『本店も踊る大操作線2』
(1は存在しません……ちなみに操作は誤変換ではございません……)
「一課長の奥さんが家出したぁ?」
増本が素っ頓狂な声で、耳打ちされた内容を繰り返す。
場所は泣く子も黙る警視庁、いわゆる本店の、捜査一課のフロア。
階数は6階、法務局側に面した側に、捜査一課の持ち部屋はあった。ちなみに、同階には刑事部
長室、それから組織犯罪対策課も軒を並べている。
耳打ちされた噂の当人である一課長は、本日は終日会議のはず。
増本はそう判断すると、声を顰めてコトの真偽を正した。
「噂の出所はどこだ?」
「真下警視です」
真下。
交渉課準備室の真下。もしくは、湾岸署びいきのお坊ちゃんキャリアの真下。
「……ガセじゃないのか、また」
真下の情報は、面白くはあるが多岐に渡りすぎ、信憑性が薄い。
情報というようりはゴシップと言って差し支えない。
「真下警視って、独身寮に入ってるんですよね?たしかこの春にご結婚予定とはいえ、家族用の
官舎ではないですよね」
増本の言葉を、後輩刑事である竹山がフォローした。
「ガセだな」
竹山の言葉を受けて、増本が一刀両断した。が。
増本の背後で、黒山の人だかりが、一課長のプライベートに降りかかった災難を口々にやり取り
している。もし、これが一課長にバレでもしたら、大惨事になるに違いない。
繰り返していうが、一課長は終日会議で不在のはずであって。
「それがですね、真下警視というか、真下警視のお父上の、真下方面本部長の入られている家族
用の官舎が、一倉一課長の官舎の隣らしいんです。で、真下方面本部長の奥方、つまりは真下警
視のお母様が、その、…一倉一課長の奥様が実家に帰られるのを目撃と言うか、確認されたそう
でして。それが、真下警視に伝わり、交渉課の面子から運悪く木島警視に漏れたといいますか…」
増本に説明する刑事の声の、その向こうから更にデカイ声が増本に降り注ぐ。
「増本ォ、一課のメンツの取りまとめはお前がやれや」
いつものドカチンスタイルで、一課の長机の上に胡坐をかいている木島の姿。
「…どーして木島さんに漏れたんだ」
厄日だ。
増本はそう思った。
一課長の奥さんが出て行ったのも、きっとこの災厄の前触れであったのだ。
それが、何故か真下に伝わったのも、木島に漏れたのも。
「…天の配剤ってヤツです、増本さん。諦めましょう…」
警察官は、階級社会である。
木島丈一郎の階級は、本庁七不思議に数えられているが、れっきとした警視である。
警視は、警部の上。
「いいか、おめぇら。一倉のカミサンが家を出たのは今日だ。で、いつ戻ってくるか、が今回の
御題だ。さぁさぁ、張った張った」
どうして、警視庁の捜査一課の部屋で、SITの木島が我がもの顔で仕切っているのか。
「木島さぁん…ヤバイですよぉ〜」
木島のドカジャンを、同じくSITの浅尾がひっぱって止めている。
「てめぇ、うるせぇぞ、浅尾。こういうことはな、ぴしっとやんねぇとよ」
「や、でも、やばいですよ。これ」
止めて聞く、木島じゃないだろ…と、その背後で増本は溜息をつく。
「どこがだよ、れっきとしたトトカルチョじゃねぇか、ええ?」
止めて聞く木島なら、本店の騒動も減っているはずだ。
何より、増本自身も先日『木島のカン』とやらに振り回され散々な目にあったからだ。
「っていうか、そのトトカルチョがやばいんです。それに、どうしてその選択欄に『無期限』と
か『離婚』とか『別居』とかの不穏な文字が踊ってるんですか!!!」
一課長にバレたら殺されますよ!!!!
