■ 初デート


放課後になると、青島は駐輪場で室井を待っていた。
一緒に帰るためだ。
室井が生徒会や部活を引退したからとはいえ毎日一緒に帰っているわけではないが、お互いの都合が合えば大抵は一緒に帰っている。
クラスどころか学年が違えば一日丸きり顔を合わせない日もあるが、メールという便利なものがあるので、連絡はとりやすい。
休み時間に届いた室井からの『一緒に帰らないか?』というメールに、青島はいそいそと返事を返した。
その顔がしまりなかったせいか、すみれにすぐにバレてからかわれてしまったが。
―嬉しいんだから、仕方ないよね。
青島は植え込みの縁に腰をかけて室井を待ちながら思った。
部活のない生徒はほとんど帰宅した後なので、人通りは少ない。
一緒に帰る時の待ち合わせ場所はいつもここで、この場所で室井を待つのが青島は好きだった。
もちろん会っている時が1番幸せだが、もうじき会えると思っている時間もかなり幸せなのだ。
だけど、こんなことが出来るのも、後数カ月。
室井は青島よりも先に卒業する。
室井と付き合っていて歳の差に不便を感じたことはなかったが、二年の差は確実に存在した。
「何で同い年じゃないんだろうなぁ」
思わずぼそりと呟く。
考えても仕方のないことだが、つい考えてしまう。
同い年であれば、もう二年間同じ学校に通えた。
離れたって別れるつもりは少なくても青島には無かったが、自分の知らない世界に室井が行ってしまう気がして、何となく寂しかった。
少し沈みかけた気持ちは、校舎の方から足早に近付いてくる人影を見て浮上する。
―まだ先のこと。
青島を見付けて、室井が小さな笑みを零した。
―今は最高に幸せだ。
心から笑顔になると、青島は立ち上がり室井に手を振って迎える。
「遅くなってすまない」
生徒会長ではなくなっても教師や生徒たちに頼りにされることが多いようで、放課後も誰かに捕まっては引き止められて中々帰れない。
青島はブンブンと首をふる。
「全然。んじゃ、帰りましょうか〜」
青島は自分の自転車を押すと、室井を促して歩き出した。


「勉強してるか?」
並んで歩きながら、室井が尋ねてくる。
期末テストが近いのだ。
「まぁ…ボチボチです」
青島の成績は悪くない。
勉強が特別好きなタイプではなかったが、要領は良かったのでテストにはわりと強かった。
短期的な集中力があるのと、勉強のコツを掴んでいるせいだろう。
「室井さんこそ、大変なんじゃないですか?受験勉強もあるし」
「こればかりは焦っても仕方ないしな…俺もボチボチだ」
「真似しないでよ」
青島が笑うと、室井もつられたように笑みを零した。
「でも室井さん、忙しいっすよね」
「そうか?」
「部活終わって生徒会降りたと思ったら、すぐ受験でしょ?」
この時期の三年生は皆受験勉強で大変だろうが、他の三年生に比べても室井は時間が足りないのではないかと思うのだ。
室井のことだからそんなことを言い訳にしたり、泣き言を言ったりはしないことは分かっていたから、変わりに青島が言ってみた。
「頑張ってますよね、室井さん」
偉いですと誉めたら、室井は一瞬目を丸くしたが、やがて苦笑した。
「ありがとう」
「いーえっ。俺、応援してますから、頑張りましょうね」
室井のためにしてやれることといえば、応援してやることくらいしかない。
いずれ青島も経験する道とはいえ、高校生の彼らにとって人生最初の岐路である。
頑張っている室井を、心から応援したかった。
青島の応援に、表情のレパートリーの少ない室井なりに嬉しそうな顔で頷いてくれる。
それからちょっと眉間に皺を寄せた。
おや?と首を傾げた青島に、室井は真剣な顔で言った。
「次の休み、暇だろうか?」
「え?あ、はい」
「どこかに遊びに行かないか?」
突然のお誘いに、青島は少し驚いた。
恋人のお誘いなのだから、本来ならそれほど驚くことではない。
だが、初めてだったのだ。
室井からその手のお誘いを受けたのは。
デートというものを、二人はまだしたことが無かった。
青島も誘いたいとは何度も思ったが、室井は部活や生徒会で忙しかったし、引退した後は受験が控えているからむやみに誘い難かったのだ。
「都合、悪いか?」
青島の沈黙に、室井が不安そうな顔で呟いたから、慌てて首をふる。
「いや!全然!大丈夫、暇です、てか行きたいですっ」
全力で否定したら、今度は室井が目を丸くした。
露骨過ぎたかと思い、青島は軽く赤面する。
「いや、まぁ、ほら、室井さんが暇なら、遊んでほしいなぁ、なんて、ね?」
ヘラッと笑いながら言うと、室井は表情を柔らかくした。
「こちらこそ、遊んでやってくれ」
「もちろんっ……ははっ」
青島はどうしようもなく、嬉しさを隠せずに笑みを零した。
心の中でガッツポーズをする。
―初デートだ。


