本店にお使いに来ていた青島は、呼び止められて振り返る。
「一倉さん」
丁度良かったと言って鞄の中から封筒を出し、一倉に手渡す。
「袴田課長から預かって来ました」
「ああ、ご苦労様」
「んじゃ、俺はこれで」
特別一倉と話すこともないので、青島は礼をして来た道を戻ろうとする。
「室井に会っていかないのか?」
再び声を掛けられて、足を止める。
一倉を軽く見上げるとニヤリと笑われて、青島は思わずムッとした。
「用事、ないですもん」
「そうか、丁度良かった。今いないんだ、室井」
「・・・・・・・・・」
軽い殺意が沸いても青島のせいではないはずだ。
室井ばりのしわを眉間に寄せた青島に、一倉は声を立てて笑った。
「そう、怒るなよ。ちょっとからかっただけじゃないか」
「あのですねぇ・・・、っつ」
一言文句を言ってやろうと口を開いた青島が、突然頬を押さえて顔をしかめた。
一倉がああ、と納得する。
「まだ口内炎治ってないのか」
「・・・は?あ、いや、口内炎はもう治ったんですけど、今度は虫歯になっちゃって」
何で知ってるんだと思い、当然室井から聞いたんだろうと思い直す。
ただし、そんなことを室井が言って歩くとも思えないのだが・・・。
「室井が口内炎用の薬を買おうとしてたんでな」
疑問が顔に出ていたのか、聞いていないのに一倉が教えてくれる。
「そうか、今度は虫歯か」
なにやら楽しくて仕方ないといった風な笑みを零す一倉に、青島は怪訝そうな表情を浮かべた。
「室井も可哀想に」
「何が・・・?」
言いたいことがいまいち分からない青島。
「色々と不都合だろう、口が使えないと」
一瞬なんの話か分からなかったが、一倉が意味ありげに笑うので青島にもその意味が伝わる。
青島は呆れた顔をしながら後頭部を掻いた。
「一倉さん、それもセクハラっすよ」
「気にするな」
「・・・・・・室井さんは待ってくれてますよ」
「おや、室井より大人な反応だな」
落ち着いて返事を返されたことに驚いたような一倉に、青島が苦笑する。
「俺もいい大人ですよ?そんないちいち・・・」
「もっとぎゃあぎゃあ言われると思ったんだがな」
「いまどき小学生だって騒ぎませんよ」
「小学生?そうか、いまどきの小学生は進んでるんだな」
軽いカルチャーショックを受けている一倉に、ふと青島は疑問を感じる。
「・・・一倉さん、何の話してるんですか?」
「は?」
「キス、の話じゃなかったんですか?」
重ねてそう尋ねた青島に、一倉は一瞬きょとんとしてから爆笑しだした。
「あははははは」
「な、なんすか、いったい・・・」
「あははは、いや、可愛いな、青島」
軽く言われて、ビシッと固まる青島。
完璧にからかわれてる・・・。
青島の額に青筋が浮かぶ。
「一倉さんに言われても嬉しくない」
「室井になら嬉しいって?」
「!!」
絶句する青島に、一倉はまた声を立てて笑った。
END
(2004.4.10)
しつこいですか?(笑)口内炎ネタ。
たぶんこれ以上は増えませんのでご了承ください〜。
「その後2」のその後というか、「その後2」と「その後のその後」の後ですね。
一応、書いた順にお話は続いてるのですが。
分かりにくい・・・(笑)題名を何とかしろって感じですね。
一倉さんが何を指していたのかは、「その後2」を読んでくだされば分かるかと(汗)
オヤジ。