■ 不用心


ソファーの上で転寝をしていた青島は、インターホンの音で目を覚ました。
室井だろうとあたりをつけて、相手を確かめもせずにドアを開ける。
「遅くなった、すまない。…にしても、不用心だから相手くらい確認しろ」
律儀に謝罪してから説教する室井に、青島は苦笑する。
「大丈夫ですよ。女子大生の一人暮らしじゃあるまいし。…お疲れ様でした」
室井を中に促してドアを閉める。
やはり律儀にお邪魔しますと言って靴を脱いだ室井が、ちらりと青島を見上げる。
「強盗が来るかもしれないだろう」
「刑事の家に?」
「無いとは言えない」
「何盗みます?俺の家で。現金ならないですよ?」
「…モデルガン?」
「まあ、多少金になるかもしれないけど、かさばるから盗むのには向かないんじゃないっすかね」
「時計は?」
「高級時計は持ってないすよ。集めてはいますけど」
愚にもつかない会話を繰り返しながらそろってリビングに入る。
「身代金誘拐」
「俺が金持ってそうに見えますか?金の有る家に見えますか?」
「………」」
「…黙るのも失礼な話ですね」
「すまない」
「いや、謝られても」
特に気を悪くしたふうではない青島と、さりげなく話を元に戻す室井。
「……ストーカー」
「俺にですか?それはまた趣味の悪い…」
「それは俺に対するあてつけか?」
室井のコートを受け取りながら、青島は目を丸くする。
「え?ああ…、そっか。あははは、うん。室井さん趣味悪いよ」
照れたように笑う青島に、室井は溜息をついた。
「いいから、気をつけてくれ」
「はーい」






END

2004.2.25

あとがき

過保護な室井さんと不用心な青島君でした。
青島君なら身代金なんか取れなくても、
誘拐したい人がいっぱいいるはずだから気をつけた方がいいですよね!(…)



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