浅尾の言葉も、増本の溜息も木島にとってはエアコンの送風くらいのものでしかない。
「俺が知るか。交渉課の真下の下がパソコンでちょちょ〜っと作ったヤツだ、俺の責任じゃねぇ」
「胴元やってる以上は、木島さんの責任になるかと思うんですけど…」
「ぐだぐだぐだぐだ抜かしてんじゃねぇぞ、で、お前は賭けるんか賭けねぇんか」
木島が投票用の記入用紙を浅尾の前に突き出す。
それに流されるようにいそいそと票に記入し始めた浅尾を見て、増本が「浅尾は役立たず」と評価
した。
「えっと、じゃぁ、妥当なところで『一週間』にしときます。里帰りってったらそんなものでし
ょ?」
「俺が知るか!…っと、まぁいいか。『浅尾、一週間』、おら、100円出せ」
木島の手には地方土産のキティちゃんの長丸い缶の蓋が、貯金箱よろしく投入口が切り抜かれて
いた。
それが集金箱のようだ。
ちゃりーん。
100円だが、これも賭博になってしまうのだろうかと、浅尾と増本はしみじみとその音を聞いた。
「これって、当った時の配当はどうなるんです?」
浅尾が木島の手には不似合いのキティちゃんの缶を見ながら、仕組みを聞いた。
「ああ?その日に投票した奴の人数で頭割りだ。胴元配点は一切無し、胴元は儲かっちゃならねぇ
からな」
「それでオッズがついてないんですね」
「めんどくせぇだろ」
浅尾からすれば、わざわざこんなトトカルチョをしていることの方が面倒に思えたのだが。増本は
溜息をつきながらその場を離れたが。どうやら後方で静観、といった構えのようだ。
しかし一課の面々も、こういうおふざけは嫌いではなかったらしい。
次々に期日の下に名前が書き入れられ、キティちゃんの缶に100円が投入されていく。
「投票できんのはひとり1回1日だけだからな!ダブって投票しても両方削んぞ!」
赤い、ルパン三世のようなシャツを着た木島が票に集る面々に釘を刺した。
「木島さん…、一課長に見つかったら殺されますよ」
浅尾が、ぼそりと呟いた。
「大丈夫だって、今の時間、一倉はくそつまんねぇ会議だよ」
「……そういうわけじゃないんですけど」
木島の案の定な返事に、浅尾は首をねじりながら周りを見渡していると、捜査一課のドアのトコ
ロに見かけない刑事が立っている。
すらりと背が高く、バランスの取れた肢体。髪は猫ッ毛なのかふわりとしていて、目を見張るよ
うな美形というわけでもないが、印象的に整った顔立ちをしている。大きな目、華やかな雰囲気
は刑事というよりはモデルのような。
「あの人…」
あたりをきょろきょろと見渡しているということは、本店の人間ではないようだ。片手に脱いだ
深緑のコートを持っている。茶封筒を抱えていることからここに用事があるのだろうということ
はわかった。
と、すると。
浅尾の横にいた木島が男に気付き、声を掛けた。
「…おおぃ!青島じゃねぇか!!」
木島のデカイ声に、青島はちょっとびっくりした顔をして駆け寄った。
「あれ?木島さん、木島さんじゃないスか!!お久し振りです〜。一課で何やってんです?」
アーモンド形の大きな目。日本人離れしたバランスの良さと、話しているだけで華やかで人目を
惹いてしまうような、青島。
「木島さん?」
木島の横の浅尾が、紹介してくださいとばかりに背中を突付いた。
「ああ?ああ、湾岸署の青島だよ。強行犯の。青島ぁ、こっちは浅尾だ、俺の下のヤツ」
木島はいつもの口調で、浅尾と青島と両方を紹介した。
「あ、どうも」
浅尾が頭を下げると、青島は刑事らしからぬ柔らかさで滑るように挨拶をした。
「ハジメマシテ。湾岸署刑事課強行犯係の青島です」
そんな青島に、木島が嬉しそうに話しかけた。
「本店で会うのは初めてだなぁ、青島よぉ。和久さん、元気でやってっか?」
