朝帰り












場所は、青島宅のリビング。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

寝起きの顔で、お互い目を合わせたまま硬直する。

「・・・・・・おはようございます」

「・・・おはよう」

とりあえず挨拶を交わす、青島と一倉。

外でやけにさわやかに小鳥が囀っているのが、青島の耳にも入ってくる。

青島はガシガシと頭を掻いた。

「ええと、何で俺んちにいるんですか?一倉さん」

「・・・何でだろうな?」

「覚えてないんですか?」

「お前こそ」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

再び目を合わせて沈黙する。

「・・・飲み屋で会ったな、そういえば」

「会いましたね、夕べ」

たまたま同じ飲み屋で鉢合わせをして、一緒に飲んだことを思い出す。

酒のせいか、珍しくも意気投合したのだ。

「思い出した。俺が奢らされたな」

一倉は酔っ払った青島に伝票を押し付けられたことを思い出したようだ。

青島も言われて思い出す。

ちょっとばつが悪そうだ。

「後で請求してください。・・・2件目行きましたよね」

「いいさ、奢ってやる。・・・・・・行ったが、どこに行ったから分からん」

「奇遇ですね。俺もです」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

要するに2件目で二人ともほぼ潰れてしまったということだ。

見れば二人ともスーツのままで、かろうじて靴だけは脱いで上がったようだ。

「まぁ・・・、無事に帰れて良かったっすよね」

どんな酒の飲み方をしたんだ、と自分に不安になりつつものん気に青島が呟く。

「そうだな。・・・そういうことにしておこう」

青島と同感なのだろう、一倉も苦笑して頷く。

酒に強いだけあって、一倉の方が驚いているのかもしれない。

そうは見えないが。

朝飯食いますか?などと緩みきったネクタイを引き抜きながら青島が尋ねると、一倉がふっと微笑

する。

「室井に知れたら殺されるな」

「まさか。一倉さん相手で疑われる理由なんてないでしょう」

青島が苦笑して答えるが、一倉は真面目な表情で首を振る。

「無い事もない」

「はい?」

「いい趣味してるとか、飽きたら貸してくれとか、からかったことがある」

「・・・・・・一応確認しますけど、それ俺のことを指してるんですか?」

「室井に言ったんだから、そうなるな」

飄々と言ってのけた一倉に、青島はげんなりした。

室井と恋人になってから一倉と付き合う機会も多くなったが、知れば知るほど分からない。

何を考えているのか。

青島は呆れ顔だ。

「何でそう室井さんをからかうんですか?」

返事をしようとした一倉を青島は慌ててさえぎった。

「あ、やっぱ、いいです。言わなくて」

聞かなくても分かるから。

そう続ける前に、一倉がにやりと笑った。

「楽しいからだ」

「・・・・・・だから、いいって言ったのに」

青島は室井に酷く同情した。

室井の苦労が目に浮かぶ。

などと思った青島は気付いていない。

室井と付き合っている限り、決して人事ではない事を。

























END
(2004.3.21)


また一倉さんです。
一倉さんと青島君が二人で飲む機会なんて無いんでしょうけどね(笑)

本当に室井さんが不憫です…。私のせいですが。
申し訳ないとは思っているのですが、一倉さんの室井さんイジメが楽しくて楽しくて.。
煽りを食ってセクハラの的にされる青島君も、好きです(笑)