***


室井との待ち合わせ場所に向う途中、横断歩道で立ち止まると、何となくショップの窓ガラスに視線が行く。
別に欲しいものがあったわけではなくて、窓ガラスに映った自分の姿を確認しただけだ。
女の子ではないので着て行く服や髪形で悩んだりはしなかったが、人生初デートとあってさすがに緊張する。
いくら図太い青島でも、可笑しなところはないかな?と不安にくらいはなる。
ちらちらと窓ガラスを見るが、いつもと何ら変わりがない自分がいるだけだ。
違うといえば、制服を着ていないことくらいか。
ジーンズにトレーナーにスニーカーで、極普通の普段着である。
もうちょっと何とかするべきかなとも思ったが余所行きの服なんて持っていないし、デートの場所も遊園地だったので丁度良いだろう。
遊園地を希望したのは青島だった。
ベタだけど、一度室井とそういうデートをしてみたかったのだ。
約束の駅前に着くと、既に室井が待っていた。
「すいません、待ちました?」
駆け寄って声を掛けると、室井は緩く首を振った。
「いや、俺が早く来すぎたんだ」
言われて時計を見てみると、確かに約束の5分前。
青島も遅刻はしないように出てきたので、室井が早めに来すぎただけだったようだ。
ホッとしつつ、いつもと雰囲気の違う室井を見る。
室井もジーンズだった。
ジーンズなんて履くんだなぁと思ったが、高校生なら普通に履くだろし、案外似合っている。
室井らしい白いシャツの上に、薄手の黒いジャケットを羽織っていた。
「……なんか、おかしいか」
思わずじっと見ていたら、室井が硬い表情で呟いた。
青島の視線が室井にいらぬ緊張を与えたらしい。
青島は笑みを零した。
「全然。カッコイイです」
素直に言ったのだが、室井は眉間に皺を寄せてしまった。
「言っておきますけど、からかってるわけじゃないっすからね」
慌てて付け足す。
制服姿の室井はきちんとしていてもちろんカッコイイが、私服の室井は少し硬さが取れて、だけど清潔感のある整った雰囲気はそのままでやっぱりカッコ良かった。
素直に褒めただけだったのだが、照れのせいで余計に表情を強張らせてしまった室井に、青島は苦笑する。
「そんなに照れなくてもいいじゃないっすか」
「照れてない」
「嘘ばっかり」
「…行くぞ」
短く言うと、室井は駅に向って先に歩き出した。
―可愛い人だなぁ。
込上げてくる笑いを抑えながら、青島はすぐに室井の後を追った。


遊園地に入ると、青島は懐かしさに顔をほころばせた。
遊園地に来ること自体が、小学生の時以来だった。
アトラクションやそれに並んでいる人たちを見ているだけで、妙にワクワクしてくる。
「何から乗ります?」
目に見えて浮かれている青島に、室井は苦笑した。
「どれでも」
「室井さん、絶叫系平気?」
「ああ、多分。ずっと乗ってないから分からないが」
「じゃあ、あれから行きましょうっ」
スタンダードなジェットコースターの列に、室井を誘う。
それほど混んでいなかったので、すぐに乗れそうだった。
並んで順番を待ちながら、青島は少しはにかんだ。
「ちょっと、男二人で遊園地ってどうなんだろうと思ったんですけど、あんまり気になんないもんすね」
男同士でも集団で来ることならあるかもしれないが、男二人で来る場所では確かにない。
だけど実際来てみたら、特に気になるほどのことではなかった。
「自分が楽しんでいる時は、あまり周囲のことなど気にしないものなのかもしれないな」
室井の指摘に青島も納得する。
楽しいことに夢中になっていれば、他のことを気にする余裕などないものである。
さっと辺りを見渡してみる。
デート中であろうカップルや、友人同士であろうグループ、小さな子供連れの家族。
皆楽しそうである。
「楽しもうな」
ボソリと囁かれて、青島は泳がせていた視線を隣の室井に向けた。
視線を合わせると、小さく笑う。
「もう、既に、なんか楽しいです」
まだ何もしてないんですけどねと呟くと、室井も小さく笑った。