にこやかな木島に、浅尾は戸惑いつつも、この気難しい一面を持つ上司が青島を気に入っている
というのはわかった。
「最近はまた腰痛がぶり返しちゃったらしくて、和久さん。教育係り辞めるとか言ってんですよ」
「勝鬨署で会ったのが最後だったもんなぁ」
「変わってないなぁ、木島さん。相変わらずマルボウファッションで」
青島の言葉に、木島は気に入りのドカジャンを見せびらかすように広げてみせる。
「あったりまぇよぉ。警官はな、メンチ切ってナンボってもんよ」
「…そんなん、本店で言えるの木島さんだけですよ」
青島はそんな木島の言い分に華やかに笑う。
世辞が世辞に聞こえず、耳当たりよく周囲を流れた。
「おうおう、ショッテくれるね」
木島は青島の言葉に、すこし照れたように笑い、ふと一課のイベントを思い出したらしい。
「お、そうだ、青島お前もやってけよ」
「は?何ですコレ?」
「いいからいいから、何日かだけ決めろよ」
「えっとじゃあ・・・、この日かな。『四日後』?」
青島が選んだのは、自分の非番とは重なってない恋人の非番の日で。
相手の非番は完全暗記済みだ。自分と重なる非番は、まだまだ先のコトで。
「ほい、100円」
「あ、はい。これに入れるんすか?」
ちゃり〜ん。
「ね、木島さんこれって何スか?『離婚』とか『別居』とか不幸な文字が載ってますけど…」
青島が自分の名前を書き入れた票を、見ながら木島に尋ねる。
その言葉を聞いて、ヤバイ!!と反応したのは木島でも浅尾でもなく、捜査一課の面々だった。
「ああ、こいつは」
木島が説明しようと票を手にした時。
「あ、あ、あ、青島さん!!!!いた!!!、探してたんですよ!!!資料資料!!室井管理官が先ほどから
お待ちです。会議に差し入れなければならないと!」
増本に背中を押される形で押し出された竹山が、アカデミー賞ものの迫真の演技で青島の気をひ
いた。
その竹山の言葉に弾かれる形で、青島の背中が伸びる。
資料、そんなに大事なものだったの?室井さんが待っちゃうくらい?
「あ、すみません!! じゃ、木島さんまた!!」
だから青島は慌てて竹山について一課を出て行った。
「…あ、おう。またな」
木島の挨拶は届いたのか届かなかったのか。
そして木島の背後に、いつの間にやらまた増本が腕組みして陣取っていた。
「…木島さん」
「何だよ?」
「青島に言うと、上に筒抜けますよ」
「ハァ?」
木島の間の抜けた返事に、増本の理性がぷつと切れる。
「青島から室井管理官、青島から新城審議補佐官、青島から一倉一課長って、一課じゃ有名なん
すから!何でか、青島が絡むと上の面子が嗅ぎ分けてくるんです。だからそうゆうコワイコトす
るの、止めて下さい」
それでなく
「あ〜…」
青島ストーカー連盟かよ。
木島の思惑は当たらず
「青島さんって、実は凄い人なんですね」
増本の剣幕に、思わず呟く浅尾。
「ば〜っか。浅尾、オメェより数千倍使えて有能だぜ?青島は。そのうち、オメェと青島、トレー
ドでもしてぇなー」
「ひ、ひどいっ、木島さん!!」
浅尾がわけのわからない悲鳴を上げていると、それを押しのけるように長身の爆弾処理班班長が、
爆処理のロゴを背負って一課に現れた。
「おうおう、きじやん、面白いことやってんて?」
本店においては珍しい面子が、珍しい場所で顔合わせをする。
「おー、班長。一倉の話聞いたかよ?」
「あ?あの、カミサンに逃げられてうんぬんかよ」
爆弾処理班班長までが知っているとなると、噂は瞬時に本店を駆け抜けたのだろうか。
げに怖ろしきは、ゴシップの威力である。
「そうそう、それで今、刑事部でトトカルチョしてんのよ、一口乗らねー?」
