■ As promised


(1)


行為の最中に、室井がいつもと違うことに気が付いた。
だが、何も言わずに受け入れた。
室井が必死だったからだ。
あんな顔で自分を抱く室井を初めて見た。
―この世の終わりには、きっとこんな顔をしているんだろうなぁ…。
青島はぼんやりと思っていた。
だから、事の後に室井が言った一言にも、驚かなかった。




「別れよう」
青島は弛緩しきった身体をベッドに投げ出して、視線だけを室井に向けた。
室井は既に着替えてベッドサイドに立ち、青島を見下ろしていた。
「……理由は?」
「仕事に、専念したい」
苦しそうな声だったが、嘘を吐いているようには見えなかった。
室井の嘘はすぐに分かる。
顔にも声にも、そのまま出る。
ずっとそんな所が好きだったが、別れ話の時になって初めて嫌いになった。
「君を嫌いになったわけじゃない。俺の問題だ」
切なげに見つめられて、卑怯だと思った。
室井はきっとまだ青島を好いてくれている。
それを室井自身認めた上で、別れを切り出しているのだ。
好きだけど、別れたい。
仕事に専念したいから、別れたい。
そう言われてしまえば、青島には室井を説得する言葉が無かった。
元から、自分と室井の関係がプラスになると思っていたわけではない。
大きなリスクを背負っていたのは室井の方だった。
「やめたい」と言われれば、青島には何も言えなかった。
「分かりました」
青島は重たい身体を起こすと、なるべく明るい声で言った。
見栄ではなくて、室井のためだ。
これで自分に泣かれでもしたら、室井には堪らないだろう。
そう思ったから、青島は笑った。
「大好きでした」
室井は一瞬キツク目を閉じた。
「俺もだ」
「俺たち、部下と上司に戻れますよね?」
目を開くと、室井の両目には力が戻っていた。
「もちろんだ」
青島が信頼し続けた男の目。
そして、それはこれからも変わらない。
青島は微笑みながら口を開いて、一度閉ざす。
恋人として顔を合わせるのが最後なら、伝えておきたいことがいっぱいあった。
お礼もいいたかったし、謝りたいこともある。
だが何を言っても、女々しくなりそうだ。
自分の涙腺にも自信はない。
一番伝えたかった言葉はもう伝えたから、それで良いことにした。
青島は、口元を少しだけゆがめた。
「もう、行ってください」
室井は少しだけ目を伏せて、頷いた。
踵をかえして、ドアを出る直前に振り返った。
「俺は上に行くぞ、青島」
軽く目を見張り、青島は破顔した。
「俺は現場で頑張りますよ、室井さん」
室井は微笑して頷いて、今度こそ出て行った。
少しして、玄関のドアが閉まる音がした。
暫くの間そのまま動けずにぼうっとしていた青島だったが、やがてサイドボードに手を伸ばし煙草を取った。
一本手に取ると、火をつけて深く吸い込む。


いつか来ると思っていた。
永遠に一緒にいられるわけはない。
仕事を第一に考えればいつまでも一緒にいてはいけない。
「仕事に専念したい」という言葉の正確な意味は、青島に分からなかった。
青島との交際が負担になっているという意味か、あるいは恋愛にのめり込んでしまい仕事に支障をきたしているという意味か。
もしくは結婚も考えているのかもしれない。
それならば、室井が別れを決めてもおかしくなかった。


室井を好きになったことにも、室井と過ごした歳月にも、後悔は一つも無い。
今振り返っても、暖かい記憶ばかり。
今想っても、愛しいという気持ちばかり。
きっと何年経っても、室井とのことはそんなふうに心に残っていくのだ。
青島は煙草を咥えたまま、ふっと微笑んだ。
滲む視界に、煙草の煙が見える。

「室井さんから言ってくれて…良かったなぁ…」
ポタポタとシーツに涙が零れ落ちた。

青島はいつだって別れる覚悟でいたつもりだったが。
室井の邪魔になる日が来たら、すぐに手を離すつもりだったが。
きっと、自分から別れ話が出来る日は来なかった。
手遅れになる前に室井が手を離してくれて良かったと、心から思う。

