目を覚ました青島の視界に入ったのは、それだった。
明け方近くといったところか。
身体が不自然に痛み、青島は首を捻りながら身体を起す。
そして、自分が床の上に寝ていたことに気付く。
自分の家のリビングだ。
辺りに散乱しているのは、ビールの空き缶と空いた焼酎の瓶。
「ああ…夕べ」
室井さんが家に。
そう思いだしてから、ふと横を見ると室井も隣で眠っていた。
「…珍し」
起さないように小さく笑う。
室井が床で寝るなんて。
青島がつぶれてしまうことがあっても、大抵室井が起してくれたしベッドに連れていってくれたり
するのだが、室井までつぶれてしまうことはあまりない。
青島は身体を起そうとして異変に気付く。
左手が動かないのだ。
不審に思って左手を見て、青島は眠気が吹き飛ぶほど驚いた。
何と手を繋いで寝ていたのだ。
室井と。
「…………」
青島は暫く呆然として、それから吹き出しそうになるのを何とかこらえた。
何がどうしてこうなったのかは分からないが、中年男性が二人で手を繋いで眠っている絵はシュー
ルなことこの上ないだろう。
笑いの発作が治まると、青島は微笑した。
酔っ払っていてどちらから繋いだのかもどういう状態で繋いだのかもさっぱりだが、意識が無くな
っても自分が室井の手を、それから室井が自分の手を握っていたことが青島には嬉しかった。
青島は再び横になる。
左手はそのままで、室井にそっと寄り添って。
室井は青島と違っていつまでも寝ていられない性質だから、放っておいてももう少ししたら起きる
だろう。
起きたら繋いだ手を見てなんと思うか。
青島は音を立てずに微笑んだ。
室井が起きる瞬間を楽しみに瞳を閉じる。
だが、五分と立たないで再び眠りに落ちてしまった青島は、気付いた室井が優しく笑ったことなど
知ることは無かった。
END
(2004.7.5)
短いですね。これもまったりしてるなぁ。
何もせずに手を繋いで眠るという状況に萌えて、書いたらしいです(笑)
結構前に書いたものなので、ちょっとうろ覚え・・・。
とは言っても、サイトを開いてからですけど。