木島は罪悪感の欠片もなく、班長にトトカルチョの投票用紙を差し出した。
差し出された班長と言えば。
「いーねー。よっしゃ、爆処の奴等も乗らせるわ、人数多けりゃ、配当も増えんだろ?」
と、嬉々として票を受け取り、内容を吟味し始める。
「配当ってか、ま、現金はちょっとアレだけどさ。それなりにな」
「胴元はきじやんか」
「そー。俺以外に胴元張れるヤツがいねーからよー」
木島のどこか得意げな声を聞きながら票に目を通していると、余り人気のないらしい『四日後』
の欄の1人目に『青島』の名前をみつけた。票に記入されているのがことごとく本店の人間ばか
りの名前であったから、それは微妙に目立つ。
「なぁ、さっき来てたの、湾岸署の青島?」
そして廊下を走って行った妙に目立つ後姿。
「おー。なんだ班長、青島知ってんの?」
木島が肩を廻しながら班長を見上げる。
木島の口振りからすると、どうやら仲のいい人物のようで。
「知ってるっていうか、湾岸署の青島って言えば本店じゃ何かと有名じゃないのよ。『キャリアキ
ラー』とかなんとか。きじやんと知り合いってのが意外だっただけでさ」
「何だそりゃ。青島とはほら、勝鬨署ん時の最後のヤマで知り合った…つーか。ほら、湾岸署に居
たろ、生き字引の和久さん。和久さんが世話してたのが青島でさー、合同になった特捜でな。俺が
世話んなった村下さんってすっげー渋い人が…、知ってるだろ、班長。村下さん、勝鬨署のヌシだ
もんな。で、その村下さんの先輩が湾岸署の和久さんで。それ繋がり。聞いてる?」
まんま、木島のお気に入りのパターンだ。木島は嫌いな人間もしくは気に入らない人間の名前は仕
事以外では口に出さないからだ。まして聞いた以上のことが返ってくるこ
「あーねー…なるほどねー。あ、オレ『四日後』ね」
班長はにやと笑いながら、青島の名前の下2人目として枠イッパイに『班長(爆処理)』と書き込ん
だ。
これで『四日後』の枠はイッパイだし、あえてその下に書き込む猛者もいないだろう。
「なんだよ、班長。青島と一緒かぁ?」
ちゃりん。
班長がキティちゃんの缶に100円を入れる。
「引きが強ぇえらしいんだよ、青島。きじやんもそこ、賭けといたがいいぜ」
「お?おお」
班長の言葉に促されるように、票に自分の名前を木島は書き込む。
すると測ったように枠は全て埋まってしまった。
「オレはてっきり青島みたいなヤツ、きじやん苦手だって思ったけどな」
「何でだよ」
票に名前を書き込んだまま、木島はその80年代風のサングラスをずらして、班長を見上げる。
班長は腕組みをしたまま、一課の雑然とした辺りを暫く眺めて、口を開いた。
「なんつーか、クラスでの人気者?っての?そんな感じじゃねーかよ青島って。何でも器用にこ
なして明るくて楽しくて見た目もかっこよくて女子に人気があって運動もできっし頭も悪くねぇ
から男子からも一目置かれてってさ」
「あー…神様がエコヒイキしたみたいなヤツ。確かに居たわなぁ」
「青島ってオレから見るとそんな感じ。ま、本人はイイヤツなんだろうけど」
所轄でも「困った噂」は聞くが青島を嫌っているという話は聞いたことがないからだ。
確かに、話を聞くと情熱の空回りな困った話も、それはそれで微笑ましく。
「あー…でも、実はあいつも結構『浮いてる』と思うぜ?」
「は?」
現在はどうかとして、思いっきり浮いてた木島には言われたくないだろうけれど。
「なんつーかよー…人気者過ぎて、逆にな、手近なアイドルでも、アイドルはアイドルでさ。な
んつーの?独占禁止法にひっかかって…なんつーか、傍からはわからないモンを抱えてるっつー
か。ほらよぉ、トモダチ、すっげーイッパイいるんだろうなーってタイプじゃねー?青島ってさぁ」
