24.「病気だよ」












「胸が痛い」

テレビを見たままの体勢で、青島が言う。

室井は青島の自宅に持ち込んだノートパソコンから顔を上げた。

思わず青島の方を見ると、青島はやっぱりテレビと向かいあったまま。

テレビを見ているのかいないのかは、その横顔からははっきりしない。

「息が苦しいです」

青島がそう続けるから、室井は眉を顰めた。

「おい、大丈夫か?」

「ダメです」

言い切られて、目を剥いた。

元気そうに見えるが胸が痛くて呼吸が苦しいなら、何かの病気かもしれない。

室井は慌ててパソコンを放り出し、青島の傍に寄った。

「どうした?病院行くか?」

「手遅れです」

思わず救急車を呼ぼうかと思った室井は、過保護かもしれない。

青島は漸く振り返ると、室井を見つめた。

そしてその手を室井の頬に伸ばしてくる。

「胸が痛くて呼吸が苦しくて切ないです。室井さんが傍にいると」

呆気に取られる室井の頬を撫ぜながら言う。

「病気です」

そう言うと、青島はニッコリと笑った。

室井の視界が暗くなる。

一瞬だけ音を立てて触れる唇。

室井がそれを認識したのは、青島の笑った顔が再び視界に入ってからだ。

「恋の病です」

ぽかんとしている室井が可笑しかったのか、青島が小さく声を立てて笑うと再びテレビに向かった。

「早く、仕事終わらせてくださいね」

漸く頭が働き出した室井は、青島の横顔に苦笑した。

「それが言いたかっただけなのか?」

「ええ。それだけ」

「何事かと思った」

「一大事でしょ?」

青島が再び室井を見た。

「俺があなたを想って、胸が痛いって言ってるんですよ?」

目を見つめたまま言われて、室井は息をのんだ。

青島はニッコリ笑うと、繰り返した。

「早く、仕事終わらせてくださいね」





室井は仕事をするのを諦めた。






















END
(2004.5.29)


病気なのは私の頭です。

湿疹が脳にも出ている模様・・・。
嘘です。だって書いたの、湿疹が出る前だもん(笑)

青島君の我侭が書きたかったんですけどね〜。何か違う・・・。
ヘタレ室井さん。手玉に取られてます。