■ 素直に愛を
青島はクローゼットを覗き込んで、クリーニングの済んだワイシャツを数枚手に取った。
ネクタイは少し悩んで、ダークグレーのスーツに似合いそうなものを、青島の好みで選び取る。
「室井さん、これでいい?」
背後で荷造りしていた室井に、差し出して見せる。
室井はろくに確認もせずに、頷いて受け取った。
「ありがとう」
「そんな適当でいいんすか?」
適当な室井に腹を立てたわけではなかったから、青島は苦笑していた。
大事な商談で出張に出ると言うのに、あまりやる気が感じられない室井がおかしかった。
もちろん仕事はきっちりこなす男だが、夕べ辺りから室井のテンションが密かに下がっている。
見た目にはさほど変わらない。
元々口数は多くないし、笑顔も少ない挙句しょっちゅう眉間に皺を寄せている。
テンションが高い時こそ珍しいが、それでも青島には分かる。
今の室井が憂鬱であることが。
室井は床に座り旅行鞄に荷物を詰めながら、青島を見上げた。
憂鬱そうではあるが、青島を見る目は優しい。
「君が選んでくれたものなら、なんの問題もない」
「…なら、いいっすけどね」
青島は頬を掻きながら、半笑いになった。
照れ臭いが嬉しくもあったから、素直に頷いておく。
室井がいいのなら、それでいいのだろう。
「あ、パスポート忘れないでくださいよ?」
青島が釘を刺すと、室井は大丈夫だと苦笑した。
室井は明日から一週間、海外出張だった。
もちろん青島は留守番である。
「後、なんかいるものあります?まぁ、一週間だからあんまり荷物増やしてもなんだけど、海外だし向こうで困っても…」
室井の出張なのに青島が頭を悩ませていると、不意に手に触れる温もりがあった。
視線を落とすと、室井が手を握っている。
首を傾げて室井を見ると、室井は真顔で言った。
「青島」
「なんすか?」
「じゃなくて…」
返事をした青島に首を振り、室井は眉を寄せた。
「出張にいるもの」
ぐっと手を握られて、青島は瞬きを繰り返した。
青島が聞いたのは「出張に必要なもの」だ。
そして、室井が答えたのは「青島」である。
出張に必要なものが、青島だと言いたいらしい。
それを理解すると、青島は声を立てて笑い出した。
「あはは…何、何言ってんの、室井さん」
「いるものがないかと君が言うから、素直に言ったまでだ」
仏頂面で言うから、余計におかしい。
「たった一週間でしょ?あっという間ですよ」
「君は寂しくないのか」
「一週間自由に羽が伸ばせるかな」
「…そうか」
室井の声が一気に暗くなってしまった。
室井の愛情は存外分かりやすい。
それを実感させられるたびくすぐったい気持ちになるが、より室井を愛しく思う。
つまり、嬉しいのだ。
仕方のない人だと思うが、それで喜んでしまう青島も大差ない。
青島は腰を曲げると、室井の額に軽く唇を押し付けた。
「冗談に決まってんでしょ」
緩くなった室井の眉間にもう一度キスをすると、微笑んだ。
「待ってるから、早く帰って来てくださいね」
「…ああ」
室井の両手が青島の頬を包む。青島は微笑んだまま目を閉じた。
たかが一週間の出張である。
だが、青島にとっては、されど一週間だ。
正直に言えば、寂しかった。
室井とそんなに長い間離れていたことは、今まで一度もない。
不安なわけではないけれど、単純に寂しかった。
だけど、それは言えなかったし、言う気もなかった。
青島は室井に保護者になってもらいたいわけではない。
十分助けてもらい、守ってもらった。
その恩返しがしたいなどとはもう言わない。
どうあっても返しきれないと思っているし、何より既に青島は室井の内側にいる。
他人ではないのだ。
恩を返すことで終るのではなく、生涯室井と共に生きて行ける人間になりたかった。
室井が頼れる男になりたかった。
そんな青島の、気負いというほど無理をしているわけではない、静かで強い決意を知っているのかいないのか。
キスの合間に室井が呟いた。
「一週間は、やっぱり寂しいな」
青島は目を丸くした。
―人が我慢してんのに。
あっさりと口にした室井が憎たらしい。
だが、それ以上に愛しくて仕方ない。
青島は堪らず相好を崩した。
