「青島・・・」
青島の上に乗り上げてその腕を押さえつけた室井は、酷く悲しそうな顔をしながら青島を見下ろし
ている。
抵抗しながら青島は、これではどちらが押し倒しているか分からないなと思った。
思いながらも抵抗する。
抱かれるわけにはいかないからだ。
「青島、好きだ」
繰り返される睦言に耳を塞ぎたくなる。
いつからかお互いの部屋に行き来するようになった。
酒が入って成り行きで泊まったりすることさえあった。
室井と一緒にいるのは極自然で居心地が良かったのだ。
その理由を深く考えたことはない。
考えることに意味があるとは思えなかった。
居心地が良い理由。
一緒にいたいと思う理由。
会いたいと思う理由。
それをはっきりさせてしまったら、室井の傍にはもういられないだろう。
そう思っているからだ。
首を逸らして室井の唇を避ける。
一瞬躊躇ってから、室井は青島の首筋に唇を落とした。
不快感を感じられない自分に青島は絶望した。
それでも、必死で抵抗する。
押さえつけようとする室井の手に傷をつけてしまっただろう。
何故だかそれが悲しかった。
「青島」
懇願するような室井の声。
触らないで。
言いたかったが声には出せない。
「青島」
好きだ。
ずっと好きだった。
ずっと触れたかった。
耳に直接吹き込まれる声に、青島は震える。
どうしてこんなことに―。
触るなと、嫌いだと言えば、室井は止めてくれるかもしれない。
信じてくれるかもしれない。
それでも言えない。
抵抗するのが精一杯なのだ。
室井が青島の顎を掴んで、口付ける。
触れただけで離れる。
青島が泣いていたからだ。
解放された片手で、青島は自分の目を隠した。
「青島・・・」
その手に優しく触れてくる室井。
「嫌だ」
やっと出せた一言に、室井が動きを止めた。
「嫌だ」
繰り返す。
受け入れていいわけがない。
触れ合っていいわけがないのだ。
どれだけ望んだって。
どれだけお互いが望んだって。
「青島」
名前を呼ばないで。
「君が好きなんだ」
俺は嫌いです。あなたなんて。
「青島」
お願いだから、呼ばないで。
青島は小さく嗚咽を漏らした。
腕で目を覆ってしまっているから見えないが、震える体から室井にもはっきりと伝わっているはず。
室井の手がその腕に再び掛かる。
「嫌だ」
「ちゃんと俺を見てくれ、青島」
見たら終わりだ。
青島はそう思う。
きっと言ってしまう。
自分の気持ちを。
室井に何度も言われて、我慢なんかとっくに限界を超えている。
「・・・嫌だっ」
腕を捉まれて、視界が広がる。
滲んだ視界に、室井の顔が見える。
切なそうに、だけど優しい目で。
青島を見つめている。
「君が好きだ」
何度も繰り返された室井の告白に、青島はまた震えた。
「青島」
これ以上好きだと言わないで。
きっと伝えてしまうから。
「青島」
お願いだから、言わないで。
「君が好きだ」
END
(2004.6.8)
えー・・・。
訳が分からなくて申し訳ないです。
「嫌だ」というタイトルで浮かんだ場面を書いたのですが、本当にそこしか書いてないから・・・(汗)
前後があれば、もうちょっと読みやすくなったかもしれません。
雰囲気だけでも感じ取って頂けたら、嬉しいです・・・。