08.「そんな無茶な」












真剣な表情で室井が話を切り出すから、青島は緊張した面持ちで聞いていた。

最初の1分は。

話が見えてくるにつれて、青島は呆れた表情になる。

そして、酷く真剣な様子の室井に困惑し心配して、最終的には同情までした。

「今後のためにも、なんとかするべきだと思うんだ」

「な、なんとかって・・・」

「このままじゃ、青島だって不愉快だろう」

確かに楽しかないけど、と思う。

「弱みを握るというのはどうだろう」

室井らしくもない発言に、青島はぎょっとする。

だがあまりにも真剣な表情の室井に、青島は何も言えなかった。

溜息を吐いて、話にのってやる。

「弱みって、何か心当たりでもあるんですか?怖いものなさそうですよ?あの人」

室井はしばらく考え込んで口を開く。

「・・・・・・奥方」

「・・・・・・奥様に何しようってんですか」

更に難しい表情になる室井。

「何も出来ないな」

「当然です」

まだ思考回路に理性が残っているようで、青島は少しだけ安心した。

「監察官に突き出すか、本当に」

「それって、俺たちが日頃言われてることとかを訴え出るってことですよね?

・・・へたしたら、俺たち二人ともクビじゃないっすかね?」

「・・・・・・・・・・・・」

渋面になる室井を見て、青島はよほど室井が追い詰められていることを悟る。

あまりにも室井が可哀想になり、他に何かないかと青島も考える。

「他にないんですか?お化けが怖いとか、雷が苦手とか、ピーマンが嫌いとか」

青島は思いつくままにあげる。

なるべく被害に合うのが本人だけで、しかもなるべく平和的な嫌がらせを。

「・・・小学生みたいだぞ」

「・・・そうっすね。そんな可愛いタマじゃないですもんね」



「盗聴でもするか」

真顔でとんでもないことを言う室井。

目を剥いた青島は、どこまでも真面目な室井に溜息を吐いた。

「そんな無茶な」

日頃の恨みとは恐ろしいと改めて思う。





一倉捜査一課長対策委員会。

本庁もしくは湾岸署にて、そんな委員会が開かれるのもそう遠くないかもしれない。

























END
(2004.4.29)


追い詰められる室井さん。
窮鼠猫を噛むです(違)
頑張れ、室井さん!
・・・お前が言うな、という室井さんの声が聞こえてきそうな(笑)