井が好みを言ったことなどないからあまり興味もないのだろうと思っていたが、どうやらいちご柄はお気に召さなかったようだ。
「自分で買ったのか?」
「いや、さすがに自分じゃ買いませんよ。元旦に署でやったビンゴ大会の景品です」
「君らは元旦から何をやってるんだ」
「あははは、本当に、ねえ?」
「…当たったからって、わざわざ履かなくてもいいだろ」
「勿体ないでしょ。まあ、誰に見せるわけでもないっすからね。あ、いや、室井さんが見ますね」
相変わらず複雑な表情で見下ろしてくる室井に、青島は首を傾げた。
「いちご、気に入らない?」
青島も別に気に入って履いたわけではない。
本当に手元にあったからただ履いただけである。
室井とデートの時くらい遠慮すれば良かったかと思ったが、今更だった。
確かに40男が履くパンツではなかったかもしれない。
「いや、別に構わないが…」
室井はそう言うが、そのわりにテンションが下がっている。
さっきまでにそれなりにあったムードがすっかりどこかにいってしまったようだ。
青島は笑いながら室井の首に腕を回した。
「萎えた?」
眉間に皺を寄せたものの、室井は苦笑を浮かべた。
「少しな」
「じゃあ、やめますか?」
悪戯っぽく笑って小首を傾げてお伺いを立てる。
返事は聞くまでもない。
室井は一瞬考え込んだが、おもむろに青島の腰に手を伸ばした。
「どうせすぐ脱ぐんだから、問題ない」

脱がせるの間違いでしょ、という青島の訂正は正しかった。










END

2012.9.4

あとがき


1月5日(いちごの日)に更新した拍手のお礼小話でした。


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