■ 刹那の甘美


湾岸署で一番利用頻度が低く奥まった場所にあるトイレ。現在そこに青島と室井がいる。
本来の目的で来たのではなく人目を忍んで別々に入り、一番奥の個室に入る。先に入ったのは青島で、少し遅れてから室井も入った。
お互いの姿を確認して鍵を掛けた瞬間に抱き寄せ合い、口付けを交わす。
「…んん、室井さん…」
「青島…、青島…」
口付けの合間に名前を呼び、何度となく唇を重ねる。
貪るように口付け、気持ちが落ち着いたところで唇を離し、首筋に顔を埋める。
「やっと逢えた…。あぁ…、本物の室井さんだ…」
「青島…」
ここ何週間かどちらも忙しく、電話やメールのやり取りはしていたが、逢う時間は全く取れなかった。
湾岸署に所用が出来た室井が青島に連絡を送り、細かくやり取りをし僅かだが逢う時間を作れた。
当然だが職務中である以上、いつまでも所在不明ではいられない。
わかってはいるのだが、どちらも声と文字だけのやり取りが限界に来ていた。
色気とは無縁の場所だがここが一番人目につかず、誰かに見つかる可能性が低いということで、上手くいったら落ち合おうと決めていた。
「室井さん、もっと…」
「ああ…」
首筋に埋めていた顔を上げ、再び唇を重ねる。
久しぶりに逢えたからか、愛撫そのものの口付けを交わしている内に身体が熱くなってくる。
気付いた時には、お互い服の上からはっきりわかるほどになっていた。
「いつも思うけど、室井さんキス上手すぎ…」
「お前が可愛いからな」
「それ理由になってないよ…」
「事実だ」
「もう、室井さん…」
室井が青島の前に手を伸ばすと、青島の身体が一瞬震えた。
「んっ、室井さん…」
困ったような声だが、拒むことはしない。
どちらにしろこのままの状態では出られない。どうすればこの後の職務に支障をきたさず、一番被害が出ずに済むか考え、弾き出された答えを実行する。
「っ、室井さん…!?」
青島のベルトを外し、ファスナーを下げて下着ごとスラックスを下げる。
勢い良く飛び出したそれを躊躇いなく口に含んでいく。
「あぁっ…!むろいさん…!」
温かく柔らかい粘膜に自身を包まれ、青島が切なく鳴く。
「やっ、んぁっ、すご…気持ちい…」
なるべく音を立てず唾液が零れないように口に含み、舌を這わせながら小刻みに動かし青島の弱いところを集中的に攻めていく。
「んん、んっ、やば…、何かもういっちゃいそ…」
一旦口を離し、青島に告げる。
「我慢しなくていい。遠慮なくいけ」
言い終わると再び口に含み愛撫を続ける。
自身を愛撫する室井の姿、少しだけ聞こえる濡れた音、何よりも与えられる刺激と快感に急速に絶頂へと高められていく。
「んっ、あっ、いく、室井さっ、いくっ…!」
口の中が痙攣したと思った瞬間、青島が絶頂に達した。
青島のそれは一定の間隔で痙攣を繰り返し、欲望の証を室井の中へ注ぎ込んでいく。
全て飲み込み、濡れた繁みも舐め取ってから室井が顔を上げて立ち上がった。
それと同時に青島が唇を重ねてくる。
舌を絡ませつつ着衣を直し、室井の前に手を伸ばす。
「ん…、青島…」
「ね、俺にもさせて」
室井の返事を待たずにベルトを外し、ファスナーを下げて下着ごとスラックスを下げる。
青島も躊躇うことなく、興奮しきっている室井のそれを口に含んでいく。
「はっ…、あおしま…」
深く咥えながら丹念に舌を絡め、焦らさずに絶頂へと導いていく。
職務中にここでこんなことしているということ、自身を愛撫する青島の姿、与えられる刺激と快感、それら全てにあっという間に高められて限界が近づいてくる。
「…くっ、あおしま……、いいか…?」
視線を合わせて咥えたまま頷き、強く吸い付くと室井も絶頂へ達した。
予想より濃厚で量が多かったが全て飲み込み、舐め取ってから顔を上げて立ち上がる。
「すっごい濃かったっすよ、室井さんの」
「お前も濃厚だったな」
「ここんところ忙しくて一人でする暇もなかったんで。でもしなくて良かったかも」
「ん?」
「室井さんのこと考えながらするのはいいんすけど、終わったら寂しいし虚しいし。ますます逢いたくなっちゃうし。室井さんは?」
「そうだな。それは俺もある」
自分たちならではの睦言を交わしながら着衣を直し、時間を確認する。
「あ、そろそろやば。もう行かないと」
「ああ、これ以上はまずいな」
「今度はゆっくりね。そんで続きしましょ」
「朝まで寝かさないからな」
「望むところです。室井さん、これ」
ポケットから取り出した物を室井に手渡す。
「コーヒー。一応飲んどいた方がいいっすよ」
「ありがとう。お前は?」
「俺は一服してから戻ります」
「そうか。じゃあ先に行く」
誰もいないことを確認し、個室から出て手を洗い、簡単に身支度をして別々に出たあと、室井は所用である資料を取りに資料室へ、青島は喫煙室へ向かった。
幸いにも誰かに見付かることも気付かれることもなく、先ほどまでの行為が嘘だったようにそれぞれの職務へと戻っていった。

僅かな逢瀬の後も忙しいことに変わりはなく、二人の非番が重なったのはそれから数週間後のことだった。
室井の予告通り、そして青島が望んだ通り、青島も室井も朝まで寝ることはなく、非番当日は一歩も外に出ずに過ごすことになるが、この時の二人にはまだまだ先のことである。










END

泉様


泉さんから、ラブラブな室青を頂きましたv
もう!そんなところでいちゃいちゃして!二人とも落ち着いて!
と、こちらも大興奮でしたが(笑)
久しぶりに会ったんじゃあ、しょうがないですよね~
我慢もできなくなっちゃいますよね~

泉さん、ありがとうございました!
随分前に頂いていたのに、更新が遅くなりまして申し訳ありませんでした。


template : A Moveable Feast