幾千もの夜と朝

珍しく非番の重なった日の前夜、訪れた室井の部屋で青島は妙に緊張していた。

恋人同士になって初めての訪問だ。緊張するのも無理からぬことだろう。

そっと室井を見やると、彼もどこか緊張しているようだった。




恋人として付き合うようになって約半年。

だがお互い仕事が忙しいということもあって、キス以上の関係にはなっていなかった。

漸く訪れた恋人同士の時間。おそらく今日、二人の関係は次のステップへと踏み出すことになるだろう。

 「青島?」

青島の視線に気付いた室井が声を掛ける。

 「・・・・・」

 「どした?」

 「あ、えと・・何でも、ない・・・デス・・・」

少し顔を赤らめて呟く。

室井はクスリと笑って、啄ばむように口付けた。そしてそのまま青島の耳元で囁く。

 「ベッドに行くか?」

 「・・・はい」




ベッドの上、互いの服を脱がしながら小さなキスを繰り返す。

室井が青島をそっと押し倒しキスを深いものにしようとした時、青島は慌てたように室井の胸を押し返し上

体を起した。

 「青島?どうした?」

 「ちょ・・と待って」

 「嫌だったか?」

 「じゃ、なくて。俺がコッチなの!?」

青島の言葉にはっとする。

言われてみれば、青島も自分も男なのだ。抱かれる立場になるなど考えていなかった。

しかし、室井には立場を譲るつもりなどまるでなかった。

青島に抱かれたいのではない。自分が、青島を抱きたいのだ。

 「俺は、抱くことしか考えていなかった」

青島を抱き寄せきっぱりと言う。

 「そ・・んなの、俺だって・・・」

反論しようとした青島の言葉を遮るようにきつく抱締める。

 「俺が、お前を、抱きたいんだ」

低く甘い声。

耳元で響いたその声にゾクリと背筋を這い上がるものがあった。それは紛れもない快感で、青島は思わず室

井に縋り付いてしまった。

 「好きだ、青島。愛している」

駄目押しだった。止めを刺された青島から力が抜けるのを確認した室井は再び押し倒し、深く口付けていっ

た。










 「室井さんの、バカ」

翌朝、朝食の支度を終えた室井が寝室に足を踏み入れると青島が不貞腐れるように呟いた。

毛布に包まり背を向けている青島はすっかり拗ねているようだ。

 「そんなに拗ねるな」

 「っ!・・だって、動けないんだからね!

 初めてだったのに、あんなに・・あんなコト!!」

 「判った判った・・・」

 「何が!?それに!いつのまにか、俺が、される方になってるし!!酷いよっ!」

 「だけどお前、最後には自分から腰――」

 「バカ――――っ!!」

叫びと共に飛んで来た枕が見事に顔面にヒットする。

 「―――!」

目を開ければ真っ赤になってワナワナと体を震わせている青島がそこにいた。

まるで毛を逆立てた猫だ。そんな青島が可愛くて仕方がない。

室井は苦笑しながら近付いて行って青島をそっと抱き込んだ。

腕の中でジタバタと暴れるのを更に力を込めて抱締めると漸くおとなしくなる。

 「愛している」

 「室井さん・・・」

 「誰よりも、何よりもお前を愛しているよ」

 「・・・俺だって、室井さんを愛してますよ」

 「ああ。判っている」

 「覚悟してくださいね。もう、俺、室井さんを離してやんないからね」

 「そんなの、俺のセリフだ。絶対に離さない。誰にも渡さないからな。

 お前の方こそ覚悟しろよ」

 「うん」

これからこんな朝を幾度となく繰り返して行くのだろう。

そしてそれが当り前の日常になった時二人は極上の幸せを手に入れるだろう。

微笑み合い抱き合う二人を朝の眩しい光が祝福していた。




















END


>あさこ様
ナニされたんだ?青島・・・
室井さん、ズルイですねぇ。なし崩しですよ?
愛があるとは言え、葛藤はあったと思うんですよ。それを表現したかったんだけど
なぁ・・・ムズカシイです。(溜息)




あさこ様から頂きました!!
初夜ですよ、初夜!(初夜言うな)
初めてっていいですよね〜vドキドキ。
耳元で囁く室井さん。ズルイ(笑)
ズルイけど、許す。カッコイイから(お前の許可はいらない)
青島君は多少の文句はあっても後悔はないのでしょう。
あさこ様、幸せな二人をありがとうございました!