嬉しそうに、今も私の部屋の窓から月を眺めていた。
光に透けた茶色い髪と瞳は綺麗で、少し唇を噛んでいるせいか、いつもより赤い唇は少女みたい
だ。
まっすぐ見つめてくる瞳も魅力的だが、嬉しそうな横顔は可愛くて、さて、彼の年齢は幾つだっ
たかと考える。
普段仕事中は、明るくて煩いほど良く喋るから、普段も騒がしい男なんだろうと勝手に思い込ん
でいた。
二人きりで会うようになっても、しばらくは気が付かなかった。
まだ、言った事は無いけれど、お互い大事に思っていることが通じるようになってから、静かに
隣に座っている青島に気が付いた。
元気が無いとか、暗いとか、疲れてるとか、そういう感じじゃない。
ただ、ごく自然に静かにしているようだった。
微笑んで見える時もあれば、ぼんやりしている時もある。
少なくともつまらないようには、見えなかった。
何か思い付いたようだ。それはすぐ分かる。急に嬉しそうに振り向くから。
「室井さん!。」
大抵、その思いつきは子どものように可愛い事ばかりで、青島に気づかれないように笑みを殺し
て真面目な顔で感心する事に決めている。
「今日泊まって行っていいですか?。」
「いつでも、勝手に泊まって行くだろう、何だ急に?。」
「・・・・・、やっぱり言うんじゃ無かった。」
青島は、急にしゅんとして脹れている。
「泊まって行けばいいじゃないか、明日は非番だから来たんじゃなかったか?。」
大きくため息を付いた青島はソファに転がってしまった。
「おい、風邪をひくから布団で寝ろ、今用意するから。」
私は、テーブルに飲みかけの酒を置くと、立ち上がった。
「・・・室井さん女の子泊めた事ないんすか?。」
「・・・は?。いきなり何の話だ?。」
「そのまんま、女の子と同じ事言っただけです。」
ぶすっと脹れたまま青島がソファに転がったままで私を睨む。
睨んではいるのだが、どこか私に甘えたような響きがある。
「・・・お前は男だろう。」
わざと真面目に答えてやった。
「・・・。わざと意地悪言ってるんすか?本気で天然ですか?。」
もう、堪えきれずに噴出してしまう。しまった、笑いが止まらない。
「室井さん!!!。」
「・・・すまん、いや、そうじゃなくて。」
言い訳したいが可笑しくて仕方ない。本当にお腹が痛かった、悪いなあと思うが止められないの
だ。
「・・・・、もう!帰る!。」
顔を真っ赤にした青島は本気で怒り出したようだ、しまった、確かに苛めたかもしれない。
「ま、待て!分かった!いや、分かってるから、ちょっと待て。」
笑いながら、帰ろうとする振りをする青島を片手で引き戻してやる。
本当にどこまでも、君は子供みたいだ。
真っ赤になったままの君を座らせて、胸に抱きしめた。
「・・・オレと同じ気持ちじゃないなら、離してください。」
「どんな気持ちなんだ?。」
何か言い返そうとした青島の唇をチュッと子供のキスで黙らせた。
不意打ちだったのだろう、青島は大きく目を見開いて、黙ってしまった。
「あともうちょっと大人になったら、嫌がっても抱くからな。」
「・・・むろ・・・。」
両手で青島の頬を押さえて今度はもう少し大人のキスをする。
青島の顔を見つめると、瞳は潤んで目元も赤く染まってる。
「君こそ、意味もわからずに誘うんじゃないぞ、ん?わかったか?。」
「・・・・・・・・。」
恥ずかしそうに、俯いた青島は黙ったまま私の胸に頬を摺り寄せる。
「・・・オレ、子供ですか?。」
「そうだな、弟か大きな息子がいるみたいだ。」
「・・・・弟も息子も嫌です、室井さんがオレを大人にして下さい。」
「・・・・・、それが子供なんだが。」
恨みがましそうに、青島が私を睨む。
胸の中でこっそりため息をつくと、自分に言い聞かせる、青島が望んだからと。
セックスなんて、子供も動物も体が出来上がれば可能だ。
でも、恋は難しい。近づき過ぎれば尚更だ。
出来ればこのまま大事にしてやりたかった。いい上司で夢を叶えてやりたかったが。
黙った私の様子を必死に伺う青島は不安そうだ。
私は、出来る限りの笑顔で青島を抱きしめ、ソファにゆっくり倒した。
何だか子供の彼を騙してるような変な罪悪感があるのだが。
「・・・室井さん、好きです。」
「私も好きだよ。知ってるんじゃなかったのか?。」
「・・・言ってくれなきゃ、自信が持てない・・・。」
・・・・なるほど。それで誘ったのか。嬉しいとか以前にその幼い行動が可愛らしい。
「悪かった。多分君が想うよりずっと私は君が好きだ。憶えててくれ。」
青島の瞳は揺れてそのまま瞼を閉じ、私にギュッと抱きついた。
「・・・・・いつだって、君だけを心の中で抱いてるから安心して。」
青島の唇を貪るように口付ける。青島は驚いたようだったが、おずおずといった感じで舌で応え
てくる。
そっと青島の下半身に手を伸ばすとビクッと震えた。
私は笑って一度青島から体を離し、テーブルの酒を口に含む。
緊張を解いて、安心させてやりたい。口移しに何度も青島に酒を飲ませる。
少し恥ずかしそうだが、素直に飲んでいる。
「・・・室井さん、なんか・・オカシイ、みたい・・・眠い・・・。」
・・・・飲ませすぎたようだ。そっと青島の前髪をかき上げ、綺麗な額に口づけた。
「青島、いいからもう寝なさい。」
「は・・・い・・・、ごめんなさい・・・。」
言い終わらないうちに、すうっと眠ってしまった。
疲れてたんだろう、仕事もそうだが、怒ったり緊張したり、忙しかったからな。
何だか私は、ホッとして眠った青島を抱きしめる。
静かで、確かに深く感じる愛情を心から嬉しいと思う。
これから、何が起こっても、彼を大切にしてあげたい。
彼が、違う男や女を好きになっても変わらない。君は信じてくれないかもしれないけれど。
「・・・・愛してるよ。」
恥ずかしい告白は、窓から覗く月だけが、聞いていた。
END
MOMO様から頂いてしまいました!
もう、悶絶です(落ち着け)
青島君が可愛すぎやしませんか?
嫁にきませんか!?きませんか・・・。
また室井さんが男前なものだから、「室井さんにはやれーん!」とも言えない・・・(笑)
幸せに!幸せにしてあげてっ!(誰だお前は〜)
実はこの続きの裏も頂いていたり(ニヤリ)
大人の皆様は少々お待ちくださいませv
MOMO様。
素敵に可愛らしいお話をありがとうございましたー!