■ KITTY・その後
室井はくすぐったさに目を覚ました。
首筋を舐められる感触に、思わず身を捩る。
「こら…青島…」
朝から珍しいなと思いつつも、青島の髪を撫ぜた。
つもりだった。
明らかに青島の髪じゃない感触に一瞬硬直する。
青島どころか人の髪の毛じゃない。
室井は一気に覚醒すると、慌てて視線をそれに向けた。
「みゃあぁ」
一倉から預かった猫である。
いつの間にやら室井の懐にもぐりこんできたらしい。
正体がはっきりすると、室井は身体の力を抜いた。
そして、苦笑して猫の頭を撫ぜる。
「みゃあ」
嬉しそうにもっと撫ぜれと擦り寄ってくる。
そういえば隣で寝ていたはずの青島は?と思い視線を動かして、室井は再び硬直した。
戸口に立った青島が、膨れっ面で室井を睨んでいたからだ。
「あ、あおしま?」
朝っぱらから怒らせるほど、夕べは無茶をしただろうか…。
そんなことを考えながら、少々焦る。
だが、青島が膨れているのはそんな理由ではなかったようだ。
つかつかとベッドに歩み寄ると、乱暴にベッドに腰を下ろした。
室井に背を向けて。
「青島?」
「……俺と、猫と、間違わないでくださいよ」
室井は目を丸くした。
どうやら、室井が寝ぼけて青島の名を呼んだのを聞いていたらしい。
そして、それを怒っているらしい。
そういえば、夕べも猫に妬いたようなことを言っていたと思い出す。
室井は緩む表情を片手で隠した。
背中を向けているので青島に見られることはないのだが。
「みゃあ?」
室井の撫ぜる手が止まったせいか、猫が一声鳴いて催促してくる。
申し訳ないと思いつつ、猫を抱き上げるとベッドから下ろした。
そして、背中を向けたままの青島の腕を引っ張った。
「わっ!」
驚いて声をあげた青島が、あっさり倒れこんでくる。
室井にもたれかかるように仰向けに倒れ、目を丸くして室井を見上げてくる。
その無防備な唇に軽くキスを落とした。
「俺の願望だったのかもな」
「…はい?」
「君がしてくれると嬉しいなと思ってたのかもしれない」
室井を見上げたまま、青島が赤面した。
「あ、あ、朝っぱらから、何言いますか」
青島を見下ろしたまま室井は微笑んだ。
「言わせたのは君だぞ」
目を瞬かせてから、青島は膨れっ面をした。
「俺のせいですか」
「そうだ、君のせいだ」
青島は膨れっ面のまま、室井の頬に両手を当てた。
導かれるままに、室井は青島にキスをする。
「…なら、責任取ります」
猫に負けてたまるか、とでも思っているのかもしれない。
膨れたままキスをせがむ青島に、室井は苦笑した。
猫どころか青島に勝るものなど、室井には何一つありはしないのに。
END
2004.9.11
あとがき
SSSの「KITTY」のその後です。
タイトルのままですが(笑)
ラブラブですねー(それしか言うことが何も無い…;)
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