二人の別れは、絶望ではない。
むしろ、大きな希望だ。
室井はきっと約束を叶えてくれる。
青島はその時をどこかの所轄で迎えるのだ。

「…だから、大丈夫…」
―俺は、大丈夫。


青島は心の中で繰り返して、静かに涙を落とした。










(2)


珍しく暇な昼下がり、青島は自分のデスクでだらしなく伸びていた。
幸いうるさい課長もいない。
こういう時に報告書を書いたり領収書の精算でもしたら良いのだろうが、困ったことに溜め込まないとやる気にならないのだ。
ぼうっとしていた青島は、胸ポケットで携帯が鳴ったので思わずビックリした。
「青島君、だらけすぎ」
電話如きで異常に驚いている青島を見て、呆れたように魚住が言った。
苦笑いしながら携帯に手を伸ばす。
「はい」
『青島か?』
電話の声は一倉だった。
「どうも〜ご無沙汰してます」
『ああ、久しぶりだな……ちょっといいか?』
青島の携帯に掛かってきたのだから、青島に用事があるのだろう。
一倉の口ぶりから個人的な内容だと窺い知れる。
少し嫌な予感がした。
青島が返事をするより先に、一倉が勝手に喋り出した。
『室井のことなんだが』
やっぱりと思って、青島の表情が沈む。
生憎電話だから、一倉には伝わらない。
『最近様子がおかしいんだ。仕事の鬼っつーか…いや、前からそうだったんだけど』
今更青島に、室井のことを聞かれても困る。
仕事をバリバリこなしているのなら、青島としては嬉しい限りだ。
別れた甲斐もあったというもの。
などとちょっと思って、また少し暗い気持ちになった。
『お前、あいつと何かあったのか?』
一倉に聞かれて、青島は驚いた。
『どうせ、ケンカでもしたんだろう』
何があったが知らないが許してやってくれないかと頼まれて、青島はますます驚く。
室井と別れてから、三ヶ月近く経っていた。
「ええと…一倉さん、何も聞いてないんですか?」
『うん?ああ…「何でもない」の一点張りでなぁ。あいつが仕事熱心なのは構いはしないんだが、ちょっと度を越してるんだよ』
「…ていうと?」
『以前にも増してワーカホリックだな、ありゃ。ほとんど家にも帰らずに仕事してるよ』
青島は目を丸くした。
やる気を出して頑張ってくれているのは嬉しが、そんな無茶をして欲しいわけではない。
そんなヤケクソ染みた頑張りを期待しているわけではない。
大体それでは、振ったのが青島みたいではないか。
青島は何か釈然としないものを感じながら、席を立った。
これ以上はここで話せそうもない。
「一倉さん、そういう話を俺にされても困ります」
『お前、冷たいなぁ。そんなに怒ってるのか?あいつ、一体何をやらかしたんだ?浮気…は出来ねぇか。ああ、じゃあ、あれか?強引に…』
「一倉さん」
青島は喫煙所に入りながら、痛む額を押さえた。
「俺たち、別れたんですよ」
沈黙が下りる。
一倉からの返事を待った。
『……本当か?』
珍しくも、声に驚きが現れている。
そんなに自分と室井が別れるのが驚きなのかと思って、青島は苦笑を浮かべた。
「ええ、三ヶ月ほど前です」
『そうか…』
また短い沈黙。
『こんなことは俺が言うことじゃないと思うんだが、もう修復は不可能なのか?』
今度は思いのほか真剣な声で、青島はビックリした。
そして、やっぱり苦笑する。
「一倉さん、勘違いしてますよ」
『うん?』
「振られたの、俺っす」
三度の沈黙は、長かった。
余程意外だったらしい。
