40.「やっぱりダメ」










文句のつけようのない2枚目というわけではないが愛嬌のある顔をしている。

見ていて飽きないくらい表情が豊かだ。

髪を整えている姿はあまり見たことがないが、ボサボサにしていても極自然であまりだらしなく見

えない。

長身でスタイルも良い。

スーツを着ていると、刑事にはとても見えない。

人当たりも良くて、話術にも長けているし、頭も悪くない。

それに優しい。

さぞかし女性にモテたのではないだろうか。





「穴が開くから、そんなに見ないでください」

言われて、室井はハッとする。

目の前で酒を飲んでいた青島が、困った顔で室井を見ていた。

部屋で二人で酒を飲んでいたのだが、どうやらいつのまにかじっと青島を観察していたらしい。

無意識に青島を眺めてしまった自分に呆れつつ、室井は肩を竦めた。

「・・・いいじゃないか、減るわけでもあるまいし」

「減ります。確実に」

グラスを呷りながら言う青島。

頬を薄っすら赤く染めながら、そっぽを向く。

その姿をまた眺めていると、青島が今度は嫌そうな顔をした。

「穴が開いて、今に俺の向こう側の景色が見えるようになりますよ」

どうやら照れているらしい。

そう気付くと、室井は苦笑した。

「いい男だな、と思ってな」

室井が言った途端に、青島は酒を吹き出した。

「なっなっ何っ」

「ああ、ほら・・・」

動揺する青島をよそに、室井は酒がこぼれたテーブルや青島の衣服を拭いてやる。

一人落ち着いている室井に腹が立ったのか、青島は膨れっ面で室井を睨んでくる。

「何ですか、一体・・・」

ムスッとしている青島に、室井は首を竦める。

本気で言ったのだが、からかわれたと思ったらしい。

「本心で言った」

青島の空になったグラスに酒を足してやる。

「改めて見ていい男だなと再認識した。そして、それが俺の恋人なんだなと思って、ちょっと優越

感に浸ってた」

淡々と言う室井に、青島が目を剥いた。

「そ、な、何・・・」

「落ち着け」

クスクス笑う室井が余裕たっぷりに見えて腹立たしかったのか、青島が睨みつけてくる。

赤い顔で。

「お、俺だってねぇ」

「うん?」

「俺だって、そんなの優越感に浸りまくりですよ!」

何に対抗意識を燃やしているのか、そんなことを言うから室井の笑みは深まるばかりだ。

それを睨みながら、青島が膨れっ面になる。

「ちょっと。俺だって穴が開くほど見つめますよ?」

「俺は構わないが?」

そう返事をすると、ぐっと言葉に詰まった青島がそのまま睨みつけてくる。

見つめるというよりは、かなり挑戦的な目つきだ。

最初はそれを苦笑しながら見つめ返していた室井だったが、次第に表情が変わる。

仕舞いには気まずそうに視線を逸らした。

「やっぱりダメだ」

「ほら、やっぱり・・・」

なぜか勝ち誇ったように満足気な顔をしている青島。

室井は逸らした視線を少しだけ青島に戻した。

「そうじゃなくて」

照れているわけじゃなくて。

そう室井が言うと、青島は怪訝そうに見つめ返してくる。

「?」

「・・・あんまり見つめられると、押し倒したくなる」

ストレートな室井の発言に、青島は思わず真っ赤になった。

どうやら室井の瞳には、挑戦的を通り越して挑発的に映ったらしい。

赤い顔で口をパクパクさせている青島に、何だか申し訳なくなり室井は苦笑して謝罪した。

「すまない。オヤジだな、俺も」

青島はむっつりと視線を逸らしながら、再び箸を動かす。

「・・・待ってくださいよ」

「ん?」

「飯、食い終わったら。押し倒されてあげます」

照れが行き過ぎて顔が強張ったまま、そういう青島。

室井はそんな青島を見ながら思った。



―今すぐ押し倒したら、殴られるかな・・・。






















END
(2004.7.30)


暑いですからね(ナニ)


もう、色々とすいません。
暑さに室井さんも私もかなりヤラレているらしいです・・・。

本人相手に惚気る室井さん。
バカップルめ〜。
一倉さんじゃないですが、勝手にやってろって感じでしょうか(笑)