順番が来て乗ったジェットコースターは二人とも楽しめたので、そのまま続けて絶叫系のアトラクションばかりを選んで乗った。
とにかく早いのやら、グルグルと回転するのやら、急降下するのやら。
そんなのばかり続けて乗ると、さすがに三半規管が狂ってくる。
「ちょっと気持ち悪い〜」
ベンチに座りながら、青島がぼやく。
でも顔は笑顔だったから、それほどでもないらしい。
「あ、ソフトクリーム食べません?」
ソフトクリームののぼりを指差して言ったら、室井は苦笑した。
「気持ち悪いんじゃなかったのか?」
「あはは、もう治りました」
10代の少年なら、食い気が勝って当然かもしれない。
多少の不具合も、食欲の前には吹き飛ぶようだった。
「俺が買いに行って来よう」
「あ、一緒に行きますよ」
「いいから、ここで待っててくれ」
そう言うと、室井はさっさと行ってしまった。
追い掛けようか迷ったが、結局動かなかった。
なんとなく、室井の言うことを聞こうと思ったからだ。
それに深い意味はなくて、ただ少しだけ「恋人っぽいなぁ」と頭に過ぎったから、動けなかっただけのこと。
ほどなくして、ソフトクリームを両手に、室井が戻ってきた。
「落とさないように、気をつけて」
そう言って手渡されたから、青島は唇を尖らせる。
「俺は小学生ですか」
「いや、違うが、君ならありえると思って」
正直すぎる室井の答えは、否定しつつも内容的にはほぼ肯定である。
尚更頬が膨れる青島に、室井は慌てて付け足した。
「子供だと思ってるわけじゃなく、落ち着きがないと思ってるだけだ」
「室井さん、それ、フォローになってないから」
うーと唸りながら、ソフトクリームを舐める。
青島の隣に座り、室井は苦笑を浮かべた。
「すまない」
「いいですよー事実だしー」
「いじけるな」
「いじけてませんよー」
べっつにーと答えたら、室井が苦笑したまま、ハンカチを差し出してきた。
「ん」
「ん?」
「ついてる」
「はい?」
「鼻の頭に、アイスがついてる」
言われて見下ろしたら、鼻の頭が白くなっている。
青島は慌ててハンカチを受け取った。
恥ずかしいやら、照れ臭いやらだ。
これでは室井の言葉を否定することもできない。
借りたハンカチで拭ってから、横目で室井を見る。
「ありがとうございます」
「いや…」
「洗って、返しますね」
「いや、気にしないでいい」
「洗って返します」
繰り返したら、室井はちょっと笑って頷いてくれる。
青島は鼻に付けないように気を付けながら、ソフトクリームの続きを食べた。


「次、何乗りますか?」
室井と二人、園内をウロウロとする。
めぼしい絶叫系は制覇した後だった。
すぐ傍にあったメリーゴーランドを通り過ぎる。
「あれでも乗ります?」
通り過ぎてから、青島が指差して笑う。
「見ててやるから、乗って来い」
冗談に冗談が返ってきた。
「ヤですよ。どこの親子ですか」
「あれは何が面白いんだろうな」
「まぁ、ただ回るだけですからね」
そう言ってしまえば、遊園地の乗り物などどれも回るだけだ。
スリルの度合いに差があるだけだが、それが大きな違いだった。
―お、回らないモノもあるじゃん。
青島が目を止めたアトラクションは、お化け屋敷だった。
「室井さん、室井さん」
「うん?」
「次はあれ行きましょう」
青島がお化け屋敷を指差して誘うと、室井の顔が一瞬強張った。
お化け屋敷を見ていた青島は、それに気が付かなかった。


