■ 会いたくなったら


切々とこの世は生きにくくなっただの、老人に優しくないなどと零す寸借詐欺の爺さんの愚痴に適当な相槌を打ち、青島はその大半を聞き流した。
金がないからなのか、はたまた単にこうして誰かに構われたいからなのか。
青島と顔を合わせるのは、これで三度目になるボチボチ常連だった。
駅で寸借詐欺を働き駅員からの通報を受けた緒方が引っ張ってきたのだが、青島さんと話したいと言ってきかないと押しつけられ、仕方なく相手をしていた。
青島のいい加減な相槌でも満足なのか、爺さんは放っておけばいつまでも愚痴を零し続けている。
延々と付き合ってあげられるほど、強行犯係りの係長は暇ではない。
青島はしばらく付き合ってから、気持ちは分かるがと話を遮り、犯罪はいけないことだと諭し宥めて、しおらしく反省し謝罪する爺さんを解放した。
どちらかといえば解放されたのは青島のような気はするが、とにもかくにも爺さんは青島に頭を下げて帰って行った。
きっとまた来るだろうなと思いながら席に戻り溜め息を吐いた。
同時に溜め息が重なり、見れば和久が物思いに耽った顔をしていた。
真面目な彼が仕事中にぼんやりしているのは珍しいが、ここ最近少し元気がないように見えていたから青島も気になっていた。
心ここに在らずな様子の和久に、青島はとりあえず声をかけた。
「和久君、和久君」
ハッとしたように、和久が青島を見た。
「なんでしょうか」
「電話、出ないの?」
和久の机の電話が鳴っていた。
それにも気付いていなかったようで、和久は慌てて電話に飛び付いた。
それを見ながら、青島はもう一度ひっそりと溜め息を吐いた。
上司としてはぼうっとするなと注意をすれば済むことかもしれないが、和久が故意に仕事の手を抜くとは思えず、何か思い悩むところがあるのかもしれないと思った。
和久は青島の大事な部下であり、仲間だった。
放ってはおけなかった。

