19.「一緒にいよう」












湾岸署から青島の自宅に向かう途中。

少し先を歩く青島の後ろを歩きながら、室井はその後姿を見つめる。

特に会話はない。

何があったわけでもないが、二人ともなんとなく黙っていた。

たまにこんなことがある。

場所は互いの部屋だったり、湾岸署の喫煙所だったり、今みたいに道端だったり。

気まずくない沈黙もあるということを、室井は青島と付き合うようになって初めて知った。

居心地は悪くない。

青島は何が気になるのか、街路樹を眺めたり空を見上げたりしていた。

室井は黙ってその背中を見つめている。

その背中が不意に立ち止まる。

青島の視線は空に向いたまま。

室井はその青島の横顔を見つめた。

ふと青島が室井を振り返える。

ちょっと驚いた顔をしている室井に、青島は人差し指を空に向けてみせた。

それに従って、室井も空を見上げる。

星が見えた。

満天の星空とは言えないけど、星など滅多に見る機会がない室井には新鮮だった。

少しぼんやりと見入ってから、視線を青島に移すと室井を見ていたらしい青島と目が合う。

「きれいっすね」

「そうだな」

「室井さん」

「うん?」

何が嬉しいのか、青島が微笑んだ。

「ずっと一緒にいましょうね」

驚いた室井に構わず、青島は歩き出した。

「青島?」

「今、室井さんと一緒で良かったなーって思ったから。なんとなく言っとこうと思って」

室井はもう一度空を見上げた。

空を見上げて星が綺麗だと思うことなど、もう随分なかった気がする。

少なくとも田舎を出てからはなかった。

青島がいなければ、今も空を見上げることはなかっただろう。

視線の先で、青島が上機嫌で笑っている。

室井は隣に並んで青島の手を握った。











END
(2004.6.17)


まったりした話ですね・・・。

先日遅く帰宅したときに、すごく綺麗な星空を見ました。
それで、なんとなく浮かんだ話。
短くてごめんなさい・・・。

そして、無知でごめんなさい。
東京でも星空って見れますよね?(汗)