『マジでか』
「ええ」
『益々おかしいな…』
「え?」
『お前以外のヤツなんか眼中に無い男だぞ、あれは』
青島は肩を竦めた。
「さあ、気が変わったんじゃないですか?」
本当は違う。
室井は心変わりをしたわけではないし、青島もそれは知っていた。
だが細かく説明する必要はないし、誰かに室井とのことを分かって貰おうとは思っていなかった。
青島と室井の二人が、知っていればいいことだ。
この先ずっと。
『…お前があっさりしすぎてるのも、気になるな』
勘の良い男である。
「余計なお世話ですよ」
青島は笑いながら言った。
『確かに、な。だが、余計なお世話ついでに言わせて貰うぞ。室井に何があったのかも、お前が何を考えてるのかも知らないが、いきなりの別れっつーのはおかしくないか?それとも、それらしい前兆があったのか?』
俺が知る限りお前らはいつもバカップルだったぞ、と言われて眉を寄せながら、青島も考える。
確かに前兆があったわけではない。
別れ話をする前の数回のデートはいつもと何ら変わらなかった。
前兆があったと言えば直前のセックスだけだ。
まさかそんなことを言うわけにもいかないので、青島は無言でいた。
それに構わず一倉は続ける。
『別れた理由が何だったか知らないが、あれだと室井の方が振られたように見えるぞ』
「そんなこと、俺に言われても」
青島だって別れたくて別れたわけではなかった。
仕方の無いことだと理解をしていたから、了承しただけだ。
沈んだ青島の声に何かを感じ取ったのか、一倉が続けた。
『…何か、おかしいな』
「え?」
『ちょっと、探ってみてもいいか』
一倉の提案に青島は目を白黒させた。
『室井がお前と急に別れたくなった理由だよ』
「…理由なら、聞きましたよ」
青島は仕方が無く、簡単に説明をした。
自分の気持ちもちゃんと話して、二人とも納得して分かれたのだということを伝えた。
『ふむ…理解できる話だが、それならますますおかしいだろう。室井の態度が。あれは、どう見ても、納得して別れた人間の態度じゃないぞ』
「……それこそ、俺に言われても」
室井のその後については、青島は何も知らない。
別れた時の姿は多分一生忘れないが、それはやる気に満ちていたと言ってもいい。
その結果が今の無茶に繋がっているのだろうか。
それならば、「そんな無理はしないでいい」と伝えてやるべきだろうか。
それくらいのことなら今の青島でもしてやれる。
そんなことを考えていると、一倉が話を元に戻した。
『ちょっと調べてみるぞ』
「え、あ、いや、でも」
今更混ぜっ返さないで欲しいというのが、正直なところだった。
三ヶ月経って何が変わったわけではない。
少しずつ室井のいない状況になれてきているだけで、まだ胸が痛まないわけではなかった。
躊躇う青島に、一倉は笑った。
『俺は勝手にするぞ、青島。あいつに死なれちゃ困るしな』
「そんなの俺だって困りますよっ」
『…世話を掛けて申し訳ないが、不器用なあいつのために、もう少し付き合ってやってくれないか』
「……っ」
言われるまでもない。
そんな所が大好きだったのだから。
青島は携帯を握り締めたまま、胸元を押さえた。
胸が酷く痛んだ。
傍にいないことに慣れただけで、一つも忘れていない証拠だ。
『何が出てくるかしらんが、何か分かったらまた連絡する』
一倉が一方的に言って、電話を切った。
切れた携帯電話を握り締めて、青島は立ち尽くしていた。