業務が一段落すると、青島は空いている取調室に行くように和久を誘った。
二人分のコーヒーをいれて青島もすぐに向かう。
和久に一つ渡すと、恐縮しながら頭を下げた。
「すいません、係長」
「いいのいいの、俺が飲むついでだから」
「いえ、コーヒーだけじゃなくて、その…」
最近仕事に身が入っていないことを注意されると思っているのかもしれない。
硬い顔でうなだれる和久に、青島は小さく笑った。
思えば、和久は随分と可愛い後輩だった。
かつて青島を先輩と呼んだ真下だが実際はキャリアで後輩とも呼べないし、そもそも飄々とした性格のおかげで全く可愛くはなかった。
緒方は体育会系な分青島を立ててもくれるが、体育会系なためいかんせん暑苦しさが目立つ。
強行犯係り紅一点の夏美は明るく陽気な性格であり容貌と合わせてももちろん可愛いと言えるが、青島よりもしっかりしているところがあり、時々怒られる。
新人の二人も可愛いには可愛いが、年の差故か、王にいたっては国籍のせいか、何を考えているのか分からないところも多かった。
そこも含めて彼らの個性だと分かっているので、青島はなるべく彼らの自主性を重んじながら育てようと考えており、今のところ比較的良い雰囲気で共に働けているとは思っているが、栗山は愛想がないのが玉に瑕で、王は若干の言葉と文化の壁があった。
和久は明るく真面目で素直な性格であり、叔父に青島の話を聞いていたせいか青島にも懐いたし、そういう意味でも分かりやすくて可愛い後輩だった。
「何か悩みごと?俺で良ければ、相談に乗るよ」
和久が話しやすいように、なるべく軽く話をふってみた。
和久は手元のコーヒーと青島をちらちらと見比べ、口を開こうかどうしようか迷っているように見えた。
その態度は特に青島のお節介を迷惑だと感じているようにも見えなかったので、青島はもう少し強く押してみた。
「口に出すだけで楽になることもあるし、話すだけ話してみない?」
「あの…それが、仕事に関係のないことなんです」
「どんなことでもいいよ、何か困ってんならさ」
俺たち仲間じゃないと屈託なく笑って促したら、和久は感激したように目を微かに潤ませ、ようやく口を開いた。
「最近彼女とうまくいってなくて」
切り出した和久の言葉に青島は思い切り拍子抜けしたが、なるべく顔に出さないように気をつけた。
たかがそんなことで、とは本気で恋愛している最中の人に言ってはいけない。
本人にとっては生きるか死ぬかの瀬戸際、というほど大問題な場合があるからだ。
特に若いうちはそうであってもおかしくはない。
プライベートが仕事に支障をきたすことは褒められたことではないが、和久のような悩みを抱えたことは誰にでもあることで、理解はできた。
「それはしんどいね」
青島は理解ある上司の顔の下に、好奇心を隠しておけなかった。
和久の恋愛話など初めて聞くが、それこそ若い健康な青年であれば恋愛事の一つや二つあって当たり前のことだった。
「和久君、彼女いたんだね」
少し身を乗り出し、和久を尋問する。
「どんな子?」
「ええと、大学の同級生です」
「じゃあ、それからの付き合い?」
「いえ、付き合いだしたのは1年くらい前に同窓会で再会してからなんですが」
「ああ、あるある。そういうこと…可愛い?」
「いや、あの、どうでしょうかね、僕にとっては可愛いですけど」
一瞬困ったように笑った和久だったが、うまくいっていないというからには別れの危機なのか、すぐに表情をまた曇らせた。
「彼女と何かあったの?」
「それが…」
深刻な顔をしている和久の話を聞いてみたら、これがまた非常によくある話だった。
仕事と私どっちが大事なの、というような言葉で彼女に責められたらしい。
湾岸署に配属されてからというもの、和久は忙しい毎日を過ごしている。
青島同様、定時に帰れることなど滅多にないし、大きな事件が起これば自宅にすら帰れないこともしばしばだ。
最初は警察官の仕事に理解してくれていた彼女も、デートのキャンセルが相次げば不安や不満を持つのも当然で、仕方がないことかもしれない。
青島自身、身に覚えがあった。
湾岸署に配属されたての頃、当時付き合っていた彼女に同じような理由で振られている。
和久の気持ちは良く分かった。
「あー、そりゃあ、困ったね…」