「あーなー」
木島の言葉に班長は頷く。
青島はそう言われれば、そんなタイプにも見える。
「だから、逆に、『最大の一人』がいねーんじゃねーかと。つーか、青島が選べねぇってか」
そんな青島とセットで囁かれる名前を、班長は思い出した。
「なんか、わかるわ。…そうそう、聞いた話。室井管理官が青島にエラク御執心らしいってなー」
一度その名前の命令で、湾岸署に爆弾処理で出向いた。
「室井が?」
意外な事を聞いたように、木島が下からメンチを切るようにして睨み上げる。
「ああ。何度か一課に呼んでるらしいけど、湾岸署のがいいって振られたってハナシ」
「へぇ。あの室井がねぇ」
木島はそう言って、サングラスで目を隠した。
トトカルチョの投票用紙は、木島の手から離れキティちゃんの缶と一緒に一課の面子を回ってい
た。
そんな中、廊下にぱっと噂の主である青島が姿を見せた。
どうやら書類を渡すというお使いは終わったらしい。
「木島さん〜!!俺、用事終わったんで、帰りますね〜!!」
廊下から木島の姿を見つけて、無邪気に手を振る青島の姿に木島は苦笑した。
「お〜、気をつけて帰れよ〜青島」
「はい。じゃ、また」
青島はにっこりと笑顔で手を上げて。
そんな子供のような青島の行動に木島は班長の言葉を思い出す。
班長はやっぱり腕組みをしたまま、木島と青島を交互に見ているだけだったのだが。
「あ、そうだった。…青島ぁ、室井はやめとけ!あいつぁムッツリだからよォ」
「は?」
一課にいた全員が固まる。
そして凍った。
一課は絶対零度の凍気によって一気に北極点と化した。
なぜならば、一課の中にいた人間からは見えない部分に存在していた名指しのキャリア様が見えて
いる青島の横に進み出たからだ。
「…キミにその様に言われる謂われはないが?木島警視」
トレードマークの黒の三つ揃いを着用した、『警察官の鏡』と言われるキャリア様は、いつもの眼
光で一課と木島とその一行を睥睨した。
「む、室井警視正」
浅尾が情けなくも、その場の木島と班長以外の心中を代表するようなひしゃげた声を出したのだが。
「ああ、なんだいたのかよ、室井。ああ?これから青島とメシかよ?交渉課とやらの準備室作り
は進んでっか?」
木島はそんなのも屁の河童である。
訳すなら『キャリアがナンボのもんじゃい、お前なんて怖くねーよ』。
「順調だ」
室井の眼光を受けて尚たじろがない木島を、一課員にいる全員が一種の尊敬を頂いた。
「あっそー。じゃなぁ、青島。気をつけて帰れよ、特にそこにいる管理官殿には。じゃ、和久さん
によろしくなー」
木島は青島に手を振る。
そうして一課全員の注目は青島に注がれたのだが。
「あ、ハーイ」
青島はいつものあの眩しいばかりの笑顔で手を振り返すと、何事もなかったように全てを納めて室
井と共に廊下を行ってしまったのだった。
そして残された一課には、一倉一課長の奥さん家出事件とは別の嵐が吹き荒れた。
『やべぇ!やべぇよ、木島さん。勘良すぎ!!』
『すげぇ、室井管理官の地雷踏みまくり!!!』
『こえー!!こえぇよー!!!』
『ってか、何事もなかったかのようにその場をまとめた青島の方がこぇえ!!』
『あいつが実力者なのは周知の事実だろ?キャリア召喚呪文が使えるって噂だし』
『すげー強力な呪文な気がしてきた!!そのキャリア召喚呪文!!』
『使えるの青島だけだ』
『すげー使ってみてぇー!!』
「ところでよぉ、なんで一倉のカミサン家出したんだよ?」
一課に吹き荒れる嵐を余所に、木島が肝心なことを聞いてなかったな、とばかりに呟くと。
「…木島さんのせいでもあるんですよ」
お約束のツッコミが帰ってきたが、木島にはとんと心当たりはない。あったらコワイ。
