■ 「メール」の続き
お久しぶりです室井さんっと笑顔で出迎える予定だった青島は、ドアを開けた途端に抱き締められて予定が狂った。
だが、何度も唇を押し付けてくる室井に欲を感じて、ある意味予定通りであると、内心でほくそ笑んだ。
一月も会えずにいれば、色んなものが溜まるのだ。
会いたい気持ちであったり、もっと即物的な欲求だったり。
室井に会って早くそれらを満たしたくて、夕方室井を煽るようなメールを送った。
早く早くとねだる青島の気持ちを、室井は理解しているのだろう。
青島は満足げに笑いながら、室井の首に腕を回した。
「久しぶりですね、室井さん…」
囁く合間にも唇を重ねる。
会うのも、キスをするのも久しぶりだ。
「ああ…張り込み、うまくいったか?」
「ええ、無事に被疑者確保できましたよ」
「そうか、良かったな」
「室井さんの方は?特捜立ってるって言ってましたけど」
「解決したから問題ない」
言葉少なに現状報告をし、室井は青島から身体を離したが、手を握るとそのままベッドに向かった。
他のことにはまるで興味が無さそうな室井がおかしい。
今、この男の頭にあるのは自分を抱くことだけかと思ったら、堪らなかった。
寝室に入りさっさとベッドに上った青島が誘うまでもなく、室井が伸し掛かってくる。
すぐに覆い被さった室井に、青島は笑った。
「上着くらい脱いでくださいよ」
室井は煩わしそうに顔をしかめたが、動き辛いと思い直したか、一度青島の上で身体を起こし、上着を脱ぎネクタイを引き抜いた。
青島を見下ろしたまま黙々と服を脱いでいく室井に、青島はぞくぞくした。
ただ待っていることが出来ず、ベストを脱ぐ室井のベルトのバックルを外した。
ファスナーを下ろそうとしたところで、室井が再び覆い被さり口付けてくるから、青島は両手でその背を抱いた。
「青島…」
耳に届く室井の声は、いつもよりも低く掠れていて、切羽詰まっているのが分かる。
欲しかったのは自分ばかりではないことが嬉しくて、青島は笑みを浮かべた。
「室井さん、会いたかったです」
室井の頬に手をかけ囁いたら、キスが返って来た。
それが返事らしい。
言葉を惜しんでいるわけではないのだろうが、言葉にする時間は惜しんでいるのかもしれない。
青島は笑いながら、室井に抱き付いた。
「ちょっとは言葉で愛伝えてくださいよ」
室井の吐息が耳元に掛かる。
「抱きたい」
大変素直な要求に興奮を覚えながらも、青島は笑った。
「微妙な愛の言葉だけど、悪くはないかな」
偉そうな評価に室井が眉をひそめたのは一瞬で、すぐに行為に戻っていく。
堪らないなぁと思いながら、青島も室井の身体に触れた。
下着ごしに室井に触れれば、彼の高ぶりを感じて喉がなる。
愛撫しようとしたが、すぐに室井に手を振り払われた。
「少しじっとしてろ」
悪戯を咎めるように囁きキスをする室井に、青島は微かに戸惑った。
「でも室井さん」
早く気持ちよくなりないから、性急に求めてくるのではないのか。
青島はそう思っていたのだが、室井の事情は少し違うようだった。
「早く欲しいのは君だろ」
「それはもちろんそうだけど」
「なら、黙って感じてろ」
室井が青島の服を剥ぎ、愛撫してくる。
言葉とは裏腹にいつになく熱っぽい声音や性急な手が、室井も青島を欲しがっていると教えてくれた。
わざわざメールで誘うくらいだから、青島が欲しがっているのは室井も良く分かっているのだろう。
だから、奉仕しようとしてくれているのかもしれない。
抱きたいと言い事実欲情しているくせに、青島を満たすことを優先する気でいるのだ。
欲望をむき出しにしても見え隠れする愛情にぐっとくる。
青島自身は室井を愛撫することも好きだしそれで興奮もするが、今は室井に全て任せることにした。
室井の首に腕を回し、唇を重ねながら、少し腰を浮かせ自ら愛撫をねだった。
焦らすことなく青島を追い立てる手と、深くなったキスに、室井の興奮が伝わって堪らなかった。
「ん…っ、気持ちいいよ、室井さん…」
「そうか…」
目を細めた室井は嬉しそうに見えた。
青島が感じているのが嬉しいのだろう。
青島は堪え切れずに笑うと、室井の唇に何度もキスをした。
「青島…」
「ん、室井さん、もっと…」
この時ばかりは多少の羞恥を感じるが、今更室井に欲望を隠しても仕方がない。
青島は室井にキスしながら足を開いて誘った。
意味を悟った室井が内股を撫ぜ、奥へと指を滑らせる。
優しく丁寧な愛撫に焦れて、青島がねだる。
「室井さん、早く…もっと…」
室井が呻くように唾を飲み込む音がした。
「青島…すぐ良くしてやるから…」
「うあっ、ちが、違う…そうじゃなくて…っ」
室井の両手が青島を追い上げるように激しく動いた。
いかせようとする愛撫に、青島は首を振って抗った。
「青島…?」
青島が何を求めているのか分からなかったのか、室井は宥めるように額や唇にキスをし、青島の顔を覗きこんだ。
視線を合わせ、青島は照れ笑いを浮かべた。
「いきたいんじゃなくて、室井さんが欲しいんですよ」
僅かに目を見開いた室井の首にしがみつく。
男の身体はすぐに受け入れられるようには出来ていない。
そのための準備を青島は室井に求めていた。
「早く、開いてくださ…っ」
語尾が掠れて高くなったのは、室井の指が再び動き出したからだ。
室井を受け入れるために開かれる身体に羞恥がなくなることはないが、それを遥かに上回る快感と喜びを青島は知っている。
青島は室井にしがみつき、自身の身体の準備が終わるのと室井の限界が来るのをただ待った。
この夜、大層室井に頑張られた青島が「ここまでやれとは言ってない」と文句を言ったが、室井は頑として謝らなかった。
「悪いのは俺じゃない」
その室井の主張は、あながち間違ってはいないのかもしれない。
END
2012.12.24
あとがき
イブに何を更新してるんでしょうか…(笑)
先に更新した「メール」の続きでした。
某ラジオで「彼女はただ感じていてくれたら凄く嬉しい」って言った方と、
「それはない!」って言った方がいました。
殿方も人それぞれだなーと思いました。
どうでもいいな(笑)
お粗末様でした!
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