気持ちは良く分かるが、うまい解決策を知っていれば当時の彼女と「忙しい」という理由で別れているわけがなく、とっさに口をついたのは全く頼りにならない感想だった。
だが、青島が「俺も経験あるよ」と慰めたら、仲間がいたと思ったのか和久は嬉しそうな顔をした。
「係長もですか」
「うん、湾岸署に配属になった頃にね」
「やっぱり…中々デートする暇もないですもんね」
もちろん全く時間がないわけではないが、こちらの都合がつく時に彼女が必ず暇なわけもない。
結局、すれ違いが続いて別れることになってしまった。
「彼女のことは大事で、気持ちが変わったわけじゃないんです。でも、僕、今仕事が楽しいんです、寝れなかったり帰れなかったり大変なことも多いし、覚えることもまだまだいっぱいあるんですけど…」
和久がぽつりぽつりと語る言葉を、青島は微笑ましく思いながら聞いていた。
和久が過ごしている今は、かつて青島にもあった過去だ。
辛いことや嫌なことがあっても、それこそプライベートを犠牲にしなければならなくても、青島にとって刑事の仕事は楽しかったしやり甲斐があった。
その思いは、年齢を重ねた今も変わっていないのかもしれない。
だが、年齢を重ねた分、多少の処世術は身につくものだ。
青島は少し考えてから、口を開いた。
「和久君、彼女と別れたくはないんだよね?」
頷く和久を見ながら、だろうなと思う。
別れるつもりがあるなら、和久が思い悩む必要がないからだ。
「なら、出来ることだけでもしてみたらどうかな」
「出来ること…」
「うん、会えなくてもね、電話するとかメールするとかさ」
和久に仕事を投げ出して彼女に会いに行けとは言えないし、実際されれば上司としてはすこぶる困る。
事件は待ってはくれないし、彼女を優先しろとは到底言えないが、うまくやっていく方法はきっとあるはずだ。
でなければ、既婚者の刑事などいなくなってしまうし、刑事課にも森下のように夫婦仲の良い家庭もあるのだ。
今の和久は慣れない仕事に比重が傾いているかもしれないが、真面目で優しい彼のことだ。
仕事をしながらでも彼女とうまくやっていけるような気もした。
「ちょっとだけでも気にかけてあげると、彼女も安心するんじゃないかな」
関係を続けていくには、続けていくための努力がいる。
それはもちろん、彼女に我慢させるだけではうまくいかない。
恋愛は一人でするものではない。
双方で思いやれなければ、続くわけが無かった。
「ちゃんと話して、気持ち聞いてあげなよ。別れたくないなら、頑張らないとね」
青島が背中を押すように励ますと、和久は何度か頷いた。
自分を鼓舞しているようだった。
「そうですね、彼女と話してみます」
素直な可愛い後輩に満足し、青島は笑ってコーヒーを啜った。
これで彼女と仲直り出来たらいいなと思うし、和久が元気になればいいなと思う。
うまく付き合っていけるかは和久次第、彼女次第だが、出来ればそうであればいいなと思った。
「係長はその彼女と別れちゃったんですか?」
前向きになった和久が痛いところを突いてくるから、青島は苦笑いした。
「嫌なこと聞くね、和久君」
「あ、すいませんっ」
恐縮する和久に、いいよいいよと笑って、青島は肩を竦めた。
「俺は頑張れなかったからね、すぐ駄目になっちゃったよ」
反面教師だなと笑うと、和久も小さく笑った。
あの時の青島は今の和久と似たような状況だったが、彼女に進退を迫られた時、青島には引き止める努力が出来なかった。
彼女と別れたかったわけではないが、彼女との別れをどうしようもない仕方がないことと受け取っていたのだ。
仕事が忙しいのだから、仕方がない。
そう思って別れを選んだつもりだが、それが理由で別れられる程度の想いだったのかもしれない。
何故なら、今も変わらず忙しいのに、付き合いの長い恋人がいるからだ。
相手も相手で忙しい人だから青島の忙しさを理由に別れを切り出したりは決してしないだろうが、もしそうなれば青島は別れなくて済む方法を模索するだろう。
嫌われてしまったのでなければ、簡単に諦められそうにない。
青島が大人になり相手を思いやれるようになったからか、はたまた相手が特別なのか。
なんにせよ、今の恋が最後の恋であればいいなと思うからには、努力するだろう。

