■ せくはら3


捜査員が出払った捜査一課で捜査資料に目を通していた室井は、隣に立った一倉に気が付いて顔をあげた。
ニヤニヤしている一倉を見て、視線を資料に戻す。
一倉は大抵ろくな事を考えていないが、ニヤニヤしている時は更に要注意だ。
関わらないに限る。
「室井」
「今、忙しい。後にしてくれ」
「夕べは楽しかったか?」
室井の言葉などお構いなしに話しかけてくる一倉に、溜息を吐いた。
「青島と会ってたんだろ?」
「それがどうかしたか」
それは事実だが、今更一倉に冷やかされる覚えはない。
室井が青島と会うことなど、改めて指摘されるほど珍しいことではないのだ。
一倉はニヤリと笑った。
「相当、激しかったようで」
あからさまなセクハラ発言に、室井は眉を寄せた。
夕べは何もしてない、と言いかけて止める。
わざわざ一倉に報告するようなことではない。
「阿保か」
室井が取り合わず冷たく言い放つと、一倉は自分の首筋をぽんっと叩いた。
「青島は興奮すると噛む癖でもあるのか?」
室井が目を丸くすると、一倉が意地悪そうに笑った。
「それ、歯型だろ?」
一倉の言う通りだ。
だか、シャツの隙間から見えているのはほんのちょっとだけで、ぱっと見はただの傷にしか見えない。
それだけで歯型と断定できる一倉の目敏さには、感心するやら呆れるやらだ。
「俺をごまかせると思うなよ」
鼻で笑う一倉に室井は深い溜息をついた。
「ごまかす気はないが…」
「お。じゃあ、やっぱり青島の癖か」
「違う。俺が食われかけただけだ」
一倉が大袈裟に目を剥いた。
「お前、ひっくり返されちゃったのか…」
それは不憫な…と言われて、室井は思わず怒鳴る。
「違うっ」
「じゃあ、何だよ」
「だから、そんな色っぽい話じゃなくてっ」
「あん?」
首を捻っている一倉に、室井は仕方がないから説明する。
「夢を見ていたらしいんだ」
「は?」
「オーブンで焼いていた七面鳥が、焼き上がる直前に飛んで逃げる夢」
「……」
朝方だった。
首筋に走った痛みに目を覚ますと、青島が室井の首に齧りついていた。
慌てて引きはがすと「待て!七面鳥!」と叫んだ青島は、呆然としている室井を置き去りにして、また眠りに落ちてしまったのだ。
完全に起きてから事情を聞いたところ、恐縮しながら夢の話しをしてくれた。
そのままを一倉に話すと、呆れたような顔をした。
「なんだ、そりゃあ」
「疲れると、妙な夢を見るらしい」
「お前が疲れるようなことしたんじゃないのか」
「……何が何でもそっちに話題を持っていきたがるのは、オヤジになった証拠だぞ。気をつけろ」
名実ともにオヤジで間違いはないのだが、一倉のエロオヤジぶりは目に余る。
尤も一倉は室井の忠告など聞いちゃいない。
「最中に噛むと興奮するヤツがいるらしいぞ」
「そうか」
何度も言うようだが、相手にしないに限る。
酷くおざなりな相槌を打ったが、一倉は全く気にしない。
「今度試してみたらどうだ」
「そうだな」
「噛んだ瞬間にイくこともあるそうだ」
「…そうか」
「青島はどうだろうな」
「……」
「どんな声で鳴くんだか」


室井は一倉を張り倒した。
「人の恋人で、変な想像するな!」










END

2005.1.23

あとがき


コレをキスのお題にしようと書いていたのですよ〜(失笑)
結局はSSSのせくはらシリーズ行きになりました。
あのお題に一倉さんは出せません(笑)
室井さんと青島君のいちゃラブしか、書かない予定です!
…要らない宣言ですねぇ;

一倉さんのセクハラに、大分耐性が出来てきた室井さん。
青島君が絡むとダメみたいですけど(笑)

本当にくだらなくて、ごめんなさい…;


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