■ 初めまして


「室井さんて、ご兄弟いましたっけ?」
「いつもどんな本読んでるんですか?」
「お休みの日って、何して過ごしてます?」


「あ、青島」
質問攻めにあっていた室井は、困惑した表情で青島を止めた。
「なんすか?」
「そんなに、一度に聞くこともないだろう」
ちょっと首を傾げた青島に、やんわりと言う。
青島の質問が不快なわけではない。
ちょっと面を食らっただけである。
「だって…俺、室井さんのこと、まだあんまり知らないし」
軽く唇を尖らせる青島。
うっかり可愛いなどと思いつつ、室井は苦笑した。


青島の言いたいことも分かる。
二人が付き合いだしてから、3ヶ月経った。
それなのに、お互いについて知らないことがまだまだ多い。
3ヶ月経ったといっても、二人が一緒に過ごした日は数えるほどしかなかったからだ。
仕事が忙しくて中々都合が合わないのだ。
「…室井さんは、俺のこと知りたくない?」
膨れているのか、いじけているのか。
上目使いで見つめられて、室井は軽く焦る。
「そんなわけないだろう…ただ」
「ただ?」
「お見合いみたいじゃないか?情報のやり取りしてるだけだと…」
室井が言うと、青島は一瞬きょとんとしてからポンっと手を打った。
「なるほど」
「青島?」
「そうしましょう」
「は?」
一人納得した青島に、室井はついていけない。
目を白黒させ室井に構わず、青島はいきなり正座をした。
「初めまして。青島俊作です」
どうやらお見合いごっこをするつもりらしい青島に、室井は眉間に皺を寄せた。
青島がじっと見つめてくる。
根負けした室井がため息を吐いて正座をした。
「……室井慎次です」
「ご趣味は?室井さん」
「……君は?」
困った室井が聞き返すと、青島が苦笑する。
「質問に質問で返さないでくださいよ……まあ、いいや。えーと、腕時計とモデルガンの収集です」
「そうなのか?」
「そうですよ。知らなかったでしょ」
「知らなかったな」
「室井さんは?趣味」
「…無いな」
「そんなこともないでしょ。お休みの日って何してます?良くしてることとか無いですか?」
考え込む室井を、青島は期待を込めた目で見ている。
どうやら、本当に室井のことを知りたいと思ってくれているらしい。
答えを待っている青島のために室井も真剣に考えるが、趣味と言えるようなものは浮かばない。
―休日にしていること。
「あ」
「なんか浮かびました?」
声を漏らした室井に、青島が嬉しそうに尋ねてくる。
「君に会ってる」
「…は?」
「だから、休日の度に君に会ってる」
室井は苦笑した。
「ということは、趣味は『青島に会うこと』で良いのか?」


どんなプロフィールにも載せられない室井の趣味に、青島は言葉を詰まらせ赤面した。










END

2004.4.11

あとがき


付き合いたてのバカップルでした(笑)


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