デリバリー












「青島君、本店から電話」

和久の説教という名の暇つぶしに付き合っていた青島は、魚住に呼ばれて振り返る。

「俺にっすか?」

「また何かやったのか、お前」

和久が半ば呆れ気味に言うので、青島は嫌そうな表情を作る。

「人聞きが悪い。ここのところは大人しいもんです」

「ここのところ、ね」

引っかかる和久の言葉は置いておいて、青島は自分の席で電話にでる。

一瞬、室井かなと思ったり。

「はい、青島です」

「青島か?一倉だ」

意外な人が出て、青島は普通に驚いた。

「一倉さん?」

「ああ、室井じゃなくて悪かったな」

からかうような声が聞こえて、青島は憮然とする。

だからわざとに「全くです」と言ってやった。

電話の向こうで一倉の低い笑い声がする。

「で、俺になんのようですか?」

「ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「何です?」

「×××と〇〇〇はどっちが美味い?」

「・・・・・・・・・はい?」

×××も〇〇〇も最近出たばかりのカップラーメンの名前だ。

ちなみにノンフライ麺の味噌味である。

「お前が美味いと思う方は?」

青島が軽くフリーズしていると、返事を催促される。

訳が分からないがとりあえず答える。

「・・・・・・俺は、×××の方が好きですけど」

「そうか。△△△と□□□では?」

生めんタイプの醤油味。

「・・・・・・□□□の方が」

「☆☆☆というのは、コンビニで見かけないのだが?」

「スーパーに行けば売ってますよ・・・・・・」

矢継ぎ早に飛ぶのは全てカップラーメンについてだ。

青島はまさかとは思ったが一応聞いてみた。

「一倉さん」

「ん?何だ?」

「何かの捜査に使うんですか?」

一瞬の間の後、爆笑。

青島は笑われて一瞬むかっとしたが、それよりも一倉の爆笑に驚いた。

「このデータで分かるのは精々、青島の好みくらいだな」

「・・・・・・コンビニとスーパーで扱う商品の違いも分かるでしょ」

腹立たしいので付け足すと、また笑われる。

案外笑い上戸なのかもしれない。

「実はな、お前が室井にやったカップラーメンが美味かったんでな。捜一でちょっとしたブームに

なってるんだよ」

「・・・・・・・・・はい?」

「青島刑事にはカップラーメンを選ぶ目があると俺は踏んだんだ」

「・・・はぁ。それは、・・・・・・どうも」

「だから青島の好きなカップラーメンを教えてもらおうかと思って」

青島は思いっきり脱力した。

質問の意味は質問通りだったわけだ。

「また青島に持ってきてもらえと室井に言ったら、青島だって忙しいのにそんなことを頼めるかと

すごい剣幕で怒られたんでね」

直接電話をしてみた、と言う一倉。

室井の愛を感じつつ、青島は苦笑した。

「それは、あれですか?」

「うん?」

「結局は貢げって言ってんですか?」

「馬鹿、お前に貢がせたら室井に殺される」

宅配してくれないか?

一倉の声に、青島は頭を抱えた。




これでいいのか。捜査一課長。
























END
(2004.3.6)



どうしよう。一倉さん、書くの楽しいです(笑)
今度は室井さんがいませんが・・・。
お話は「携帯電話」の続きです。
青島君の主食はカップラーメンな印象があります。なんとなく。
デリバリーなので、「金を払うから届けてくれ」ということですね。

室青を読みにいらっしゃってる方には、楽しくないお話。
というか、それ以外の方がいらっしゃってるはずもないのに・・・(汗)
楽しいのは私のみ〜。すいません。次は、ちゃんとした室青を!(笑)