笑いながら室井の膝の上に乗り上げて、首に腕を回し、そのまま室井の唇を塞ぐ。
「まだ、ですよ?」
唇を重ねて誘う。
「寂しくなるまで、まだ時間がありますよ」
離れ離れになるまで、後十数時間ある。
それだけあれば、できることもある。
「…その通りだ」
どこか嬉しそうに笑って、すぐに室井の腕が青島の背中に回った。
***
初日は、仕事が忙しく夜中に帰宅してすぐに眠った。
二日目は、職場で送別会があり飲んで帰って、やっぱりすぐに眠った。
三日目は、定時に上がり、帰宅して、夕飯を作り、風呂に入って、早めに眠りに着いた。
室井が出張に出て、四日目。
少しだけ残業をして帰宅した青島は、カップラーメンにお湯を入れてぼんやりとしていた。
今日もちゃんと食事を作ろうと思っていたのだが、帰宅が半端な時間になってしまったので諦めた。
何より、一人分の食事を作るという行為は、思いの他面倒くさい。
一人で生きていた頃はたまには自炊もしていたが、買って食べることも多かったし、客がご馳走してくれることもあった。
ホテルに行く前に寄る高級レストランの食事が美味しく感じられたことは一度もなかった。
そんなことを思い出し、青島はテーブルの上に鎮座するカップラーメンを見つめて苦笑した。
このカップラーメンの方が何倍も美味しく感じることを、青島は知っている。
それは別に青島の口が安いからではない。
例え室井がいなくても、室井と共に暮らすこの部屋で一人食べるカップラーメンの方が、何倍も美味しいに決まっている。
青島は三分と待たずにカップラーメンの蓋を剥がすと、箸を手にした。
「いただきま〜す」
ずるずると啜りながら、ほらねやっぱり、と思う。
何の変哲も無いカップラーメンに過ぎないが、悪くなかった。
要は心の持ちようである。
侘しい気持ちで食べれば何を食べたって美味しくなくなるだろうし、幸せな気分で食べればカップラーメンだって美味いのである。
だからって室井のいない間中カップラーメンなんぞ食べていたら、室井に怒られるだろうが。
―室井さん、今頃どうしてるかな。
箸を動かしながら考える。
出張に出て以来、電話はなかった。
日本とは時差が8時間程度ある。
室井が仕事を終える頃には、青島は夢の中だ。
メールだけはあった。
出張先に到着した時と、夕べ遅くに「遅くにすまない」という件名でメールが来ていた。
寝ていたので朝になってから「早くにすみません」とメールを返しておいた。
用件など、互いに特にない。
文字のやりとりが嬉しいだなんて女子高生でもあるまいしと思うが、短い文面にも室井の顔が見える気がして正直にいえば凄く嬉しかった。
「…………」
カップラーメンを啜りながら、テーブルの上に置いた携帯電話をちらりと見る。
室井のいる場所では、まだ夕方だ。
電話してもきっと仕事中だろう。
声を聞きたいからといって、電話をかけるのは気が引ける。
後三日。
三日もすれば、室井は帰ってくるのだ。
―これくらい我慢できなくてどうする。
青島は携帯電話から視線を逸らした。
室井とは一生付き合って行くつもりだ。
こんな機会は、これから先いくらでも訪れるだろう。
その度寂しくて室井に泣きつくような、ひと時も離れていられないような、そんな情けない男ではありたくなかった。
「室井さんがいなくても、大丈夫」
言葉のままの意味なら少し薄情な台詞を吐いた青島を非難するように、テーブルの上で携帯電話が震えた。
青島はびくりと身体を震わせて携帯電話を見る。
着信を知らせるライトが光っていて、慌てて手に取った。
携帯電話を開く瞬間は、まさかなと期待してしまった自分を恥ずかしく思ったが、ディスプレイに表示された名前を見れば笑みを溢すしかなかった。
すぐに電話に応じる。
「室井さん?」
『お疲れ様』
聞きたかった声が聞こえてきた。
「お疲れ様です」
『今、家か?』
「そうっすよー。飯食ってました」
『ちゃんと食べてるか?』
「食ってますよー」
食事はちゃんと取っているのだから、カップラーメンを食べているとはわざわざ言わなくてもいいだろう。
「室井さんこそ、ちゃんと食ってますか?」
『ああ、会食だとか接待だとかで、肩が凝る食事ばかりだけどな…』
