風呂の中を見て、室井がちょっと嬉しそうな声でそう言った。
バスタオルを持ってきた青島が其れを聞きつけ、首をかしげた。
「は?何のことです?」
きょとん、とした青島に室井は何でもない。と首を横に振った。
「ああ、ありがとう」
バスタオルを受け取りながらそう言う室井に青島は「変な室井さん」と笑った。
「や、それよりもすみません……先に入っちゃって」
「ああ、……其れは約束、だろ?」
先に帰った方から、汗を流す。
一日の疲れは取れるし……ソッチの方が効率もいい。
という理由から、そういう風に二人の間で決めていることだ。
「まぁそうですけど……」
そう言いながら、尚も申し訳なさそうな青島に、室井は悪戯を思いついたかのように、にやっと
笑った。
「なぁ、青島?」
徐に声をかける室井に、青島はきょとんと首をかしげた。
「何です?改まって……」
無邪気そうな青島に、室井はくすっと笑いながら爆弾の様な言葉をかけた。
「もう一度、一緒に入るか?風呂」
その言葉を理解するのに、青島は数秒かかった。
そして、数秒後。
もぉおお!と怒りながら、青島はタオルを室井に投げつけた。
「何てこと言うんですか!室井さん!!」
そして、信じられない!もう、エロ親父!と喚く。
そんな青島に、落ち着け、と室井は言う。
「冗談だから」
「冗談って……!…………もおお!室井さんのばか!」
もう知りません!と言いながら、ぷんぷんと言う言葉を肩に乗せつつ、風呂場から立ち去ろうと
する青島。
そんな青島に、室井はまた「青島」と声をかけた。
青島は、頬を膨らませながらも、室井の方面を向いた。
そんな青島に、室井はにやっと笑った。
そして。
「代わりに、ベッドで待っててくれ」
その言葉を聞いた瞬間、青島は入浴剤と負けないくらいに真っ赤になった。
そして、バカ!と叫んだ。
「絶対待ってません!寝てますから!!!」
そう言うと、青島は凄い勢いで、風呂の扉を閉めた。
どんどん、という足音を響かせて居間の方向に向かう青島に、室井はクスクスと笑った。
そしてさっきの青島の顔よりは赤くない湯を自分に掛けて。
ゆっくりと風呂につかりながら、呟いた。
「めんけやろで……(可愛いヤツだ……)」
そして本当に可笑しそうに笑い転げた。
室井には分かってる。
ぷんぷんと怒りながら、ベッドに潜り込んでいる青島が待っているってことが。
今までの行動パターンから見ても其れは間違いない。
室井が笑いを含みながらその背を布団ごと抱きしめて、「悪かった」という台詞を言うのを待って
いる。
そしたら。
河豚みたいにふくれっつらをした青島が布団から出てくる。
そして「……室井さんのばか」と可愛らしく拗ねるのだ。
その様子を思い浮かべて、室井はますます、可笑しそうに笑った。
「かぐ風呂からあがっか!(早く風呂からあがるか)」
そう言うと、意気揚々と手際よく、髪を洗い、身体を擦った。
青島は知らない。
実は自身が割と性的な気分になっているときに、赤の入浴剤を入れることを。
青島だけが、知らない。
END
エロオヤジーな室井さんにもグッときましたが(病気)、
私は特に最後の三行にやられました・・・。
青島君だけ、知らないんですよ!!!(大興奮)
室井さんは知ってるのに、青島君は気付いてないのですよ!!!(・・・落ち着け)
いいな・・・室井さんが心底羨ましいです・・・。
私も天然な青島君とお風呂に入りたい・・・(え?)
このお話は、斎槻様とのメールのやり取りの間で生まれました♪
生理痛に悩む(?)私に素敵入浴剤の存在を教えてくださったのですが、
その入浴剤がモデルになっております。
斎槻様。図々しいお願いを快くお受けくださって、有難う御座いました!
大事にしますから〜斎槻様ごと〜〜〜v(迷惑)
本当に、有難う御座いました!
※タイトルは、私が勝手につけてしまいましたので、仮タイトルです・・・。