重たいドアを開けると、中は当然のように真っ暗だ。
「おおっ、いい雰囲気〜」
青島はワクワクしていた。
こういうことは嫌いじゃないのだ。
怖くないわけではないが、スリルを楽しめる程度には好きだった。
「小学生の頃、肝試しとかやりました?」
不気味な照明が光る道を歩きながら、隣の室井に話しかける。
が、返事はない。
隣を見たら、当然だが室井はちゃんとそこにいた。
「室井さん?」
もう一度声をかけると、慌てて振り返る。
「な、なんだ?」
少し焦っているように見えた。
話しを聞いていなかったからだろうかと思いながら、青島は首を傾げる。
「いや、肝試しとかしたかなーって」
「…俺はそういうことはあまり」
「あ、そうっすかー、あれはあれで楽しいんですけど……うわっ」
いきなり血まみれの人形が目の前に出てきて、青島が短く叫ぶ。
人形自体はさして怖くはなく、ただ驚いたというのが正しい。
青島は苦笑しながら、先に進む。
「びっくりし…」
言いかけて、言葉を止める。
室井を振り返ると、室井はまっすぐ前を向いていた。
顔は強張っている。
それを、青島は照れているからだと思った。
青島の手を、室井が握りしめていたからだ。
青島の頬が熱くなる。
室井がこういう行動に出るとは思わなかった。
―俺が声を上げたせいかな?
室井のことだから暗がりでこれ幸いと青島に触れてくるわけはないと思う。
それこそ照れて出来ないだろう。
青島が怖がっていると思ったから、手を握ってくれたのではないかと、青島は思った。
照れくさいが、嬉しくもある。
室井の手を握り返しながら、緩む表情を堪えられない。
本当は手をひいて貰うほど怖いわけじゃなかったが、それは言わないでおくことにした。
室井の手は、素直に嬉しい。
「こういうのってありきたりだけど、結構びっくりしますよね」
照れ隠しに話しかけると、返事はないが室井の足が早足になる。
「室井さん?」
早足を通り越して、小走り気味になった。
手を繋いでいるから、当然青島も室井について行くことになる。
目を丸くしている青島を引きずるように、室井はとうとう普通に走り出した。
「わっ、ちょ、ちょっと待っ、む、室井さーん?」
狭い道を猛然とダッシュし始める室井。
周囲で何かしら、おそらく怖い感じのアトラクションが展開されているようだが、ほとんど視界に入らない。
「どうしたの、室井さんっ」
「すまない」
「な、何が?」
「!」
先頭を切って走っていた室井が何かにぶつかって止まった。
自分の首を持った女のお化けだった。
「わ…びっくりした…」
室井の背中越しにそれを見た青島は小さく息をついたが、室井は微動だにしない。
「室井さん?」
首を傾げて、顔を覗き込む。
室井は引き攣ったまま、硬直していているようだった。
青島もさすがにピンとくる。
「む、室井さん、もしかして…」
怖いのダメなんじゃ、と言いかけて、室井に何の反応もないことに気付く。
青島も引き攣った。
「室井さーんっ」
室井は立ったまま、気を失っているようだった。


