■ 夢だけど夢じゃない
朝方目が覚めてトイレに立った室井は、寝室に戻って目を丸くした。
ベッドの中には、当然まだ眠ったままの青島がいる。
その青島が目を閉じたまま、手をバタバタさせていた。
室井が寝ていたシーツの上に腕を伸ばし、羽をバタつかせるように腕を上下させる。
鳥になる夢でも見ているのかと思ったが、そうでもないらしい。
次にはバシバシとベッドを叩いている。
―……ギブアップ?
青島は一体なんの夢を見ているというか。
数回場所を変えて同じ動作を繰り返したと思ったら、パチリと目を覚ました。
視線がバッチリ合う。
しっかりと目を開いているというのに、どこか寝ぼけている眼差し。
「……いた」
小さく呟いた。
室井には何のことだか分からない。
「は?」
「そんなとこに……いた」
そう言って、手招きをする。
どうやら室井を探していたらしい。
室井は嬉しいやら可笑しいやらで苦笑を噛殺しつつ、素直に近寄った。
ベッドサイトまで行くと、青島が腕を引く。
「もう…勝手にいなくなんないでくださいよ…」
不満そうに言いながら、強く腕を引く。
「どれだけ探したと思ってるんですか……」
「どれだけって…」
室井がベッドを抜け出て、たかだか数分。
青島が室井を探して―手でだけだが、1分と経っていないだろう。
そこまで恨みがましく言わなくても…と思ったら、青島は目を閉じて呟いた。
「さ…後は逮捕するだけです…」
室井は目を丸くした。
夢を見ていたことも間違いじゃなかったらしい。
「室井さん……命令を……」
いや、今も見ているのだ。
室井と一緒に犯人を逮捕する夢を。
室井は噛殺せない笑みを浮かべながら、青島を抱きしめてベッドに戻った。
「青島、確保だ」
耳元で囁いたら、青島はそれはそれは嬉しそうに微笑んだ。
そして、そのまま、また眠りに落ちる。
室井は青島の額に唇を押し付けて、青島の頭を抱え込むように瞳を閉じた。
「良くやった……青島」
「お、俺、そんなこと言いました?」
ランチを一緒に食べながら、室井は青島に今朝の出来事を話してやった。
案の定、耳まで赤い。
照れるだろうとは思ったが、その顔が見たくなってしまったのだから、仕方が無い。
可愛いなぁと思いつつ、そんなことはおくびにも出さずに、室井は箸を進める。
「夢を見ていたみたいだな」
「え…ええ、室井さんと事件を追ってる夢で…」
夢の内容を思い出しながら話す青島だったが、ふとはっきり思い出したようだ。
目を輝かせて、行儀悪く室井を箸で指す。
「あの、ほら、副総監誘拐事件の時みたいに、一緒に」
室井はその箸を手で下に下ろさせながら、苦笑した。
「そうか」
「ええ、何かいいところまで追い詰めたら、室井さんがいなくなっちゃって……そしたら、何故か犯人の家の玄関に室井さんが現れたんです」
そう言ってから、青島は頭を掻いた。
「寝ぼけてたんだなぁ、俺」
室井は箸を止めると、青島を上目使いに見た。
「したか?」
「え?」
「確保」
尋ねたら、嬉しそうに笑って頷いた。
「もちろんっ」
「そっか」
また可愛いなぁと思ったが、今度は顔に出たかもしれない。
表情がさすがに崩れる。
青島はそんなことには気付く様子も無い。
「室井さんに褒められましたよ、良くやったって」
朗らかに言われて、室井は軽く目を見張った。
―眠っていると思ったんだが…。
ちゃんと聞こえていたことに驚いていたのだが、青島は照れ臭そうに頭を掻いた。
「あ〜都合の良い夢見て…って、呆れてるでしょ」
「いや、そうじゃなくて」
「まかせてくださいよ」
否定しようとした室井の言葉を遮って、青島は胸を張った。
「もっと頼れる男になりますから」
今でも充分。
そう思ったが、青島の気持ちが嬉しかったから。
「期待してる」
それだけ伝えると、青島は大きく笑った。
END
2005.7.21
あとがき
前半部で止めても良かったんじゃないかと思うんですが(^^;
無性にいちゃいちゃしてるだけの二人が書きたいです。
いつも書いてるじゃねーかなんて言わないであげてください(笑)
つくづくベッドにいる二人がすきなんだなぁ、私…。
エロは滅多に書けないくせに(苦笑)
事前事後の雰囲気とかが好きなのかも。
翌朝とか。
何だったら、何もせずに寝ててくれてもいいんですけど。
…余程、ベッドでいちゃいちゃする室青が好きらしいです;
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