うんざりしたような室井の声に、青島はひっそりと笑った。
社長のくせに、肩が凝るような接待やパーティーは苦手なのだ。
仕事柄仕方なく出席していることがほとんどで、放っておくと眉間に皺が寄って困ると同席する機会のある一倉がぼやいていた。
冗談で「お前が一緒にくれば、少しは室井の機嫌も良いかもな」と言われたが、半ば本気だったのかもしれない。
青島だって、いつかはとは思わなくはない。
傍にいたいからではなく、彼の役に立てる人材として、身近な場所で働けるようになれたら。
今はまだ、一セールスマンだが、いつかきっと。
「帰ってきたら、一緒に鍋でも食べましょう」
やんわりと微笑みながら誘うと、どこか力が抜けたような柔らかい声が返ってきた。
『それを楽しみに頑張ろう』
疲れているのは、なんとなく声で伝わってくる。
でも、青島との約束で少しでも元気になってくれたら、こんな嬉しいことはない。
「何鍋が食いたいです?準備しておきますよー」
『そうだな…』
ちょっと考えて、鶏の水炊きがいいと言う。
どうやって作るのか実は分からなかったが、後からネットでレシピを探すことにして、了解と返事をしておいた。
『飯の最中にすまなかった』
「いえ……って、もう切っちゃうの?」
『実は仕事の最中なんだ』
室井の苦笑した声に、青島は目を丸くした。
『この時間ならまだ起きてると思って…ちょっとだけでも声が聞きたかったんだ』
話したいことがあったわけではないのだろう。
ほとんど飯の話ししかしていない。
ただ青島の声が聞きたくて、仕事の最中にも関わらず電話をくれたらしい。
―どうしてこの人は、俺が我慢していることを、さらっと言っちゃうんだろう?
青島はそう思いながらも、にやける顔が抑えられなかった。
頬をさすりながら、笑みを溢す。
『慌しくて、すまない』
また謝られて、慌てて返事をかえす。
「嬉しかったですよ、電話もらえて」
『…そっか』
「声聞けて、嬉しかったです」
声が聞きたかったと自分からは伝え辛くても、これは素直に言えた。
『そっか』
「帰ってくるの、待ってますから」
『三日後に帰るから』
ちゃんと飯食えよと念を押して、電話が切れた。
切れた携帯電話を少し見つめてから、テーブルに戻した。
室井は余計なことはほとんど言わないくせに、大事な言葉は簡単にくれる。
いつもそうやって、青島の小さな不安や悲しみを吹き飛ばしてくれる。
いつまでたっても敵わないなと感じるのは、こういう時だ。
出会って大分経つが、彼は変わらない。
青島を必死に口説いてくれた、あの頃から全く変わらない。
変わらずに、青島を愛してくれている。
「……早く帰って来い、室井慎次」
青島は小さく笑みを浮かべながら、呟いた。
誰に聞かせるつもりもない言葉は、素直に唇から零れ落ちた。
***
明日、室井が帰ってくる。
青島は仕事帰りにスーパーに寄って、水炊き用の材料を買った。
スーパーから出ると、コートの襟首を寄せて寒さをしのぐ。
―室井さん、風邪ひいたりしないかなぁ。
室井が出張に出てすぐに、気温が下がり出した。
帰ってきたら少し驚くのではないかと思うくらい、冷える。
そういう意味でも、鍋の選択は正しかった。
―後でメールしておこうかな。
明日は休暇であるから、空港まで迎えにいける。
何時の便で帰ってくるのか、確認しておこうと思った。
そんなことを考えながら足早に自宅に向う。
自宅前まで、来てぎょっとした。
部屋の明かりがついている。
どうしてと思いながら急いで玄関のドアを開けようとしたが、鍵が掛かっていて開かない。
慌しく鍵を出して開けようとすると、先に中からドアが開いた。
当然のように、姿を見せたのは室井だった。
「おかえり」
「た、ただいま……いや、おかえりなさい」
呆然と応じる青島に、室井は苦笑した。
「ただいま」
律儀に返事を寄こしながら、早く中に入れと促してくれる。
青島は思い出したように部屋に入ると、ドアを閉めた。
「どうして?なんでいんの?明日じゃなかった?」
「早く仕事が終わったから、早く帰って来たんだ」
「あ……そうですか……」
聞けば、それしかないだろうという理由で、室井は早く帰ってこれたらしい。
「そんなに驚かせたか?」