「も〜苦手なら苦手って、言ってくれれば良いのに」
青島は苦笑しながら、ベンチで休んでいる室井に缶ジュースを差し出した。
まだいくらか顔色が悪いが、もう固まってはいない。
大人しくジュースを受け取りつつ、眉を寄せた。
「言えるか……そんなかっこ悪いこと」
眉間の皺は、気まずいからだろう。
室井の気持ちは分からなくもない。
お化け屋敷が怖くて入れないとは、男の子だったら中々言い出しにくいことだ。
青島は肩を竦めると、室井の隣に腰を下ろす。
「苦手なモンくらい、誰だってあるでしょ」
室井がちらりと視線を寄越すから、青島はニッと笑った。
「俺は知れて嬉しかったですよ」
生徒会長で弓道部のエースで、性格も成績も容姿も悪くないが、室井だって完璧じゃない。
室井の欠点を、青島は既にいくつか知っている。
まず、話すことが苦手だ。
頭が良いので説明下手なわけではないし、話す内容はいつも理路整然としている。
だが、自分の感情を伝えるのが下手で、他人とコミュニケーションを取ることが苦手なのだ。
青島には随分慣れてくれたから、もしかしたら人見知りもするのかもしれない。
それに、融通がきかない。
これは短所と長所が紙一重と言ったところだ。
青島は室井の生真面目なところが好きだったし、室井自身が窮屈でないのなら良いのだが、もっと楽をしたら良いのにと思わないでもなかった。
そして、お化けが怖い。
今のところ、青島が知る室井の弱点はそんなところだった。
そう考えると、随分可愛いらしい弱点である。
青島は好きな人の弱みを握って喜ぶ程サドじゃない。
室井のことを知れて、単純に嬉しかった。
「俺に隠すことなんて、なかったのに」
「すまない」
少し力の抜けた室井の声に、青島は笑ったまま首を振った。
謝ってもらうほどのことでもない。
どんな室井でも青島が想っていることを、知っていてくれればそれでいい。
「それにしても、いきなり走り出すからビックリしましたよ」
「いてもたってもいられなかったんだ」
今更かっこ付けても仕方がないと思ったのか、室井は素直に吐いた。
「悪かったな、君は好きなんだろ?ああいうの」
待ってるからもう一度行って来てもいいぞと言ってくれるが、青島はもう満足していた。
確かにお化け屋敷自体はろくに見られなかったが、それよりずっと良い経験をした。
駆け出すくらい怖かったくせに、室井は一人では逃げなかった。
青島を置いては行かなかった。
青島の手に縋っていたからそうなっただけかもしれないが、それならそれでも良い。
自分が頼られたような気がして、青島は満足していた。
「それより、あれに乗りません?」
青島が指差したのは、大きな観覧車。
「高い所は大丈夫?」
悪戯っぽく尋ねると、室井は苦笑して頷いた。




「今日は誘ってくれて、ありがとうございました」
分かれ道で足を止め、室井に礼を言う。
初めてのデートは楽しくて、本当に楽しくて、帰るのが惜しかった。
ほんの少しのお別れが妙に切ない。
またすぐ会えるのに、どうしたことか離れ難くて仕方が無いのだ。
青島は胸中でひっそりと不思議に思っていたが、その理由は今日がそれだけ楽しかったから、室井をとても好きだと思うから、ただそれだけだろう。
「また、来ような」
室井が先の約束をくれるから、青島は一瞬切なさを忘れて微笑んだ。
「色んなとこ、行きましょうね」
「ああ」
「約束ですよっ」
「ああ…約束だ」
青島と視線を合わせて室井も笑顔を見せた。
そこで、二人は別れた。


もう少し一緒にいたい。
もっと一緒にいたい。
ずっと一緒にいたい。


思えばきりがない。
どんどん欲張りになる。
恋をするということは、きっとそういうことだ。
青島はそれを初めて知った。


自宅への帰り道、青島は少しの寂しさと大きな幸せを噛み締めながら歩いた。
きっと青島はまだまだ欲張りになる。
それは決して悪いことではないような気がした。










END

2006.8.3

あとがき


10万HITリク4作目は、神崎遊宇様リクエストの
「学園パロで初めて私服で会う二人(デートとかお勉強会とか)」です。
神崎様、大変お待たせいたしました!
リクエストを有り難う御座いました(^^)

なんというか、爽やか目指してあちこち微妙になってしまった気がします;
高校生というよりは中学生ですね…。そして少女漫画(笑)

遊園地デートと決めて、書きたかったのはお化けが苦手な室井さんと、観覧車に乗る二人でした。
観覧車の方はネタが浮かばなかったので乗ったと言う事実だけを書いてしまいました(^^;
観覧車といえばちゅーだろう!と思っていたのですが(笑)、
ちゅーにいたるネタも全く浮かばなかったもので…。

高校生くらいの時って、二年の差って大きいですよね。
社会人になってしまうとあんまり気になりませんが〜。
室井さんの大学進学辺りを機会に、深くなっていくのでしょう。
拙宅の学園パロの二人は。
スローペースです(笑)

無駄に長いお話になってしまいましたが、お付き合い有り難う御座いました!



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