ソファーに押し倒されて室井の唇を受けていた青島が、息継ぎの合間に室井を呼ぶ。
それに応えて、室井が少しだけ青島を解放する。
「・・・ん?」
前髪を掻きあげられ、額に唇が落とされる。
照れくささに青島は苦笑した。
「風呂、入ってきても良いですか?」
「・・・ああ」
室井が名残惜しげに青島の唇を掠め取ってから、体を起こす。
申し訳なく思いつつも、今日もいつものごとく激務だったので、汗臭かったりしてはその方が申
し訳ない。
「先、ベッド行っててください」
「あ、青島」
「はい?」
ソファーから降りたところで、室井に呼び止められて振り返る。
「・・・俺も一緒に入ってはだめか?」
一瞬、きょとんとする青島。
そして苦笑した。
室井に女扱いされていると思ったことは一度も無いが、これは男同士とは思えない会話だな、と
青島は思った。
改めて恋人なんだと思うと何だか可笑しかった。
もちろん良いと応えようとして、ふと思い立つ。
恋人同士なのだから、風呂に一緒に入るとそんなこともあるだろう、なと。
「あー・・・の」
「?」
「入るのはいいんですけど、何もしないですよね?」
風呂場で。
と、少々強張った表情で尋ねると、室井が眉間に皺を寄せた。
「・・・そんなつもりじゃなかったが」
「あ、あは。それなら、良いんです」
笑って誤魔化す青島に、室井の眉間の皺が一層深くなる。
「無かったが、そう改めて釘を刺されると面白くないな」
「む、室井さん」
「どうしてダメなんだ?」
「いや・・・」
真剣に聞かれて、青島は口ごもる。
どうしてもなにも・・・。
「青島?」
「いや、だから」
どう説明しようか悩んでいる青島をよそに、室井の機嫌が悪くなる。
「理由を言え」
「あの」
「俺は君とならどこでも・・・」
意地になっているのか、突拍子もないことを口走る室井に青島が焦る。
「や!だから!風呂場って声響くでしょ!」
声を荒げて答えると、室井が目を丸くして黙る。
そして、みるみる険のある目つきになっていく室井を見て、青島は更に焦る。
何が悪かったのか、青島にはまだわからない。
「青島」
「は、はい?」
「響くと知っているということは、誰かとは風呂場でしたんだな?」
青島は絶句した。
まさかそんなことを突っ込まれるとは。
どうやら墓穴を掘ったようだ。
「いや、そりゃ、若かりし頃には・・・」
愛想笑いを浮かべた青島に構わず、室井は青島の腕を掴んだ。
「風呂入るぞ」
入るというよりする気だ、と青島は悟って抵抗する。
「室井さん!」
「昔の彼女と出来て、俺と出来ない理由があるのか」
「・・・だから、声」
「俺しかいない」
強引な室井に、青島もキレる。
「俺の声が響くんですよ!?」
「それがどうした」
「可愛くて甲高い声じゃないんですよ!?」
「君の声だ」
「自分の喘ぎ声なんかエコーかけて聞きたくない!」
さすがに青島がそこまで言うと、室井にも青島が何を嫌がっているのかわかったようで。
ちらりと青島をみやり、表情を和らげた。
機嫌は良くなったようだが、それでも室井は引かない。
というか、もう引けないのだろう。
「俺は聞きたい」
「じじじじじ自分の喘ぎ声を聞かされるこっちの身にもなってください!」
「青島」
「絶対萎える!」
「俺はむしろ興奮するが?」
「・・・!!!」
青島が短く絶句している間にも、室井はずるずると青島を引っ張って行く。
「いやだぁーーーーー!」
END
(2004.4.7)
・・・・・・・・・・・・。色々と申し訳ありません。
私が書いた話の中で、この室井さんが一番強気ですね。
こんな話ですが(笑)
novelに置くにはちょっと短かかったです。内容もsss向きでした。
でも、これ以上長くも短くも出来ませんでした・・・。
題名がsssの「バスルーム」と被ってますが、何のつながりもないです。
だって、他に浮かばない〜(涙)
本当、題名がいつも決まらないです・・・。