***



連絡は三日と絶たずに来た。
一倉がどういうわけか真下を連れて、直接湾岸署にやってきたのだ。
二人をとりあえず、取調室に通した。
ドアを閉めてしまえば、誰に話を聞かれることもない。
「なんで、お前もいんの?」
思わず青島が尋ねると、真下が大袈裟に顔をゆがめた。
「ひどいなぁ!今回は俺の力があってですねぇ」
「正確にはお父上の力だがな」
横から一倉が突っ込むと、真下はあからさまにへこんだ。
相変わらずである。
青島はちょっとだけ口角をあげたが、すぐに真顔になった。
揃って顔を出したということは、室井が別れを決めた理由が、室井の意思以外にもあったということだ。
そうならば、青島はちゃんと知りたかった。
真下がちょっと身を乗り出した。
大事な話をするときの、真下の癖である。
「親父に頼み込んでですね、調べてもらったんですけど」
焦らしているわけではないのだろうが、そこで一旦区切る。
「それがですね、言い難いんですけど」
「…なんだよ」
「監察官に、バレたらしいんです」
青島が硬直すると、真下は痛ましそうな顔をした。
話の流れから言って、バレたというのは当然青島と室井のことだろう。
日頃から危惧していただけに有り得ない話ではないが、やはり「まさか」という気持ちが強かった。
心配事が的中すると、案外そんなものかもしれない。
驚いて絶句している青島に、一倉が言った。
「監察官から圧力が掛かったのは確かだろうが、正確にはどういう脅しだったのかはわからない。だけどお前らが別れて、二人とも何の処罰も無いところをみると、別れるのが条件だったのは確かだろうな」
少なくとも、青島の方には何の連絡も無かった。
処罰はもちろん、監察官からの圧力も、何も。
「警察はその…外聞を気にしますからね。処罰をしない代わりに先輩との関係を清算するように、室井さんに迫ったんじゃないかと思うんですよ」
「それで、室井が青島と別れることを決めた」
青島は呆然としながら真下を見て、一倉を見た。
室井が急に別れを告げた理由ははっきりした。
信じたくない状況だったが、それなら納得はいく。
「室井さん、先輩のために黙って身を引いたんでしょうねぇ…」
室井に憧れを抱いていた真下は、しみじみとした口調で呟いた。
「……違うよ」
ぽつりと青島が呟いた。
「俺のためじゃない」
一倉と真下が目を見合わせる。
「…青島?」
「一倉さん、一つ頼まれてください」


―仕事に、専念したい。
―君を嫌いになったわけじゃない。
そう言った室井の言葉に、やはり嘘は無かったのだ。
今の室井の姿が、それをはっきりと表していた。










(3)


帰宅した室井が目を剥いて鞄を取り落としたので、青島は苦笑した。
「おかえりなさい」
廊下に体育座りをして室井の帰りを待っていた青島は、そのままの態勢で室井に手を振ってやった。
室井はまだ絶句している。
一倉にお願いしたことは、意地でも今日は室井を自宅に帰してくれということだった。
どうやら、一倉は上手くやってくれたらしい。
「…ほら、合鍵。まだ返して無かったから」
青島は立ち上がると、手の中の鍵を見せた。
別れ話をして以来、どう処分しようかずっと迷っていた。
何度も捨てようと思ったし、郵送して返そうかとも思っていた。
結局はまだ青島の手の中にある。
青島の部屋の合鍵は、あの日室井が青島の部屋に置いて行った。
「勝手に上がらせてもらって、待ってました」
「あ…ああ…そうか…」
「……痩せましたね」
青島は室井の顔を見ながら眉間に皺を寄せた。
三ヶ月ぶりに見る室井は、かなり痩せこけていた。
その憔悴ぶりを見れば、一倉が言っていたことに間違いが無いことが良く分かった。
室井は片手で自分の頬を撫ぜる。
「そうか?…ここのところ、忙しかったからな」
自分で忙しくしていたくせに、そんなことを言う。
青島は少しだけ笑うと、手を差し出した。
鍵を室井に差し出す。
意図を察して、室井は青島の顔をじっと見つめた。
その目が酷く悲しそうなことを、室井本人は気が付いているのだろうか。
青島はそんなことを考えながら、室井が手を伸ばしてくるのを待った。
やがてそっと室井が手を伸ばしくる。
鍵に手が触れる瞬間に、青島はその手を握り締めた。
身体をびくりと弾ませた室井が、痛々しく見える。
「室井さん」
「な…んだ…?」
「監察官に、バレちゃったんですってね」
室井の目が開かれる。
「君のところにも、行ったのか!?」
青島は緩く首を振る。
「一倉さんと真下が調べてくれました」
「…っ」
「俺と別れるように、言われたんですね?」
「…青島、手を離せ」
室井が顔を背けて、青島の手を振り解こうとする。
青島はキツク握り締めて、決して離さない。
「それが、室井さんと俺が処罰されないための条件だった?」
「離してくれ」
「室井さん」
「俺は…っ」
室井は顔を背けたまま、吐き出した。
「君のために別れたわけじゃないっ」
悲痛な室井の声が痛ましくて、青島は堪えきれずにとうとう室井を抱きしめた。
「分かってます」
青島の身体を押し返そうとする室井を力いっぱい抱きしめる。
「俺のためじゃない。室井さんが出世するためだ」
「―っ!」
室井の動きが止まる。
青島はそれでも腕の力を緩めなかった。
「…分かっているなら、何故会いに来た…」
耳元で震えた声が聞こえる。
「室井さん」
「俺は…俺は自分が出世するために、君を捨てたんだぞ…」
「室井さん、それは何のため?」
青島は身体を少し離すと、両手で室井の頬を包んだ。
鍵が床に落ちて、鈍い音を立てる。
「室井さんが出世するのは、約束のためだ」
青ざめた室井の頬をそのまま撫ぜると、室井の唇が震えた。
監察官が何と脅したかは、分からない。
分かるのは、室井が青島との別れを選んだこと。
室井は青島でも自分自身でもなく、約束を選んでくれたのだ。
青島は額をつき合わせるほど至近距離で、微笑んだ。
「室井さん、ありがとう」
「…っ」
室井は表情を歪めると、力いっぱい青島を抱きしめた。
青島もその背を抱きしめる。
「青島っ」
「ごめんね、室井さん。一人で頑張らせて、ごめん」
「すまな…青島……っ」
「何もしてあげられなくて、ごめんなさい」
「青島…すまない、青島…あおし…っ」
室井は土足のまま廊下に上がると、青島の頬を両手で包んで唇を重ねてきた。
「すまない、青島」
謝罪とキスを交互に繰り返しながら、室井は青島を廊下に押し倒した。
室井を見上げると、青島の頬に涙が落ちてくる。
室井の涙だったが、どっちの涙だって、同じことだ。
青島だって、泣いていたから。
お互いに、もう言葉にはならなかった。
気持ちをぶつけるように、そのまま身体を重ねた。




