「一倉さん」

「んー?」

「これって、この切り方でいいんですかね?」

「俺に聞くなよ」

「・・・火が通れば何でもいいですよね?」

「・・・そうだな」





「全部一緒に煮ていいもんか?」

「さぁ・・・」

「順番とかあるんじゃなかったか?」

「さぁ・・・」

「・・・役に立たないな」

「どっちが」

「・・・・・・」

「煮込んじゃえば、一緒ですよ」

「たまに、お前のポジティブさに救われるよ」





「うわっ。これって、いいお肉でしょ?」

「そうか?良く分からん。スーパーなんて滅多に行かないからな」

「だって、めっちゃ霜降りですよっ」

「おお、それで美味そうだから買って来たんだ」

「さっすが!キャリアは違いますね〜」

「ほら、嫌味言ってないで、手を動かせ」





「・・・焦げたな、見事に」

「あああああ、勿体無い〜」

「ああ、まだ何枚か残ってるぞ」

「折角のいい肉なのに〜」

「言うなって」

「滅多に食べれないのに〜」

「ま、また食わしてやるから、泣くなよ」





「つ・・・疲れたな・・・」

「ええ・・・何か、微妙に腹いっぱいです・・・」

というか、胸いっぱいというか。

珍しく二人揃って台所に立ち、ちょっと手の込んだものを作ろうとしたのだ。

わざわざネットでレシピを探してきて、材料をそろえて、手間をかけて。

過程はともあれ、出来上がった料理の見た目はそう悪くない。

食べられないほど焦がした肉だけは、勿体無いが処分した。

「じゃんっ」

青島が赤ワインを取り出す。

「おお、用意いいな」

「へへ、一倉さんに材料任せちゃったから、ちょっと奮発しましたよ〜」

グラスを軽くぶつけて乾杯すると、素人が頑張って作ったディナーを二人で突いた。





「・・・ちょっと味付けが濃かったか」

「ああ、そうっすね。後、ジャガイモが硬かったかも」

「芯が残ってるな・・・。それと、肉」

「塩コショウするのを忘れてましたね」

「味がしない」

「や、でも、イイ肉ですから」

「もうそれは言うなって、お前が可哀想になってくる」

「・・・・・・悪かったですね」





やはり素人が作っただけあって、それなりの味しかしないディナーではあったが、二人とも満足だった。

あらかた食べ終えて、いい具合に酔いも回って、二人ともぐったりとソファーに沈む。

「・・・明日の朝、片付けますか・・・」

「そうだな・・・」

「たまには、いいっすね。こういうのも」

一倉の肩に頭を乗せて笑うと、一倉も微笑した。

「ああ、悪くないな」

「ええ。・・・ふあぁ」

遠慮のない欠伸をすると、一倉もそれが移ったのか続けて欠伸を漏らす。

視線を合わせて二人とも苦笑した。

「俺たちも歳だな。何か凄い疲れてないか?」

「ええ、かなり。料理って大変ですね〜」

「室井辺りは、かなり手際良く作るんだがな・・・」

「ああ、俺も一回ご馳走になりましたよ。普段からやってないと中々ああはいかなでしょうね〜」

「後は、向き不向きか」

「俺たちは、間違いなく不向きですね」

「くっ、間違いないな」

額をつき合わせて笑いあって、どちらからともなく軽く唇を合わせる。

「また、やりましょうね」

「ああ・・・」

再び近づいてきた一倉の目を見て、青島は瞼を閉じた。





何度かキスしているうちに、青島の身体が一倉の方に傾いで来る。

おかしいと思い顔を覗きこんで、目を見張った。

青島が既に眠っていたからだ。

「おいおい・・・赤ん坊じゃねぇんだから」

呆れたように呟いたが、スッカリ眠ってしまっている青島を見ているうちに、一倉は苦笑を浮かべた。

「いささか健康的過ぎる気はするが、たまにはいいか」

青島の身体を抱き上げると、寝室に運ぶ。

ベッドに下ろすと、自分も青島の隣に横になった。

青島の無防備な寝顔を見ていると、一倉もすぐに眠れそうだ。

唇を寄せて、額に瞼に鼻先に、そして唇に。

軽くキスをすると、愛しい身体を抱き寄せる。

こんな夜も、たまには悪くないかもしれない。

―起きた時は、どうなっても保障できないけどな。

一倉は心の片隅でそう思いながら、眠りに落ちた。


















END

た、たまにはほのぼの一青も如何ですか!?
だ、だめですか?そうですか・・・。
どこに需要があってこんなほのぼの一青を書いたのか、自分でも良く分かりません・・・。
申し訳ありません・・・。

室青でも小ネタで料理ネタをやりました。
料理ネタが好きなだけかもしれません(苦笑)



たまにはこんな日も