少しだけ濡れた髪。
ヒンヤリとした感触が指先を通り抜ける。
「…………疲れたか?」
そう言いながら、額に張り付いた髪を除けてやる。
そして再び掻き上げる。
砂音よりも柔らかい音が、響く。
「うんん……?」
緩やかに首を横に振りながら、うっとりと目が閉じられる。
口元は笑みが、形取られる。
「……気持ちいいのか?」
聞くと、こくん、と頷かれる。
其れを嬉しいと感じる。
「そっか……」
額の所から、手を差し入れ、根本から。
すくい上げるように、撫で付け。
後に流してやる。
少しだけ癖毛の髪が、後に行っては、戻ってくる。
「くすぐったい」
手を差し入れるときに、一瞬触る額。
その一瞬がくすぐったいらしく、身を捩る。
だが、其れを過ぎると、またもうっとりとする。
猫よりも正直な反応に、喉の奥で笑う。
「……そっか」
尚も飽きることなく、手を差し入れて、ゆっくりと掻き上げる。
時には頭皮を刺激しながら。
時には表面だけを。
「……この音、綺麗…………だね」
すーって、緩やかな音がする。
サラサラって、綺麗な音がする。
ぱさんって、幽かな音がする。
そう、実況中継するように言うのに、思わず微笑んだ。
「そう、だな」
指先だけ使って撫でる。
頭皮を探すように、撫でる。
手の平まで使って撫でる。
頭の形を確認するように、撫でる。
「……飽きない?」
何度も何度も、繰り返される、仕草。
何もしない。
髪を掻き上げる以外は、何もしない。
だからだろうか?
まぶたを開けて、問いかけてくる。
「……もう、1万回位梳いたら、満足はするかもしれないな」
目を細めて、唇を少しあげる。
「そういうもん?」
その仕草に、擽ったそうに笑われる。
「そういうもんだ」
そう言うと、キスをする。
髪の毛に顔を埋めて、キスをする。
「ひやっ!」
声を上げて首を竦められた。
その仕草に、少しだけ慌てたように声を掛ける。
「気持ち悪いか?」
其れに、クスクス、と笑いながら首を横に振られる。
「ビックリしただけです」
それに、ほっとため息を付く。
「そうか……俺の方がビックリした……」
本当にほっとしたような声に、ますますクスクスと笑いがこみ上げるらしい。
笑いながら、憎まれ口を叩いてくる。
「事件の時は……冷静なくせに」
その台詞に、苦笑する。
「…………当たり前だ」
面白そうに、目を輝かせされる。
「そう?」
その面白そうな様子に、徐に頷く。
「お前だから、な。相手が」
その台詞にわぁっと目を開いて、声をあげられる。
「へ?……うわ……マジ!?……そういうこと、言うんだ!」
その台詞に思わず、眉間に皺を寄せる。
「…………どういう人間だと思ってたんだ」
そう言うと、うーん、と呻られた。
「いや……黙して語らず?……優しいけど、あんまりそういう台詞は言わない……って思ってま
した」
その台詞に、さっきの自分の行動を反芻する。
そんなに、いたわりの言葉をかけなかったのかと、思いを巡らす。
「……さっき、そうだったか?」
その台詞に、首を横に振られる。
「違います。……そうじゃなくて……ええっと……詳細に覚えている訳じゃないですけど……そ
うじゃなくて…………」
ちょっと赤くなりながらの台詞に、思わずクスッと笑うと、少しだけ睨まれた。
「そうじゃなくて……最中、は……思わず言えますけど…………ってか……察してください!!」
そう言いながら、シーツをたぐり寄せようとするのを、止めて。
拗ねたように真っ赤になった顔に、キスを落とす。
「すまない」
そう言いながら、また髪を梳きながら、真っ赤な頬にキスをする。
「……〜〜〜!」
声にならない唸りをあげられた。
「……信じられない、…………いざって時に気障過ぎなんすねっ!」
そんな台詞に思わずクスクスと笑うと、ぎんっと睨まれた。
其れにまた笑いが込み上げながら、気障だと言われないように、伝えたいことだけ伝える。
「愛してる」
そう言うと、また目を真ん丸くされた。
「其れが気障だって言うんです!」
END
斎槻様のサイトの5万HIT記念のDLフリー小説でした!
お誕生日のお祝いにサイトにお伺いして、逆にプレゼントを頂いて帰ってくる始末・・・。
ジャイアンよりも酷いかもしれない・・・(汗)
こ、このお礼(お詫び?)は必ず!
どうですかですですか〜!
甘くて、幸せな、優しい時間でしょ?
普段あんまり喋らないくせに、ここぞっていう時にはきざになる室井さん!
素敵〜〜うっとりです〜〜〜。
青島君にしてみれば嬉しいけど、照れ臭くて恥ずかしくて堪ったもんじゃないかもしれませんが(笑)
それも幸せな時間の一つじゃないかしら(^^)
斎槻様、この度は素敵な作品を有難う御座いました!
このお礼は必ず致しますので〜!