テレビを見たままの体勢で、青島が言う。
室井は青島の自宅に持ち込んだノートパソコンから顔を上げた。
思わず青島の方を見ると、青島はやっぱりテレビと向かいあったまま。
テレビを見ているのかいないのかは、その横顔からははっきりしない。
「息が苦しいです」
青島がそう続けるから、室井は眉を顰めた。
「おい、大丈夫か?」
「ダメです」
言い切られて、目を剥いた。
元気そうに見えるが胸が痛くて呼吸が苦しいなら、何かの病気かもしれない。
室井は慌ててパソコンを放り出し、青島の傍に寄った。
「どうした?病院行くか?」
「手遅れです」
思わず救急車を呼ぼうかと思った室井は、過保護かもしれない。
青島は漸く振り返ると、室井を見つめた。
そしてその手を室井の頬に伸ばしてくる。
「胸が痛くて呼吸が苦しくて切ないです。室井さんが傍にいると」
呆気に取られる室井の頬を撫ぜながら言う。
「病気です」
そう言うと、青島はニッコリと笑った。
室井の視界が暗くなる。
一瞬だけ音を立てて触れる唇。
室井がそれを認識したのは、青島の笑った顔が再び視界に入ってからだ。
「恋の病です」
ぽかんとしている室井が可笑しかったのか、青島が小さく声を立てて笑うと再びテレビに向かった。
「早く、仕事終わらせてくださいね」
漸く頭が働き出した室井は、青島の横顔に苦笑した。
「それが言いたかっただけなのか?」
「ええ。それだけ」
「何事かと思った」
「一大事でしょ?」
青島が再び室井を見た。
「俺があなたを想って、胸が痛いって言ってるんですよ?」
目を見つめたまま言われて、室井は息をのんだ。
青島はニッコリ笑うと、繰り返した。
「早く、仕事終わらせてくださいね」
室井は仕事をするのを諦めた。
END
(2004.5.29)
病気なのは私の頭です。
湿疹が脳にも出ている模様・・・。
嘘です。だって書いたの、湿疹が出る前だもん(笑)
青島君の我侭が書きたかったんですけどね〜。何か違う・・・。
ヘタレ室井さん。手玉に取られてます。