青島の反応が鈍いせいか、室井が居心地悪そうな顔をした。
青島は買い物袋を廊下の床に置き鞄も置くと、室井にぎゅっと抱きついた。
すぐに室井も抱き返してくれる。
久しぶりの、室井のぬくもり。
自然と顔に笑みが浮かぶ。
「おかえりなさい」
もう一度繰り返して、ぱっと離れる。
あまり浮かれている姿を見られるのは格好が悪いから、一言だけ。
「待ってました」
微笑んで言うと、室井も嬉しそうに笑ってくれた。
「ただいま」
「疲れたでしょ?今すぐ用意しますから、早く飯にしましょ」
室井を促し、リビングへ向った。
―困った。
青島は鍋に野菜を追加しながら思った。
―顔がどうしても笑う。
浮かれすぎないように気をつけているのに、どうしても顔が半笑いになるのだ。
可笑しくも無いのに笑っていたら、おかしいだろう。
室井の少し早い帰宅が、自分が想像した以上に嬉しいらしい。
そんな自分に呆れつつ、締まらない表情に困っていた。
久しぶりに会うのに室井の顔がまともに見られない。
見たら、絶対に笑う。
「青島?そんなにネギを入れるのか?」
不思議そうな室井の声に、青島は動きを止めた。
鍋の中にはネギばかりが大量に投入されて、ネギ鍋かという雰囲気になっていた。
慌てて手を止めるが、入れてしまったネギを救出するわけにもいかない。
「……寒いですから、風邪予防。ネギいっぱい食べましょうね」
適当なことを言って、適当に笑って、鍋を掻き回す。
なぜ今更、室井を前にこんなに動揺しているのか。
自分でも良く分からない。
久しぶりに会うせいだろうか。
早く帰って来てくれたのは嬉しいが、心の準備が出来ていなかったのだろうか。
しかし、恋人が出張から帰ってくるだけなのに、一体なんの心の準備がいるというのか。
「青島?」
不審そうな室井のお椀を奪い取って、勝手によそってやる。
「ネギ嫌い?」
「いや、好きだが」
「じゃあ、いっぱい食べてくださいよ」
「青島、それ、まだ生だぞ」
生でも食えますと言おうかと思ったがさすがにやめておいて、一度よそったネギを行儀悪く鍋に戻した。
「ですよね、せっかちでした」
「…青島、ちょっと」
言いかけた室井を遮って、青島は席を立った。
「ビール取ってきます」
台所に向かい、冷蔵庫の前で溜息を吐く。
なにも室井がいきなり帰って来たから、動揺しているわけではなかった。
室井の顔を見たら、どうしても笑ってしまう。
それは嬉しいからだ。
そうすると言いたくなる。
寂しかった、会いたかった、離れていたくない。
顔を見たら、はっきりとそう思った。
油断すると口から出てしまう気がして、それが恐かった。
取り出した缶ビールを握り締めて、「よしっ」と気合を一ついれてリビングに戻る。
「お待たせしました〜」
一缶を室井に差し出すと、室井は缶を掴まずに、青島の手首を掴んだ。
ぎょっとした青島を強引に引き寄せる。
「わ…っ」
倒れこむように覆い被さった青島を室井は抱きとめてくれたが、青島の手からは缶ビールが転がり落ちた。
「む、室井さん?」
「青島」
「…はい?」
「なんで俺の顔を見ない?」
そう言って青島の顔を覗き込もうとするから、青島は思わず顔を背けた。
しまったと思ったがもう遅い。
「…そんなことないですよ」
青島の言葉が白々しく響く。
顔を背けてから「そんなことはない」と言ったところで、言葉に信憑性などあるわけもない。
「何かあったのか?」
「何も無いってば」
「なら、なんで」
「だから、本当に…」
「青島」
焦れたように名前を呼ばれた。
その声が不安そうで、どきりとする。
「ちゃんと、俺を見てくれ」
懇願するような声に、失敗したと思った。
室井を直視しないことで、自分の情けない姿を室井から隠そうとした。
室井とは対等でありたい。
ちゃんと隣りを歩いていける男でありたい。
そう願うからこそ、できるだけ情けない姿は見せたくなかった。
それは間違ったことではないと思っている。
室井に頼ることしかできない男には、絶対になれない。
だが、情けない自分を隠すことで、室井を傷つけていいわけがない。
それでは自分を守る意味もない。
―俺が室井さんに目もあわせてもらえなくなったとしたら?
