目が覚めた青島は、起き上がろうとして身体の節々に走る痛みに顔を顰めた。

「・・・っ」

久しぶりだったというのに、手加減をしてくれなかった誰かさんのせいだ。

手加減どころかかなりノリノリで、青島の制止など聞いてはもらえなかったのである。

そのノリノリだった恋人の姿はベッドにない。

それに気が付いて青島は更に不機嫌になる。

子供じみているとは自分でも思うが、一人取り残されたことが何となく面白くない。

むっつりとしていると寝室のドアが開いて、一人スッキリした顔の一倉が入ってきた。

どうやらシャワーを浴びてきたらしい。

「やっと起きたか」

青島がベッドの上から恨めしそうな視線を送っていることなど気にもかけていないのか、一倉が余計な一言を言う。

一倉の性格は良く知っているが、虫の居所の悪い青島には聞き流せない。

思わず眉間に皺が寄る。

「やっと?よくそんなことが言えますね」

「間違いないだろう。もう11時だぞ?」

「誰のせいですか!誰の!」

「お前のせいだろう」

しれっと言い返す一倉に、ますます青島の人相が悪くなる。

「何で俺のせいですか!」

「なんでって、そりゃあ、お前がもっともっとって・・・」

強請るから、などと言うオヤジな台詞は最後まで言わせない。

青島は一倉が使っていた枕を投げつけた。

「おっと」

顔面にヒットしそうになった枕を片手で受け止める一倉を、青島は睨んだ。

「俺は何回も止めろって言った!」

「あんな色っぽくやめろって言われても、もっとって言われたようにしか思えんぞ?」

「っ!しるか!アンタ、耳がどうかしてるんじゃないか?」

「それに身体は嫌がってな」

「このエロオヤジ!それ以上言ったら、二度とアンタと寝ないからな!」

真っ赤になった青島が怒鳴る。

が、もちろんそんなことで堪える一倉ではない。

肩を竦めて苦笑している。

青島はカチンときて、布団を頭まで被って一倉に背を向けた。

どうせいつものことと、まともに取り合ってくれないのである。

一倉と久しぶりに抱き合った翌日は、大抵似たようなケンカをしている。

いや、ケンカともいえない。

青島が一人怒っているだけで、一倉は一つも堪えないのだ。

そのうち時間が経つと、どんなことでも怒りが長続きしない青島の機嫌も直っている。

その繰り返しなのだ。

青島自身それが分かっているから、余計に腹が立つ。

ふいにベッドが軋む。

どうやら一倉が青島の横に添い寝したらしい。

布団の上から青島を宥めるように触れる一倉の手を感じる。

「そう怒るなよ」

「・・・・・・ほっといてくださいよ」

もう一眠りしますと言って、シーツから顔を出しもしない。

「青島」

「・・・なんすか。もう満足したでしょ。寝かせてくださいよ」

本格的に怒っている、というよりは拗ねているのだ。

情けないが、どうしてか一倉には勝てない。



惚れた弱み。



間違えても思いたくないが、そういうことなのかもしれない。

青島はそんなことを布団の中で考え込んでいると、突然がばっと布団をめくりあがられる。

それと同時に一倉が布団の中に入ってくる。

青島はぎょっとしている間に、一倉に抱きこまれてしまった。

「・・・・・・・・・暑いから、出てくださいよ」

まじかにある一倉の顔を直視できなくて、顔をそらす。

「お前が出てくるならな」

一倉が青島の首筋に顔を埋める。

ビクッと反応を返してしまい、青島は慌てて一倉を押しのけようとした。

「ちょっ、マジでこれ以上はカンベン・・・」

「分かってるって。眠いんだろ?」

「・・・分かってるなら、寝かしてくださいよ」

「寝かしてやるから、大人しくしてろ」

気絶させるの間違いじゃないのかと青島が一瞬思ったのは、一倉の日頃の行いのせいであって青島が悪いわけじゃない。

一倉は青島を抱きかかえたまま目を閉じた。

「俺も眠い。二度寝するぞ」

目を丸くした青島に構わず、青島を抱き枕の代わりにする。

「こ、このまま寝るんですか?寝辛いですって!」

身じろぐ青島をキツク抱きしめることで大人しくさせると、一倉が目を閉じたまま笑った。

「ヤリたくなるからか?」

「・・・そりゃあ、アンタでしょうが」

「おう。それもそうだな」

憮然とする青島にクスクス笑う一倉。

その振動が接触した胸から青島にも伝わる。

微妙にくすぐったい。

溜息を付いて、青島は苦笑した。

一倉の背中に腕を回す。

「暑いのに」

「クーラー効いてるだろう」

「何か無駄使いしてますよね」

「心配するな。俺の金だ」

「・・・・・・・・・」

青島は呆れつつも、それもそうだなと思う。

一倉と話していると何だか色々と考えているのがバカみたいに思えてくる。

それは青島が楽天的な性格をしているからだけではないだろう。

たまには貴重な休日を潰して、クーラーの効いた部屋の中で、ベタベタくっついて汗を掻くのもいいかもしれない。

青島がそんなふうに思っていると、一倉が一度目を開けた。

「青島」

「はい?」

「おきたら、またヤろうな」

それだけいうと目を閉じた恋人に、青島は絶句する。

―何だやっぱりやるんじゃないか。

―あれだけヤったのに、まだそんな元気があるのか。

―明日、仕事になるかな。

などと考えている青島は、もう文句は言わない。

人間、諦めが肝心なのである。

「責任はちゃんと取ってくださいよ」

青島がぼやくと、一倉が軽く笑った。

「嫁に貰えばいいのか?」

「あげませんよ。じゃなくて。俺、絶対起き上がれなくなる」

「なんだ、くれないのか」

残念そうにいう一倉は無視をする。

「飯食わせて風呂にいれて、明日の朝までに自宅に送り届けてくださいね」

今でさえ身体がだるくて家に帰るのが億劫なのに、これ以上されたら辿り着けないかもしれない。

それどころか、本当に腰が立たないかもしれない。

その保障を求めたのだ。

「まあ、責任は取ろう」

一倉が軽く請け負うから、青島は一旦目を開けて疑わしげな視線を送る。

目をつぶりっぱなしの一倉はそれに気が付くことはないだろうが。

ずっと微笑を浮かべている。

もしかしたら青島より一倉の方が眠たくなっているのかもしれないと、青島は思った。

「本当ですよ」

「ああ。その約束があれば思う存分出来るからな」

今までが遠慮していたみたいな言い草はどうなんだと思うが、青島は再び目を閉じる。

穏やかな顔をしている一倉を見ていて、急速に眠気を覚えたのだ。

一倉を抱きしめて、眠りに落ちた。














END
(2004.7.25)


うらん様のサイトにて開催中の「一青祭り」に協賛させて頂いております!

なんて、とりあえず宣言させていただきまして・・・。
初一青にチャレンジしてみました。
ええーと。
相手が室井さんから一倉さんに代わっただけで、何も変わってないじゃないかなんて
突っ込みはない方向でお願い致します・・・(汗)
な、なんか、あんまり面白くないです(滝汗)
おかしいな・・・。一青凄く萌えるのですけど・・・。

私はうらん様のサイトの一青で、一青にはまりました。
私の書いたものなんかより何倍も素敵な一青を書かれます!
うらん様の素敵サイト様へは、こちらから。→GO

折角協賛させて頂いたので、第2弾も考えているのですがネタがない〜(泣)
さて・・・どうしようかなぁ・・・。


勝てない相手