「ば、ばっか、おい。…なんだよ、俺ァ、人妻に知り合いなんていねーよ。手ェも出した覚えも
ねぇし。…そ、それに俺ァ、…ミ、ミツコさん一筋だし」
自分の言葉に照れて安全靴の先で一課の床を蹴る木島を、浅尾と班長は生温い視線で見た。
そして咳払いひとつ。
説明係は浅尾しかいない。
「…例の。稲垣さんの裏帳簿事件ですよ〜。……あれで一課長に仕事がどばっと来て、お嬢さん
と約束してたお誕生日に東京ディズニーランドに連れていくってのが反故になっちゃったらしく
て」
「あー…なー…」
班長が浅尾の説明に、切なそうな顔で木島の肩を叩く。
「で、今回は奥さんよりもお嬢さんが泣いちゃって、仕方なく奥さんの実家に小旅行…ってのが
真相らしいです」
どこの家庭も大変だぁな。
御気楽な独身には味わえない幸せである。
「オメェ…えらく詳しいなぁ」
木島が、『泣いたのが娘さん』に同情しちゃった顔で浅尾に呟く。
「真下警視情報です」
けろっとした浅尾の言葉に、木島と班長の顔色が曇る。
真下は一体何件の事件に首を突っ込んでいるのだろうか。
「あいつ、デバガメキングだな」
木島のセリフに班長が混ぜ返す。
「裏情報の坩堝らしいぜ、真下のPCの中。マジで公安が欲しがってるってさ」
「へぇ、売ったら幾らくらいになんのかねぇ」
「なんだよ、きじやん。やる気?」
「ば〜っか、こうゆうのはな、対岸の火事ってくらいがおもしれぇのよ、当事者になってどうす
るっての」
「あーなー」
「真下は
木島の言葉に、班長もそこは掛け値なしで同調したのだった。
ちなみに青島が選んだ恋人の非番の日に、賭けの対象となっていた一課長が非番を変わってもら
い、奥方の実家に出向いて連れ帰って来たコトが後日判明し。
それは青島にとっては実は二重のプレゼントを運ぶことになるのだが。
賭けの胴元だった木島から青島宛に、きっちり三等分された配当が、『幻の日本酒』に化けて届く
のはそれから暫くしてのこと。
班長は欲しかった『ジャガーノート』のDVDと映画のフリーチケット。
木島は柄にもなく『東京ディズニーランド』のパスポートとやらにしたらしい。
その東京ディズニーランドのパスポートが大人4枚子供1枚で、そのうち3枚が室井経由で一倉に渡
ったのは、木島なりの配慮であったのかもしれない。
詳細な情報提供者であった真下は『一週間』と予測し、一番人気の目安になったのだが、残念なが
ら大いに外れた。
本店のトトカルチョ。
捜査一課、二課、組織犯罪捜査課、SIT、SAT、爆弾処理班、鑑識、交渉課準備室を巻き込んだ1人
1回100円の今回の総賭け金が幾らになったのかは、胴元の木島だけの知ることである。
ミツコさんを『東京ディズニーランド』にデートに誘えたか、どうか、も。
警視庁刑事部捜査一課長である一倉正和氏の家庭は、『念願の東京ディズニーランド行き』につい
て幾人かの管理官の過労死寸前決死の努力を経て挙行でき、今日も平穏無事であるらしい。
来年の絵馬にも『家内安全』『家庭円満』と書く気満々の、捜査一課長の言は。
「幸せな家庭があってこそ」
その一言は独身の警察官に多大なる心理的影響、また薫陶を与えたらしい。
確かに、……御尤もでございます。
トトカルチョは、未だにバレていないことを追記しておく。
かず様の「時計に沿っての24のお題」
「夜明け」にリンクしてます。
是非、そちらの名文で、お口直しをしてください v
←他力本願…。
END
>シノワ様コメント。
あとがき。
という名の言い訳。
かずさま、130000HITおめでとうございます。
駄文ではございますが、どうぞご笑納くださいませ。
どうか、どうか一部分でも、笑っていただければ、重畳でございます!!!