自分で想像したその瞬間は、背筋が寒くなるほど恐かった。
青島はそむけた顔を室井に戻すと、正面から見据えた。
眉間に皺を寄せちょっと怒ったような顔をしている室井と目が合う。
怒っているわけではないことは、すぐに分かる。
室井の手が優しく青島の頬に触れた。
「何かあったのか?」
繰り返される言葉に、青島は力なく笑った。
そして、そのまま笑みを深くし、声を漏らして笑う。
「ああ…だめだ、本当、室井さんって…あははは、だめだ」
いきなり笑い出した青島に、室井は目が点になる。
「あ、青島?」
困惑している室井の背中に両腕を回して、しっかりと抱きつく。
より近くなった唇に軽くキスをして、照れ笑いを浮かべた。
「ちょっとね、嬉しくて困ってたんです」
「困ってた?」
「うん、久しぶりに室井さんに会えて、困ってた」
まだ困惑しているようだったが、室井の腕も青島の背中を抱いてくれた。
不思議そうな顔で首を傾げている。
「なんで困る?」
「だから、嬉しくて」
「嬉しいと、何で困るんだ」
「じっとしていられないから、室井さんの顔見てると、好きだって騒ぎ出したくなるから」
室井が目を剥いたから、青島は笑ってもう一度キスをした。
凄く寂しかった。
本当はちょっとの時間も離れていたくない。
それを言葉にすることはできないが、そう思う理由を伝えることはできるから。
目一杯好きだと伝えれば青島も幸せだし、きっと室井も幸せだ。
「だったら、尚更だ」
室井の手が青島の頭を撫ぜ、背中を叩いた。
子供をあやすような仕草だが、子供扱いされているとは思わない。
室井の優しさが伝わってくるだけ。
「何がっすか?」
聞き返すと、室井が憮然と答えた。
「ちゃんと俺の顔を見てくれ」
強請られるままじっと室井を見つめて、何を望まれているのか知る。
「……好きで好きで、たまんないです」
素直に言ったら、室井が笑みを溢した。
「俺の方が、ずっと好きだ」
根拠はどこに?
そう思ったが、室井に塞がれた唇では、それを聞くことは叶わなかった。
END
2008.2.2
あとがき
今になって見返すと、ちょっとお礼企画で書いたお話と似てましたね;
まあ、なんでしょうか…。
青島君の幸せばかりを一心不乱(大袈裟)に求めると
こういうお話ばかりが浮かぶんでしょうか(泣笑)
このシリーズ、スタートが青島君が不幸だった反動か、
とにかく青島君を幸せにしてあげたくって仕方ないみたいです。
あ、いつもですか?そうですかー…。
しかし、すさまじい糖度ですね(笑)
たまには甘辛くらいでいきたいものです(それでも結局甘い)
青島君はいつか室井さんの右腕になって、会社を支えていくんじゃないでしょうか。
あれ?右腕は一倉さんだったかな?
じゃあ、一倉さんは左腕にトレードで(笑)←酷い
通訳代わりとかで、室井さんと一緒にパーティとか出たりして。←安い社長のイメージだなぁ;
英語くらいなら室井社長も喋るでしょうから、
中国語とかドイツ語とか(適当)違うお国の言葉でね。
正装した青島君に室井さんがどきどきしたらいいですねっ(ねっじゃないよ)
セクハラされそうな青島君に気が気じゃないかもしれません。
…と、どうでもいい妄想をしてみます。
また、何かネタが浮かんだら、書きたいシリーズです。
室井さん視点でまた書きたいなぁ。
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