少し元気になった和久と取調室を出ると、通りすがりのすみれに「男二人で密談していやらしい」とからかわれたが、反論する間もなくすみれは空き巣事件の聞き込み調査に出かけていった。
和久は緒方に張り込みに付き合えと言われ引っ張って行かれ、青島は無人の強行犯係りの机で鳴っていた電話に駆け寄った。
湾岸署は今日も忙しい。


その日、定時を大幅に過ぎて帰宅した青島は一人夕飯を食べながら、思い立って室井に電話をかけた。
若者の恋愛相談にのって、自身もしばらく会えていない恋人に会いたくなったと言ったら単純過ぎるだろうか。
忙しさにかまけて、ここのところ室井と会っていなかった。
連絡もあまりしていない。
室井からも連絡がなかったから、同じように忙しくしているのだろう。
会えないなら声だけでも、と気軽に電話をかけてしまえる程度に遠慮のいらない仲だった。
数度のコールで電話は繋がった。
『青島か?』
「お疲れ様です、今電話大丈夫ですか?」
『ああ、少しなら』
ということはまだ仕事中ということだ。
「ありゃ、残業中っすか」
『ちょっとな…君は仕事終わったのか?』
微かにうんざりしていた室井の声音が少し柔らかくなる。
疲れているのだろうが、意識的に気持ちを切り替えてくれたようだった。
「ええ、今家で晩酌してました」
『そうか』
「すいません、何か俺だけ」
『何で謝る?』
室井が小さく笑った。
確かに謝ることでも無かった。
青島は「つい」と苦笑し、本題を切り出した。
仕事中なら、余計な話をダラダラとしているわけにはいかない。
「室井さん、明日の夜とか会えません?」
『明日か…すまないが無理だと思う』
「そうっすかあ」
あからさまにガッカリした声になってしまい、今度は室井が『すまない』と謝ってくれる。
「いや、急に誘った俺が悪いんですよ」
思い付きの急な誘いなのだから、室井が悪いわけではない。
『何かあったのか?』
「なーんにも。ただ、会いたくなっただけです」
『…そうか』
硬い声は照れている証だ。
青島は室井の眉間の皺を思い浮かべて笑った。
会えないのは残念だが、室井の声を聞くだけで暖かい気持ちになれたから、それだけでも電話をした甲斐があったというものだ。
「用事あるわけじゃないから、気にせず仕事してください」
『ありがとう』
「また電話しますね」
『俺も近いうちに連絡する』
これから仕事に戻るであろう室井を励まし、じゃあまたと挨拶を交わして電話を切った。
会いたくなったからといってすぐに会えるような幸運も中々ないことだと、青島はあっさり諦めた。
今日明日会えなくたって、想い合ったままでいれば会える日は必ずくるのだ。
そう思っていれば、落ち込まずに済む。
「さあて、俺も頑張りますか」
青島は少し温くなったビールを飲み干し、明日に備えて早めに休むことにした。