相変わらず、タイトルにセンスの欠片もない澁澤です…。誰か欠片を下さい…。(泣)
ちなみに@は存在しません…なんとなくAがいいなぁと思ってつけたタイトルなので。ごめんなさい。
澁澤、実はコメディのが好きなんです…でも、コメディって難しいんですよね。
勢いだけじゃ、面白くなかったり説明しきれてなかったり…。
でも、木島さんは勢いがないと書けないキャラかもしれません。
十川センセイってすごいですよね。尊敬。
これは間違いなく『逃亡者』を観なければ書けなかったと思います。
ありがたや〜ありがたや〜♪(←『大奥』風にお願いしますv)
これが、かず様の読まれる最初の『木島さんご出演のパロディ』になるかと思うと冷や汗モノですが。
えと、なんというか。澁澤の木島さん&班長はこんな感じです…。
どうやらですね、木島さんはどうも『室井さん』があまり好きではないようですが。
ってか、喧嘩売ってるのはお前だ、澁澤!!(ごめんなさいごめんなさい!!)
でも木島さんとしては、青島くんにくっつくムシがなんだかとっても気に入らないのではないか、と思
われます。
なんとなく無自覚的に青島さんの保護者な気分だったりしてくれるとうれしいなぁと思います。
スタンス的に和久さんの下。でも、なんというかやっぱり警視さんだし…。
工藤さんよりも、木島さんの方が書き易いのはやっぱり階級が断然上だからってのと、澁澤の「大好き
な本店v」だからでしょうか。(笑)
澁澤も青島さんしか使えない『キャリア召喚呪文』を使ってみたいです。v
そして踊るっぽく、いくつか、『過去放送SP』と『今回放送SP/逃亡者』とでリンクを張ってみました〜
。
『ジャガーノート』、『真下の情報』、『稲垣管理官の服務規程逸脱裏金事件』、『ミツコさん』。
最後のひとつは…、過去放送SPからです。
簡単にわかっちゃいます??(笑)
関係図捏造してますので、ここは是非、わかった人だけにやって笑ってくださいね。
木島さんの経歴がとっても知りたい今日この頃です。
どうぞ、これからも、素敵な作品を拝読させてくださいませ。
130000のお祝いをこめて、このような作品で恐縮ですが、
言葉通り、かず様が『ご笑納』いただければ幸いです。
澁澤シノワ、拝。
***
というわけで、掲示板にいつも素敵なお話を投稿してくださるシノワ様が
13万HITのお祝いに、素敵なお話をくださいました!
嬉しいことに、お題の「夜明け」にリンクしてくださってます(^^)
一倉夫妻の離婚の危機(?)の真相が明らかになっておりますですよ!(笑)
木島さんが素敵に木島さん!
頭のなかに、ドカジャンサングラスの柄が悪くてついでに口も悪い刑事さんの姿が浮かびます・・・(笑
青島君の保護者のような木島さんが好きです。
CPでもいいのですが、木島さんや班長さんが青島君を過保護にしてくれると嬉しい・・・!
本編でこの先絡んでくれるか分かりませんので(苦笑)、嬉しい補完でした!
キャリアキラーな青島君が非常に美味しゅう御座いました!
木島さんと班長さんの口から出る青島像に激しく悶えてしまいました・・・(危)
室井さんはきっと小姑いっぱいですね♪(笑)
頑張って、青島君を幸せにするのだよー!
シノワ様、この度は素敵なお祝いを有難う御座いました!
今後とも宜しくお願い致します(^^)