口内炎・その後2のその後












「青島」

本店にお使いに来ていた青島は、呼び止められて振り返る。

「一倉さん」

丁度良かったと言って鞄の中から封筒を出し、一倉に手渡す。

「袴田課長から預かって来ました」

「ああ、ご苦労様」

「んじゃ、俺はこれで」

特別一倉と話すこともないので、青島は礼をして来た道を戻ろうとする。

「室井に会っていかないのか?」

再び声を掛けられて、足を止める。

一倉を軽く見上げるとニヤリと笑われて、青島は思わずムッとした。

「用事、ないですもん」                 

「そうか、丁度良かった。今いないんだ、室井」

「・・・・・・・・・」

軽い殺意が沸いても青島のせいではないはずだ。

室井ばりのしわを眉間に寄せた青島に、一倉は声を立てて笑った。

「そう、怒るなよ。ちょっとからかっただけじゃないか」

「あのですねぇ・・・、っつ」

一言文句を言ってやろうと口を開いた青島が、突然頬を押さえて顔をしかめた。

一倉がああ、と納得する。

「まだ口内炎治ってないのか」

「・・・は?あ、いや、口内炎はもう治ったんですけど、今度は虫歯になっちゃって」

何で知ってるんだと思い、当然室井から聞いたんだろうと思い直す。

ただし、そんなことを室井が言って歩くとも思えないのだが・・・。

「室井が口内炎用の薬を買おうとしてたんでな」

疑問が顔に出ていたのか、聞いていないのに一倉が教えてくれる。

「そうか、今度は虫歯か」

なにやら楽しくて仕方ないといった風な笑みを零す一倉に、青島は怪訝そうな表情を浮かべた。

「室井も可哀想に」

「何が・・・?」

言いたいことがいまいち分からない青島。

「色々と不都合だろう、口が使えないと」

一瞬なんの話か分からなかったが、一倉が意味ありげに笑うので青島にもその意味が伝わる。

青島は呆れた顔をしながら後頭部を掻いた。

「一倉さん、それもセクハラっすよ」

「気にするな」

「・・・・・・室井さんは待ってくれてますよ」

「おや、室井より大人な反応だな」

落ち着いて返事を返されたことに驚いたような一倉に、青島が苦笑する。

「俺もいい大人ですよ?そんないちいち・・・」

「もっとぎゃあぎゃあ言われると思ったんだがな」

「いまどき小学生だって騒ぎませんよ」

「小学生?そうか、いまどきの小学生は進んでるんだな」

軽いカルチャーショックを受けている一倉に、ふと青島は疑問を感じる。

「・・・一倉さん、何の話してるんですか?」

「は?」

「キス、の話じゃなかったんですか?」

重ねてそう尋ねた青島に、一倉は一瞬きょとんとしてから爆笑しだした。

「あははははは」

「な、なんすか、いったい・・・」

「あははは、いや、可愛いな、青島」

軽く言われて、ビシッと固まる青島。

完璧にからかわれてる・・・。

青島の額に青筋が浮かぶ。

「一倉さんに言われても嬉しくない」

「室井になら嬉しいって?」

「!!」

絶句する青島に、一倉はまた声を立てて笑った。


























END
(2004.4.10)


しつこいですか?(笑)口内炎ネタ。
たぶんこれ以上は増えませんのでご了承ください〜。

「その後2」のその後というか、「その後2」と「その後のその後」の後ですね。
一応、書いた順にお話は続いてるのですが。
分かりにくい・・・(笑)題名を何とかしろって感じですね。

一倉さんが何を指していたのかは、「その後2」を読んでくだされば分かるかと(汗)
オヤジ。