潔く諦めた青島の気持ちをよそに、それから3日後の夜には室井は青島の自宅にいた。
青島が仕事から帰って来てみたら、室井が既に来ていたのだ。
玄関に靴があるのにリビングにはないその主の姿を、青島は寝室で見つけた。
青島のベッドで室井は眠っていた。
スーツの上着とネクタイを外しただけの格好で仰向けに横になり、腹の上には読み掛けらしい青島が買った雑誌が置いてあった。
青島がいつだったか暇潰しに買った週刊誌を、室井も暇潰しに目を通していたのだろう。
横になり寛いでいるうちに眠ってしまったという感じだった。
青島は室井を見下ろし、苦笑した。
もしかして、会いたいなどと言ってしまったからだろうかと思う。
気を遣わせて、仕事に都合を付けてきてくれたのかもしれない。
だとしたら、電話の一本もくれても良さそうなものだが、居なければ居ないで仕方がないとでも思ったのかもしれない。
所轄の刑事は急な夜勤も珍しくないことを室井も知っている。
帰って来たらいいなくらいの気持ちで来てくれたのかもしれない。
無防備に眠りこける室井を見ていたらそんな気がした。
何にせよ、来てくれたことは素直に嬉しかった。
起こそうかどうしようか悩みつつ、ベッドの端にそっと腰を下ろす。
微かに軋んだ音のせいか、重みで沈んだマットのせいか、ベッドに座ったことが意図せず室井を起こす結果となった。
ゆっくりと目を開けた室井が青島を見付けて、瞬きをした。
「ん…寝てたか?」
寝た記憶がないのか首を傾げる室井に笑って、青島は室井の額を撫ぜた。
「おはよう、室井さん」
苦笑した室井が青島の手を取り軽く握った。
「寝るつもりじゃ無かったんだがな」
「疲れてんじゃないですか?このまま寝ちゃってもいいですよ」
青島の言葉には返事をせずに、室井は思い出したように言った。
「おかえり」
青島は笑いながらベッドに手をつき腰を曲げ、そっと唇を重ねた。
「ただいま」
「遅かったな、何かあったのか?」
「そりゃあ、もう」
少女が飛び下り自殺をしようとしているとの通報があり、駆け付けたビルの屋上で二時間ほどかけて少女を説得し、なんとか思い止どまらせてその身柄を確保したと思ったら、そのビルの地下で酔っ払いが殴り合いのケンカしていると聞き付け仲裁に入ったものの、酒のせいか怒りが収まらないようで話しにならず、仕方がないから酔っ払い二人も署に連行したが、調書を取るのに酔いが冷めるのを待っていたら深い時間になってしまったのだ。
疲れ切った顔でブツブツと零した青島に苦笑し、今度は室井が青島の頭を撫ぜた。
「それは大変だったな…お疲れ様」
「まあ、いつものことですけどね」
恋人に労られて、青島の表情が緩くなる。
「室井さんこそ忙しかったんじゃないの?」
「一段落ついた」
言いながら欠伸を噛み殺す室井はまだ眠そうだった。
やはり疲れているのだろう。
二人とももう若くはないから、あまり無理もきかなくなっていた。
青島も若い頃は平気だった徹夜が、最近は特に堪える。
歳はとりたくないなと思いつつ、室井と一緒に歳を重ねるのはそう悪くないなと思った。
「もう寝てもいいですよ」
今日泊れるんでしょ?と聞きながら、着替えのために立ち上がろうとすると、一緒に身を起こした室井が青島の腕を掴んで引き止めた。
「寝に来たわけじゃない」
「あれ?泊れないの?」
「そうじゃなくて」
室井が眉をひそめ、青島の腰を抱く。
抱き寄せられて、久しぶりの温もりに心地良さを覚えたものの、室井の手がもどかしげに背中を這うから、思わず笑ってしまった。
なるほど、ただ寝に来たわけではないということか。
室井がその気ならば、青島にも依存はない。
久しぶりなせいか、煽られれば簡単に火がつく。
青島は室井にキスをしながら、自ら上着を脱いだ。
ネクタイは室井が外してくれる。
「疲れてないか?」
一応確認してくれる室井に、青島は笑った。
「疲れたって言ったら、やめちゃうの?」
からかうように尋ねたら、室井は眉間に皺をよせ、青島を押し倒した。
「無理強いは出来ないだろう」
「押し倒しながら言う台詞ですか」
「君が嫌がらないからだ」
「実際嫌じゃないですからね、困ったことに」
疲れてんだけどなーとぼやきつつ背中を抱いたら、室井は青島を見下ろし少し困った顔をした。
「誘うか嫌がるか、どっちかにしてくれ」
拒まないけど疲れているという青島相手に、どうしたらいいものか迷ったらしい。
こんなことでも、室井の愛情を感じる。
嫌がっていないのだから、好きにしても青島に文句は言われない。
抱きたくて来たのだろうに、青島を思いやってくれる室井が嬉しかった。
青島はといえば、正直ちょっと眠かった。
だが、欲しがられていることは満更ではないし、誘われてすぐその気になる程度には欲求もあった。
青島は笑いながら室井の頬を両手で包んで唇を重ねた。
「睡眠より、今は室井さんかな」
気遣ってくれる室井の憂いをとってやり、室井の気持ちに応えた。
室井は青島の額にキスし、頬や唇にも軽く口付けた。
労るような優しいキスも、すぐに熱がこもりだす。
シャツを脱ぎながら青島を見下ろす室井の顔は、すっかり男の顔だった。
「なんか、がっついてますね…」
久しぶりに感じる恋人の熱に照れくさくてからかうと、室井が真顔で言った。
「君が電話なんか寄越すからだ」
迷惑だと言わんばかりの口調だったが、
「声なんか聞いたら、会いたくて適わない」
本当に迷惑そうに続けるから、青島は破顔して室井を抱き締めた。










END

2012.9.4

あとがき


和久君と青島君、係長してる青島君が書きたくて書きだしたのに、
気付けばいつもと寸分違わぬ室青話に落ち着きました。
まあ、青島君が幸せそうだし、それでいいか…(^^;

テレビで某様が結婚を決めた理由を聞かれ、
「自分より大切に思える相手だから」
「そう思えるのは、彼女も自分を大切にしてくれているから」
という話をされていて、素敵だなーと思いました。
難しいですけど、人間関係って「思いやり」だなーと思います。
思い合えないと、なんでも続かないんじゃないかと。

私の青島君への愛は一方通行ですがね!(泣笑)
でも、愛してる!


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