青島がそっと目を開けると、室井が黙って青島の髪を梳いていた。
眩しい日の光で、朝になっていることに気が付いた。
「……おはようございます」
重たい瞼を必死に持ち上げていると、室井が柔らかく微笑んでくれる。
「おはよう…」
身体を起こそうかと思ったが、髪を梳いてくれる室井の手が気持ちよかったので、もう少しこのままでいることにした。
しばらく無言で髪を梳いていた室井だったが、静かに口を開いた。
「君と別れて…必死で仕事をした」
ぽつりと呟いた。
「知ってます。一倉さんに聞きました」
だから会いに来たのだ。
室井は青島の返事を聞いているのかいないのか、そのまま話を続けた。
「そのために君と別れたのだから、捜査して、結果出して、一日も早く昇進して…」
手を止めると、真剣な眼差しで青島を見つめた。
「君との約束を果たすことだけが、俺の全てだと思ったんだ」
自分はこの男のために何が出来るだろうか。
青島はどこまでも真摯な室井を見つめたまま思った。
「青島…」
「はい?」
「俺と一緒に、戦ってくれないだろうか」
思わず鳥肌が立った。
夕べ散々泣いたのに、また緩くなりそうになる涙腺に力を込める。
戦う覚悟なら、既にしていた。
一倉に聞いて、室井が約束のために別れを選んだのだと知った時から。
後は室井の気持ち次第。
そう思っていたのだ。
「約束は、絶対に諦めない」
室井の手が、頬に下りてくる。
「だから、君のことも諦めたくない」
青島は室井の手に自分の手を重ねた。
返事は室井の唇に飲み込まれた。










END


2005.5.21

あとがき


先日日記にアップしたお話です。
「容疑者」の予告を見て、ショックを受けたために書き殴りました(苦笑)
もー…室井さんが可哀想で可哀想で…(涙)
少しでも救ってあげたいという自己満足で、書いてしまいました。

今になって振り返るとちょっと不自然なストーリーかもしれません。
その辺りは目を瞑って頂けると有り難いです(^^;
青島君に泣きつく室井さんがかけて、満足でした(笑)

幸せになるんだよ〜(何ソレ)



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